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ヘタミュっていいな【観劇】ミュージカル「ヘタリア〜The glorious world〜」

@青年館ホール

突然ですが私はヘタミュが大好きです。当時いろんなものがかかった論文の締め切りギリギリデッドヒートを繰り広げていたため初演は観られておりませんが、二作目から劇場に足を運んできました。
そんなヘタミュの最新作がもう本当に最高だったので最高だった、という記録を残しておくために感想noteを書きました。
千穐楽から二週間立ってますがご愛嬌。配信まだやってるし。

最高すぎてもともとない語彙がますます貧しくなってますがとにかく書きます。
ヘタミュは人生

そもそもミュージカル「ヘタリア」とは。


2015年冬の初演以来ミュージカル6作、ライブ1作を上演している2.5次元舞台のシリーズです。
原作は国の擬人化マンガ「ヘタリア」。
登場キャラはみんな国。歴史上の出来事がストーリーの中で展開していきます。

ゆるっと各作品のメインの国と内容は以下のとおり。

旧シリーズ
Singin' in the World(SW)
イタリア・ドイツ・日本(三国軍事同盟と第二次世界大戦)
The Great World(GW)
イギリス・アメリカ(アメリカ大陸の発見、独立戦争)
in the new world(NW)
イタリア・ドイツ・日本・プロイセン(第二次世界大戦敗戦後の枢軸、プロイセン史)
A World in the Universe(ヘタライ)
旧シリーズファイナルライブ (スペインは大阪公演のみ出演)

新シリーズ
The world is wonderful(WW)
南北イタリア(イタリア統一戦争)
The Fantastic World(FW)
日本・中国(開国までの日本史)
The glorious world(GLW)
イギリス・フランス(普仏戦争までの英仏史)
最新作がこちら


新シリーズ、旧シリーズとあるのは、ヘタミュは一度全員卒業、という形で終了してるからです。
2017年7月のNW初日にNWをもってヘタミュシリーズから全員が卒業する事が発表されました。
その後NW千穐楽でファイナルライブの実施が発表され、2018年3月のヘタライ大阪千穐楽でキャストスタッフの全員がヘタミュを卒業。
このヘタライ千穐楽もすごくて、カーテンコールの挨拶でキャスト陣が思いの丈を喋りすぎた結果挨拶だけで一時間近くを消費し、公演自体は演劇公演としては長い4時間に及びました。
ライビュは途中で時間切れになり終了。私は現地参戦組でしたがお隣のお姉様は夜行バスに乗り遅れるからと途中で名残惜しそうに離脱していかれました。
それくらい、キャストさんにとっても思い入れの強い作品だったのだと思います。

その後、ヘタミュ復活がアナウンスされ新シリーズが始まりました。
新シリーズ一作目は2021年12月。ヘタライから3年9ヶ月が経過していました。
ヘタライで「また花が咲くその時まで」とお別れして、半分諦めて半分期待していた「その時」の実現。
本当に嬉しかったなぁ。

私がヘタミュを素敵だと思うところの一つは、旧シリーズから新シリーズに変わる時はもちろん、それ以外でもキャスト変更基本無しで公演が続いているところ。
唯一、最初のキャストの方が芸能界自体を引退されたドイツ役だけ旧シリーズの一作目と二作目の間でキャストが変わっていますが、それ以外はキャスト変更一切なし。
キャラそのものが出ない場合はあってもキャストを変更してそのキャラが出る、ということはありません。
これはキャスト変更、卒業が珍しくない2.5次元舞台で実に珍しいことだと思います。
その分キャスト平均年齢がどんどん上がっていくわけですが、当然ファンも年はとっているわけで。みんなで月日を重ねていくこの感じがヘタミュのお客さんまで含めた一体感をより強くしている気がします。
主人公イタリア役の長江崚行くんはSW時高校生。
そんな彼が先月8月26日の誕生日で26歳になりました。
最年長フランス役寿里さんは、SW時34歳。最新作公演を終えた現在43歳でいらっしゃいます。
ついでに筆者は学生だったのが社歴による序列ガチガチの職場においてぼちぼち中堅になりつつあります。
いや、マジでヘタミュって人生。
キャストの皆さんの歌やダンス、お芝居が年々上達したり変化したりするのを観られるのもまた楽しみです。

そんなエモさのつまったヘタミュの最新作です。
ここからはネタバレありの感想になります。


The glorious worldが楽しすぎた記録

今回のお話は統一後の南北イタリア(イタリアとロマーノ)が今後について考えるところから始まります。
これまでのヘタミュはシリーズといっても各タイトルで話が繋がっているわけではありませんでしたが、今回は新シリーズ1作目のイタリア統一の続きっぽくてちょっと新鮮。
さて、英仏の関係がイタリア達の参考になるのでは……?という事でプロイセンによる諸国の記録「俺様日記」が紐解かれ、イギリスとフランスの歴史が語られます。

以下個人的なポイント。

ヘタミュ名物(?)大の大人が全力でかわいこぶる子供時代、イギリス編
過去にはイタリア、ドイツ(神聖ローマとして)、アメリカ、(ライブでおふざけで)プロイセンが演じていますが今回いよいよイギリスの子供時代がお目見え。
このイギリスの癖の強いガキ感が弟のアメリカそっくり。 既視感がすごい。
いや正確にはイギリスに育てられたアメリカがイギリスに似てるってことなんですが。
子メリと兄イギリスの組み合わせは過去の複数作で登場している、ヘタミュファンにとってはいわばお馴染み。
その兄貴の方の子供時代としてここまで腑に落ちまくるガキンチョを演じた廣瀬大介、流石でした。
イギリスといい、アメリカといい可愛いのに確実に様子がおかしいんだよな。

池ポチャソングリバイバル
NW初出の池ポチャソング。プロイセン(ドイツ騎士団)とロシアの氷上の戦いについて歌った曲がGLWでリバイバル。
プロイセン役高本学くんはNWの時にはほぼほぼ新人さん。
それが(ほぼ)同じ曲を歌われたらさ……エグイ成長しているのがわかりすぎちゃうよ……ずるいよ……。
NW、ヘタライ、WW、FWと経るごとにプロイセンとのシンクロ値を更新していく学くんの最新にして最高のプロイセンがそこにいました。

あとは鐘を鳴らすだけアンサー
ヘタライにて初披露されたイギリス・フランスの曲。
ヘタライでは英仏合併のエピソードを元にフランスがイギリスにウエディングドレス姿で結婚を迫っていました。
GLWが英仏の話になると知った時の私は「百年戦争とかでバチバチした後、あとは鐘を鳴らすだけで大団円を迎えてくれたら6年越しの幕張(ヘタライの会場)の伏線回収で泣き笑いしちゃうな……」とか思っていたのですが。
そこは予想を常に超えてくるヘタミュくんでした。
GLWではフランス王家の継承を巡ってイギリスからフランスへのプロポーズ。パートもちゃんと逆になってる。
……こんな完璧なアンサーがあるだろうか。いや、ない。
イギリスお前、ヘタライの時はあんなに嫌がってたじゃん……逃げてたじゃん……。
歴史の時系列としてはGLWのあと鐘でイギリスがフランスに振られたずっと後に、ヘタライのあと鐘でフランスがイギリスに結婚を迫っていることになるのでイギリスの気持ちもわからなくもないのですが。
ヘタライで全力拒否を示すイギリスを見ているこちらとしては、ニコニコ笑顔で歌って踊るイギリスがもう可愛くて……。フランスのドレス姿もまたパワーアップして可愛くて……。
ヘタミュを所謂腐的な視点で見るつもりはないのですが、純粋にこの曲の時の二人がめちゃくちゃ可愛くて本当にありがとうの気持ちでした。
この曲に限りませんが廣瀬大介がダンス上手すぎて、もっと舞台出ようぜってなる。本人の希望だってのは知ってるんですけどね。MOTTAINAI。

ジャンヌ・ダルク
過去作でもふわっと触れられていたジャンヌ・ダルク。
今回ドイツ役上田さんが演じています。ドイツ役をやるくらいなので上田さんの体格はそりゃもうご立派なのですが、ジャンヌは謎に可愛かった。何なんだ。
しかも歌、一部裏声。まさかの高音。何なんだ。イギリスをオーバーキルしている時の「自由演技でーす」には謎の中毒性がある。可愛い。

十五秒間の休憩
前作FWにて導入された「十五秒間の休憩」。十五分でなく十五秒。
座りっぱなしの観客に優しい、立ち上がって体を解せる時間。
FWではちゃんと幕が下りて開いてしていたのが今回はロシアのソロ曲の最中にアナウンスが。
京都初日不参加だったのであとから配信で見たんですがロシアが舞台上にいてもちゃんと立ち上がってて、ヘタミュオタク流石すぎると思いました。反射神経が素晴らしい。
からの、ロシアへのスタオベと「お帰り」。
ロシアは現実の情勢の都合でWW円盤で曲の一部が差し替えとなり、FWはキャラごとシエスタ(お休み)でした。
戻ってきたロシアを迎える会場の温かい空気が正にヘタミュ。これだから好きだよヘタミュ。

イギリス海上封鎖~アメリカ独立戦争
過去作のイギリス曲がメドレーで。
ヘタミュの曲は本当にどれも好きなんですが特にイギリスのロックは本当にかっこいい。
それが怒涛の勢いで波状攻撃してくるものだから私は初見時、呼吸困難になりかけました。
間違いなくかっこいいのに「ロックだ」と「ロックダウン」の駄洒落しかけてくるの情緒おかしくなるから本当やめて(褒めてます)。
負けたイギリスの打ちのめされっぷりがまた見事で見ているこっちまで胃が痛くなる。

カナダさん
とうとう登場してしまった、カナダさん。
アメリカ役磯貝龍乎先生の兼ね役です。
これをやったら次はもう体縦半分でカナダとアメリカの二役をやるしかないですね。

普仏戦争
物語のクライマックス。
まずプロイセンが本当にかっこいい。ドイツ統一に向け時代を切り開いていくプロイセンは過去作でも登場していますが学ちゃんが最高を更新してくれるので見飽きない。
特に今回はフランス(帝国主義側)の一方的な愛に対して自由と独立を歌うという切り口に学ちゃんのひたむきで刹那的なまでのプロイセンの情熱が合うこと。
かっこよすぎて大変だよ、本当。
からの、英仏協調。え、何なん?お前ら仲良しじゃん。何なん??
こんなさ、普段は仲悪くて喧嘩ばかりだけど、だからこそお互いの良いところも悪いところも知っているみたいなさ、お前と対等に渡り合えるのは俺だけだし俺と対等に渡り合えるのはお前だけみたいなさ、え、こんなんオタク大好きじゃん。ずるい。ヘタミュ半端ないって、マジで。何なん??
あと普仏戦争って前々作でもクライマックスだったのですが、WWではロマーノがイギリスから押し付けられたものの食べずに持っていたスターゲイジーパイを口に突っ込まれたフランスが負ける、という表現だったんですよね。
実質イギリスのせいで負けている。それが今回はイギリスの協力を得てなお負けているので、パラレルワールドっぽいなとか思ったり、切り口、視点、中心に置かれている軸が変わると見え方が変わる感じが実際の歴史っぽいなとか考えたり。

以上、印象ポイントでした。
上記で名前が出せなかったキャストさんたちも皆素敵でした。
イタリア役長江崚行くん。いついかなる時でもイタリア。かわいい。そしてかっこいい。
あと歌がとんでもなく上手い。高校生の時点ですでに才能の塊、よくできた子だったのに未だに成長している。すごい。
地球まるっとの「傾げた塔」の振付が特にめちゃくちゃかわいくて好き。
何だあれは。可愛すぎて私が傾くわ。

フランス役寿里さん。やばいくらいフランスお兄さん。美しい。
地球まるっとのウォーキングからの「パリジェンヌ」は毎回心の中で「foooooo!リアルパリコレ!」と叫んでいます(寿里さんはガチのパリコレ経験者)。
ふざけてたかと思うと、帝国主義バチバチで悪役っぽい圧出してきたりする。メリハリが最高。
一つの役の中でこれだけ振れ幅大きく演じても役自体はぶれないのは、それだけキャラへの理解が強固なんだと思います。永遠にお兄さんやってて欲しい。
というか、ヘタミュは本当にみんなおじいちゃんになってもやろう……。
私もおばあちゃんになっても観に行くから……。

ヘタリアは国の擬人化作品なのでヘタミュでは国同士の戦争もたくさん描かれます。
そこで血を流した方々、亡くなられた方々を思えば歴史を単なるエンターテイメントとして軽々しく受け止めてはいけない。
植民地政策だって兄弟関係として描かれているけれど実情はそんな温いものではない。
それは重々承知しています。
その上で国同士の関係の物語というフィルターの向こうに人間にも通じるドラマがあって、それがとても共感できて温かいから私はヘタミュがとても好きです。

今作の初日でヘタミュは通算100回。ぜひ1,000回を目指していただきたく。笑
というか、初回から出ていて今回初めてシエスタした日本・中国は次作(出れば)の初日で100回目の出演になりますね??行かないと。
千穐楽には次回作の発表もありましたし。
崚行君が言ってくれた「三部作じゃありません!」、旧シリーズが三部作だったのが地味にトラウマになっているオタクとしてはすごく嬉しかったし、救われました、命が。
なんせヘタミュは人生だから。終わってしまっては困る。

というわけで来年を楽しみに待ちたいと思います。
その前に今作の円盤か!配信見ながら円盤を待ちます。

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