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妻と歩んだ日30〜ディズニーランドの奇跡〜

2022年6月 東京旅行3日目昼

14時になった…

移動時間考えると、そろそろ出てもチェックインの時間位に着けるかな…


そう思って、妻を車椅子に乗せて移動…


子ども達と合流。

出口にむかって歩いていると…


あ、パレードやってるな…


通れないから迂回しないと…


迂回しようとすると、妻がパレードを指差す…


あ、観たかったのか。

もちろん観よう。

妻が嫌がる以外に見せた我儘を、嬉しく思いパレードを観る。

子どもは抱っこすれば観れるけど、妻はちゃんと観れるかな…

しゃがんで妻と同じ目線に…


良かった。人と人の間からだけど、ちゃんと観れる。


パレードを目で追ってる…


良かった。

あんなに頑張ったんだから、少しでも楽しい思い出を作れて…



パレードが通り過ぎて…

試しに、ちょっと遠回りして、パーク見てみる?と聞くと、ゆっくりと頷いた。

あぁ、シーよりランドの方が好きだったからな。


奇跡的に元気を取り戻した妻と皆んなでパーク内を散歩。


ずっとキョロキョロして楽しそう。


前回優先券もらって、楽しみにしてたプーさんには乗れないけど、満足そうだから良いか…


そう思って居たら、急に妻が騒ぎ出す…


騒ぐと言っても、昨日から全然言葉になってないなら、指差しながら唸る位だけど…


何か嫌な事あったのかな…

急に不安になる…


妻の指差す方を見たら…


スモールワールドのアトラクション…


妻が何故か1番好きだと言っていたアトラクション…


あぁ、あの建物がちゃんと理解出来たのか。


乗りたいんだな。


よし、乗ろうか…

と、思ったが昨日の事が思い出される…


結構暗いし、音も大きいし、何よりビックバンドビートと違って、すぐに外に出られない…


最後に嫌な思い出が出来るんじゃないか?


そんな不安が襲う…


妻の目を見ると…


すごくキラキラしてアトラクション建物を見てる…



そうだった…


妻のやりたい事は全部やる…

そう約束したじゃないか…



よし、乗ろう。


列に並ぶ…


途中で、妻とお義母さんは、車椅子用のレーンへ。

うとうとしだした、上の子を抱っこしながら待つ…


しばらくするとお義母さんから電話…


落ち着かなくなってるから、少し代わって欲しいと。

一緒に並んでた義弟に子どもを預ける。


やっぱりダメなのかな…


そう思って妻の元へ…


…あぁ、早く乗りたいだけなんだろうな…


もうすぐ順番来るよ。


そう言って、子どもの写真と一緒に見ながら待つ…


落ち着いてくれて良かった…


子ども達も合流して、いざスタート。


自分では乗れないから、抱き抱えて乗せる…



ゆっくりと船は動く…


妻は楽しそうにキョロキョロ…


怖がる様子もない…


楽しいね。

一昨日から写真を撮ろうとすると、凄く嫌がるから、試しに撮ってみる…


ちゃんとカメラの方を見てくれた。

東京旅行で初めて2人でカメラ目線の2ショット…


少し心が救われた気がした。



楽しかった時間はあっという間に終わる…

去年乗った時は結構長いな。と、思っていたのに、今は一瞬かのように感じる…


でも降りても妻は機嫌が良さそう。

時間はもうすぐ17時。

パーク内を行動したのは3時間程だったけど、それでも大切な3時間。

来て良かった。

本当にそう思えた。


最後、ゲートに向かう途中、シルエットスタジオが…


しまった、完全に忘れてた…


何と妻が覚えていた…


アレする。


ハッキリとそう言った…

去年やってなくて、今回絶対やる。と、やりたい事リストに書いてあった事…

何とかしてあげたい…


今から出来るかキャストの人に聞いてみる…


もう受付は午前中に終わってる…


シーの方ならもしかしたらまだやっているかも…


でも、妻の体力的にこれ以上は難しい…

点滴の時間も迫っている…


何故入った時に思い出せなかったのか…


自分を責めた…


プーさんとか、そういうのは売ってるけど、人物は出来ないと。


悲しいけど、妻にそう伝える…


妻が泣きながら、やりたい。と。


なんで受付していないのか。


いつも、そういう所が抜けてる。


怒りながらそう言ってくる。

そして、自分の名前を言って、バカと。


…いつも


自分の名前を言ってくれた…




あぁ、自分の事思い出してくれたのか。


ダメな自分を責めながらも、妻が自分のことを思い出してくれた事が嬉しい…

久しぶりに妻がこんなにたくさん喋ってる事が嬉しい…


こんな状況なのに、多分人生で1番嬉しい瞬間。


自分とお義姉さんで何とか説得を試みていると、キャストの人が切り絵を切っている人に確認をとって来てくれた。


もう少し待ってもらって、1番最後なら出来ますよ。と。


切っている人も窓越しに手を振ってくれた。


ありがとうございます。


その言葉しかなかった…


急いで子ども達も合流して、順番を待つ。


家族4人の横顔のシルエット。


順番に1人ずつ写真を撮ってもらう。


最後に妻。


しっかりと前を向いて座っている…


あぁ、良かった…


シルエットスタジオのキャストの皆さんありがとう。



そう改めて思った瞬間、涙が…



慌てて子どもと妻に背を向ける…


泣いてはダメだ。


何故かそう思い、少しその場を離れる…


妻も撮り終わって、妻の切り絵が完成した時、キャストの人から聞かれる…


髪型はコレで良いか?と。


もし、写真があれば切り直すと。


急いでスマホから写真を探す…


キャストの人には泣き顔を見られたけど、しょうがない…


震える手でやっと探し出した。


1番見慣れたショートボブの髪型…


出会った頃は背中まであったけど、付き合ってからはこっちの期間が長かったな…


写真を見せたら、切ってくれた。


一度切り終えた後に、わざわざもう一度作ってくれる…


その気遣いにまた涙が…

気持ちが落ち着くまで、少し家族に背中を向けた…


出来上がった切り絵を見ると、間違いなく妻の横顔。


そして、家族4人の横顔の切り絵が完成。


切り絵なので、2つ出来上がる。


1つは購入したフレームに。


フレームの種類は、もともと妻が選んでいたタイプ。



妻はプーさんのぬいぐるみと一緒に大事そうに胸に抱える。


ついでに、待ってる間に妻が欲しがっていたプーさんの切り絵も購入。


最後、キャストの皆さんにお礼。


妻の夢を叶えてくれてありがとう。


一生の思い出になった…


皆んな少し涙ぐんでたが、間違いなく幸せな時間がそこにあった。


やっぱりディズニーランドに来て正解だったな。


皆んな幸せな気分のままホテルへ。


シャワーを浴びて点滴準備。

影絵は寝てても見えるところに設置。


点滴中もずっと切り絵を見ている。

皆んなの特徴捉えた良い切り絵だな。


作って正解だったな。


そして、妻は満足そうな顔で静かに眠りについた。


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