38.よむとこ

 日々のエセー『まいにちとことこ』
第38回は、「よむとこ」読書について。

 本を読むのはすきだけど、冒頭から読むのは得意じゃない。

 集中力が続かない。読んでて気になることが出てきたら、そっちに気を取られて「寄り道」し始める。ふと本を手に取って頁を開いて目に飛び込んできた言葉に強く動かされる不思議な現象だけは、幾度となく体験してきた。

 いろんな本に触れてきたから「文学青年」と言われることがたまにあるけど、全然そうじゃない。文学に詳しいわけでも傾倒しているわけでもない。おまけに自信もない。
 明らかに、作家志望の人たちよりも、本をあまり読まずに生活している人たちよりも、読みが足りない。量も質も、ぼくは全然だ。積まれた本たちはそのことをよく知っている。<文学を研究しているのに>。そう引け目を強く感じる。負い目も強く感じる。
 
 ぼくは死ぬまで本を何冊読むのだろう。そう考えると、ここに積まれた本たちは、ぼくに読まれることがもしかしたら二度とないかもしれない。
 それでも、言葉に溢れ、溺れ、窒息しないことを保証する積読本あなたをぼくは愛してる。それだけは確かだ。


[2024.9.18~2024.9.19]