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12年婚活して238人とお見合いした40過ぎの女がスピード婚した話|自由すぎる価値観の男【アラフォー渚の婚活体験記#15】
~前回までのあらすじ~
一番気になっていた男性と2回目の約束を取り付けるも、彼が実家に帰省以降、連絡が途絶えた。 母親に反対されたのか、年齢が理由なのか——。 渚は「縁がなかった」と割り切り、次の出会いに進むことを決意した。
■自由闊達な外資系の男性なら
親の代理見合いで、もう一人、私から申し込んでお見合いが成立した相手がいる。外資系食品メーカーに勤務する 39歳の男性だ。
父親が商社勤めのため、幼少期から海外を転々とし、アメリカの大学を卒業。 趣味はサーフィンとモータースポーツと、アクティブでエネルギッシュな印象を受けた。
対する私は、完全なるインドア派だ。ドラマや映画を鑑賞したり、ブログや本を読んだりするのが好きで、休日も静かに過ごすことが多い。
だが、これまでの経験から、似た者同士よりもむしろ正反対のタイプのほうがうまくいくこともあるのではないか、と考えるようになった。自分にないものを持つ人となら、刺激があり、世界も広がるかもしれない。
それに、私の職業は婚活でマイナスに働くことが多かった。親の代理見合いにかぎらず、「フリーライター」という肩書きに対して、「不安定そう」「家庭向きではない」 などとネガティブな印象を持たれることが少なくなかった。
だからこそ、何度かの失敗を経て気づいたのだ。古い価値観や固定観念にとらわれず、柔軟な考えを持つ相手のほうが、自分とは相性がいいのではないか、と。 そこで目を向けたのが、外資系企業で働く男性だった。
実際、婚約破棄した彼も外資系勤務で、自由闊達なタイプだった。言葉のDVが原因で結果的に婚約破棄となったが、価値観が合う部分は確かにあった。そして、海外育ちであるなら、なおさら私の職業に対して偏見を持つこともないだろう。
そう思うと、この男性とは意外とうまくいくのではと、少し期待を抱いてしまう自分がいた。
■予想外の第一印象
初回デートは、ホテルのティーラウンジで待ち合わせた。格調高い雰囲気の中、どんな風に会話を始めようか、と少し緊張しながら彼を待った。
そして、現れた彼は——
写真通りの顔立ちではあったが、予想外のスタイルだった。
大きなリュックを背負い、チェックのシャツの下にタンクトップ。その胸元からは立派な胸毛が覗いている。
「な、なるほど……胸元まで外資系か」
もちろん、胸毛ごときで人を嫌いになるほど狭量ではないつもりだ。しかし、ホテルのラウンジという場を考えれば、せめてシャツのボタンはもう少し上まで留めておいてほしかった。
とはいえ、第一印象だけで判断するのは早計だ。自由闊達な外資系だからこそ、お見合いのセオリーにはとらわれないのかもしれない。まずは会話を楽しもうと気持ちを切り替えた。
だが、内面もまた予想外だった。
彼は海外育ちとは思えないほど自己主張が強くなく、穏やかに話し、こちらの話もよく聞いてくれる。そして何より、私の職業に対して偏見がないことにホッとした。
会話は穏やかに進み、気がつけば1時間ほど経過していた。そんなタイミングで、彼が口を開いた。
「よかったらランチでもどうですか?」
せっかくの機会だし、もう少し話してみようと、近場のレストランへ移動する。適当な店でパスタを注文し、彼の海外生活について詳しく尋ねてみた。
幼少期からさまざまな国を転々とし、大学卒業後も彼だけがアメリカに残り、数年間、現地で働いていたというエピソードは、私にとって未知の世界であり、興味深いものだった。会話も自然と弾み、「またお食事でも」と次の約束をして解散となった。
■待てど暮らせど、連絡が来ない
「日程を調整してまたご連絡します」
そう言われてから、気づけば10日が経過していた。
友人の紹介や習い事での出会いなら、連絡のペースが多少ゆっくりでも気にはならない。だが、これは親を介したお見合いだ。なのに、なぜこんなに間が空くのか。
いや、正直なところ、私自身、彼に強く惹かれているわけでもない。自分から連絡を急かすのも、何か違う気がした。
――彼のペースに任せるしかないのか……
そんなモヤモヤとした気持ちを抱えたまま日が過ぎていった。
初回デートから約2週間が経とうとした頃、ようやく彼から連絡が入った。
「遅くなってすみません。ちょっとサーフィン仲間との付き合いもあって、予定が埋まっていました。来週の土曜日にランチでもいかがですか?」
――サーフィン仲間との付き合い、か。
正直、サーフィンが趣味であることは初めから聞いていたし、趣味を大切にするのはいい。だが、婚活相手との約束よりも優先するなんて、 彼にとって、婚活の優先度はどの程度なのだろうか。
婚活市場にはさまざまなタイプがいる。
仕事優先の人、家族の意向を重んじる人、そして、彼のように趣味を最優先にする人もいるのかもしれない。
もう一度デートに行けば、彼の本気度がもう少し見えてくるだろう。
だが、このときの私はまだ知らなかった。
次のデートで、彼のマイペースな言動がさらに加速することになるとは——
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