『某(ぼう)』川上弘美 著:性別・国籍・年齢を変化させる存在は何者かになれるか?
ある日突然現れて、性別、年齢、国籍などを変えた人間に変化し、次に変化するまで年を取らない存在。人間世界に交ざって暮らす彼らは、何者なのか?
「何者でもない者」が、何者かになることはあるのか?感情や、愛や死を経験することはあるのか?
ヴァージニア・ウルフ『オーランドー』、J・M・クッツェー『イエスの幼子時代』など三部作、ダニエル・キース『アルジャーノンに花束を』を混ぜたような小説。
結末はありきたりなところに持っていくが、だからこそ人気があり、売れるのだろう。
途中経過は丁寧に描かれ、全く飽きることなく面白い。