見出し画像

私でなければ、わからない『きりぎりす』


私は、あなたこそ、その天使だと思っていました。
私でなければ、わからないのだと思っていました。

『きりぎりす』太宰治

私だけが知ってる魅力。
他の人にはわからない、だから美しい。
尊いものって実は誰しもが持ってる。

所有欲とか、独占欲とは少し違っていて
「理解者」であって「唯一の共犯」であって。

小さい頃、秘密基地を作った友達とは
距離が近くなるようなそういう感覚に似てる。

誰も知らない魅力がとても愛おしくて大切で。
誰かに共感されてしまうとちょっと淋しい。

これって、恋愛についてだけじゃなくて
例えば、隠れ家的なお店とかカフェとか
推しのアイドルとか好きな選手とか
作家とかアーティストとかも近い感覚だと思う。

私は、知ってる!こんな魅力を。
っていうことを少しだけ誇らしく思う。

でも、それって全部全部
「私が見ている虚像」なのかもしれない。

本当のことなんて、誰もわからない。
今日もその虚像かもしれないものを大切にして
本物でありますように。と願って生きるのは
少しだけ疲れてきた。

期待ばかりが膨らんでしまって
本当に大切なものが見えなくならないように
少しだけ目を逸らしてみようかなと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?