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たまたま読んだ本039 休養学: あなたを疲れから救う休養が学問? 本当の休養って?

休養学。休養が学問に

書名を見て、休養が学問?と思ってしまった。
疲れたら休んで、英気を養えばよいのでは、と、素朴な疑問。
同書でも、「休むことは誰にでもできる」「わざわざ学ぶような話ではない」と思われていると前置きしている。ただ、最近は神経を使う仕事が主流で疲れがうまく取れない恐れがある。
元々、疲労とは、休まないと危ないよと、痛みや発熱と同じように人体が発している警告だという。

現代は若い女性が一番疲れているようだ。でも疲れているから休みますとは言えないし、休むことイコールなまけること、さぼることだと捉え、休むことに罪悪感を抱いている状況だと、もっともな指摘。
でも、アスリートには「そろそろ休みなさい」と客観的なアドバイスをしてくれるトレーナーがいる。しかしビスネパーソンにはトレーナーがいない。
と、休養学が始まる。

疲労はどこから来るのか。
もとはストレスからくる。
ストレスを与えるものは、ストレッサーと呼び、
1)物理的ストレッサー:暑さ、寒さ、騒音、混雑、振動
2)化学的ストレッサー:公害、薬物、化学物質
3)心理的ストレッサー:不安、緊張、怒り、悲観
4)生物学的ストレッサー:細菌、感染、ダニ
5)社会的ストレッサー:家族関係、友人関係、人間関係
と、いろいろなストレッサーに囲まれて生きている訳だ。

ストレスで免疫が働かなくなり、血糖値が高くなることもある。
交感神経が優位になると目が疲れたり肩がこったりするのは、筋肉が緊張するからだ。律神経により、毎朝、太陽の光を浴びることで生体時計がリセットされる。
自律神経とは、24時間サイクルで私たちの体を、その時間帯に最適な状態に自動的に調整する神経で、しっかり休むには、夜、副交感神経が優位てあること。

活力を高めるためのポイントは、疲れたら、休みつつ、負荷をかけること。体養だけでは50%程度しか充電できなくても、活力を加えて満充電に近いところまでもっていけるという。

活力を高める上手な負荷のかけ方は、
1)自分て決めた負荷てあること。
2)仕事とは関係ない負荷であること。
3)それに挑戦することで、自分が成長できるような負荷であること。
4)楽しむ余裕があること。
もっと積極的・主体的に休む攻めの休養が良いらしい。

同書が提唱する休養学では、・生理的休養・心理的休養・社会的休養があり、すべてで7つの休養モデルがある。
1)生理的休養その1「休息タイプ 」
これは一旦活動を停止して休息する消極的休養のこと。
2)生理的休養その2「運動タイプ」
適度な運動をすることで、血液の流れが良くなり、より疲労回復が進む。お風呂に入ると水圧がかかるので、一カ所にとどまっていた血液が心臓に押し返され、血行がよくなり疲れがとれる。
3)生理的休養その 3「栄養タイプ」
「腹八分目」で寿命は本当に延び、活力を得るためには、必要以上に食べないことを心がけることが体に休養をとらせることになる。
スイーツでは疲れはとれないし、副交感神経を高めてリラックスすべきタイミングで食べすぎてしまったり、甘いものを口に入れたりしてしまうと、緊張・興奮状態になり、リラックスどころか逆効果になる。
お酒は精神的なリラックス効果が期待できるものの、肉体的には負担のほうが大きいようだ。

心理的休養には、親交タイプ、娯楽タイプ、造形・想像タイプがあるという。
4)心理的休養その 1 親交タイプ
言葉を交わすだけで十分「親交」になるが、人づきあいが好きでない場合は無理にする必要はない。当然。
赤ちゃんやペットを撫でるとき、1秒間に 5~10cm くらいの割合で手を動かすと「幸せホルモン」のオキシトシンが分泌されやすくなる。
5)心理的休養その 2 娯楽タイプ
趣味嗜好を追求する休み方で、自分が心地よいと思うリズムやスピードを覚えておいて、それを休養のときに利用するとよい。
6)心理的休養その 3 造形・想像タイプ
絵を描く、詩を書く、作曲とか、ハンドメイドや日曜大工で何かをつくる創作活動全般。 1 つのことに集中すると、疲労を忘れることができる。好きなことについて空想するだけで十分だとのこと。

7)社会的休養 転換タイプ
転換タイプの最たるものが旅行。

休養には以上のタイプがあり、各タイプを複合的におこなうことで、疲労回復効果が2倍にも3倍にもなる。
でも、よくばりすぎないことが大事。

昼寝すると・疲れがスッキリとれる・判断力・理解カ・集中力が上がる・やる気がアップする・自由な発想が生まれやすくなる・作業効率が上がると、いいことがたくさんあるが、寝すぎないことが重要。

仕事が一段落しなくても、まず休む。
疲労したから休むのではなく、疲労しそうだから先に休んでおく。
すき間時間こそ休養するのにびったり。無駄話などもと職場でも対話も大事。
著者は、疲労で休むのは仮病ではない。疲労は未病だと、その回復に休養学の活用を促すようだ。


休養学: あなたを疲れから救う

出版社 : ‎ 東洋経済新報社
発売日 : ‎ 2024/2/28
ページ : ‎ 216ページ 
定 価 : 1500円+税

著者プロフィール
片野 秀樹(カタノ ヒデキ)
日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)
博士(医学)、一般社団法人日本リカバリー協会代表理事。株式会社ベネクス執行役員。
東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)。

トップ写真:オミナエシ


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