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双極性障害と恋愛


双極性障害を持つ息子は、
最近、彼女と別れました。

息子の元々の性質は、
本当に優しくて、「与える人」という
言葉がしっくりくる人柄でした。
双極性障害を発症してからは、
元々の性質の時もあるし、
え?だれ?というような攻撃的な、
鋭利な刃物を突き刺すような性質に
なってしまうことも多々あります。
怒りの矛先は、主に家族、母親である
私に向くことが多いです。

息子は、これまでに短い期間ではあるけれど、
何度か異性と交際しています。
「彼女」と言われるその子たちには、
息子は大変優しくて、尽くして
自分の障害を押さえつけて、
ずっといい人であり続けようとしました。
息子は自分の双極性障害を
隠すことはしません。
調子の良し悪しがあるし、
鬱転してしまうと、誰とも
コミュニケーションが取れなくなってしまうからです。

これまでの数人の彼女は
数か月という短い期間で
お別れしたようです。
それがつい最近お別れした彼女とは
3年ほどの長い間つきあっていました。
その彼女は年下でADHDを持っており、
気分の上下も激しい子でした。
家族との関係もあまり良くなく、
うちに泊まりに来た時など
家族が仲が良い、と驚いていました。
彼女は自分の家にいるのが
嫌だったようで、
一年のうち、4,5か月は
うちにいるような子でした。

彼女のうちは遠方にあり、
いわゆる遠距離恋愛だったのだけど、
毎日電話を繋いで、
喧嘩もするけれど、仲良く過ごして
いたと思います。
息子は、彼女を本当に大切にしていて、
彼女の家族関係の悩みや学校の悩み、
友達関係や進路についても
いろいろ相談に乗っていて、
自分ではうまくアドバイスをできない時は
母親の私に相談して来たりしていました。
私も、相談されたときは
できる限り彼女のためになるように
真剣に話を聞き、アドバイスしてきました。
うちに入り浸るような場合でも、
彼女のご両親にきちんとお話をし、
許可を得て、うちで過ごしてもらっていました。

正直、普通に息子の彼女、と言えば、
あまり賛成できる状況のお子さんでは
なかったような気がしますが、
息子が小さい頃から、
私の気持ちや好き嫌いは関係なく、
息子にとって良いと思われれば、
息子が楽しく過ごせる相手であれば、
複雑といわれるお子さんでも
友達や彼女として受け入れてきました。

お付き合いを始めて3年ほど経ったころ、
彼女の方から「別れたい」と言われました。
理由は、他の男の子に心を
奪われたからでした。
息子の落ち込みは相当のものでした。
とても苦しそうでした。
私は息子が死なないように見守りました。
数か月、本当にピリピリとした
気の抜けない日々を過ごしました。

半年ほど経って、やっと
元の息子の笑顔が見られるようになった頃、
彼女は息子に連絡してきました。
好きになった男の子からひどい目に合ったこと、
自分の両親からも息子と別れて
叱られてしまったこと、そして
許してくれるのなら、もう一度
付き合ってほしいことを言ってきたそうです。
私の気持ちとしては大反対でした。
けれど息子は復縁を望みました。
私は自分の気持ちを抑えて、
息子の好きなようにさせることにしました。
「一度裏切った人は、また裏切る。」
もしそうなっても構わないと思うなら、
復縁することに反対はしない、と
息子に伝えました。

息子は努力しました。
前よりも一層、彼女のために
いろいろなことをしてあげていました。
貯めていたお金もつぎ込んで、
彼女のために使っていました。

そして4カ月・・・
彼女はまた、他の男の子に
心を奪われました。
最後の方は喧嘩ばかりしていました。
彼女の友達からも責められていました。
息子は悲しくてもだえ苦しみましたが、
自分からお別れを告げました。

親としての私の思いは
大変腹立たしく思っています。
彼女のせいで、鬱転、躁転が激しくなり、
本当にサポートが大変でした。
彼女と喧嘩して、朝方「死ぬ」と言って
家を飛び出し、
家族みんな飛び起きて探しに
走り回ったこともあります。
この数カ月は本当に
生きた心地がしませんでした。
けれど、息子は自分から
彼女と決別することを選びました。
それは、正しい判断だと思いました。

正直、うまくいかないだろう、と
予感はしていましたが、
それを言わなかったばかりに
息子は辛い思いをしたかもしれないけれど、
大好きだった彼女への思いが
息子自身の中でしぼんで、
もう彼女は必要がない、と
自分で気づき、選ぶことができたので、
この出来事も、
彼の生きていくための力となるでしょう。
今はまだ、心の痛みがあるので
調子が低迷しています。
外に出るのを極端に嫌がっています。
けれど、前回よりは
回復が早いんじゃないかと思っています。

私にできることは、不甲斐ないけど
寄り添うことだけです。
息子が振り返ったとき、安心できるように
見つめていることだけです。


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