「デイヴィッド・ホックニー展」「あ、共感とかじゃなくて。」東京都現代美術館/「ガウディとサグラダ・ファミリア展」東京国立近代美術館

デイヴィッド・ホックニー展

写真やiPadを使ったりもしているが、絵を描く(ペインティング)が本当に好きなのだなあと思わせられる展示。

「あ、共感とかじゃなくて。」

現代作家の作品を体験できる展覧会。夏休み期間ということで若者に向けた企画で、説明やキャプションにもそうした対象者向けの言葉遣いが見られる。

山本麻紀子の、部屋や巨人の歯。武田力の、小学生からかかってくる質問の電話(電話が鳴り、受話器を取ると、録音してある音声が流れる。来場者がその質問に答えて録音することもできる)。中島伽耶子の、隔たった2枚の黄色の壁に開いた小さな穴と光のスイッチを通して来場者同士が交流を図れる作品など。

わかり合えないかもしれなくても対話を諦めないで、孤立よりも交流を選ぼうと呼び掛けるような作り。子どもや若者はどう受け取るのだろうか。

ガウディとサグラダ・ファミリア展

大した展示品がなく、これまでに日本でもよく知られているガウディとサグラダ・ファミリア像の域を出なかったという印象。

ル・コルビュジエ、ミロ、ニコラウス・ペヴスナーらの著名建築家、歴史家、芸術家が死後の建設継続に反対声明を出したことや、彫刻の表現をめぐるクレーム、近隣との工事上の確執などにも触れてほしかった。「ひとりの天才による造形」というのは近代的な発想であり、建設時期によってデザインが変わることは、むしろ時には完成まで数百年かかるゴシックの大聖堂では当たり前のことだろう。こうした諸問題も抱きとめながら、さまざまな人の想いでサグラダ・ファミリアはつくられ、未完ながら社会的な存在になっている。もっとも、そうしたことを紹介すると、スペインから資料を貸してもらえないのかもしれない。

五十嵐太郎、artscapeレビュー「ガウディとサグラダ・ファミリア展」

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