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情報AIドリルの学習から確認テスト受験までの日数別の成績を分析して理解の定着度を測る

はじめに

こんにちは、ライフイズテックでデータサイエンティストをやっているホンディーです。今回の記事は学習塾や予備校向けに提供している情報AIドリルで学習した内容の定着度の分析のお話です。(情報AIドリルの学習成績のデータにフォーカスした記事を書くのは、昨年12月のこちらの記事以来ですね。)

情報AIドリルの学習の進め方について

上記の記事でも少し書いているのですが、改めて情報AIドリルの基本的な学習の進め方を説明します。

情報AIドリルは「ドリル」という名の通り基本的に問題を解いてその解説を読むことで学習を進めていきます。もちろん、ドリル問題だけでなく予習用のスライドや、予想問題、各種模試などのコンテンツもありますが、メインになるのは各学習項目の問題を解くことです。

単元によって少し構成が異なりますが、基礎問題や演習問題をそれぞれ金メダル(満点)を獲得できるまで繰り返し学習していただきます。そして、金メダルが揃ったら日を開けてその学習項目の「確認テスト」を受験していただき、間違えた問題に応じてドリルが提案する復習問題を学習していただきます。

確認テスト成績の分析の重要性

この「確認テスト」の成績は教材の改善を目指す上で非常に重要です。

確認テストの受験までに基礎問題や演習問題を金メダル獲得まで繰り返し学んでいるわけですから当然ある程度高い点数を取れることが期待されます。もしそうなっておらず、点が取れていない学習項目があるならそれまでの問題や解説を見直さなければいけません。

一方で、ほとんど全員が満点を取れるようなテストになってしまっていたらそれも課題です。第一に受験していただく時間がもったいないです。せっかく時間を取って受験していただくのであれば、その生徒にとって比較的苦手な分野を洗い出し、適切な復習問題を提示できるものにすることでできる限り効率よく学力を向上できるものにしたいです。

これらの問題が起きていないか確認し、情報AIドリルを生徒のみなさんがより効率的に学力を向上できる教材へ仕上げていくために、確認テストの成績はこまめに確認し分析しています。

テストの成績と学習からの日数

さて、確認テストの成績を分析するとなると最初に着手するのは平均点や問題ごとの正解率の集計です。

この時、先出の昨年12月に書いたnote、「塾向け教材の解説改善効果を分析したときにはまりそうになった落とし穴」で遭遇したのと同じ問題が発生します。

基礎問題や演習問題の金メダルを取得してから、テストを受けるまでの日数が塾や予備校、その生徒本人の学習方針によってばらばらで、学習項目によっては学習完了(金メダル取得)からテスト受験までの日数が異なるのです。

全く同じ問題を解くわけではないので、金メダルを取れなかった問題の再学習ほど顕著な影響があるわけではありませんが、確認テストの受験においても前回の学習からの経過日数は成績に影響することがあり、分析においてはこれを考慮して対応する必要があります。

昨年12月と現在のデータ分析環境の違い

一方で、前回の記事を書いた頃と現在では明確に状況が変わっている点があります。それは情報AIドリルを利用いただいている生徒の数です。

昨年時点ではまだ共通テストに情報Ⅰがなかったため、生徒数が少なく、学習間隔別に分析する必要があるとなるとデータ量の不足に悩まされることがありました。しかし現在では、来年1月の共通テストから情報Ⅰの受験が始まり、それに備えて非常に多くの生徒が情報AIドリルで学習してくれています。

その結果、金メダル取得から3日以内に確認テストを受けた生徒、1週間経過してから受けた生徒、4週間以上経過して受けた生徒、というように学習間隔別に分けても十分多くのデータを集められることが多くなり、分析に活用しやすくなりました。

実際のデータの紹介

それでは、学習から経過日数別にテストの点数を集計したら何がわかるのかというのをお見せするために、確認テストを4つピックアップしてグラフにしました。
下図の4本のそれぞれの線が4種類の確認テストに対応しています。そしてX軸が学習を終えた日(金メダルを揃えた日)から確認テストを受験した日までの経過日数を5段階にまとめたものです。

分析としては非常にシンプルな、ただ平均点をプロットしただけの折れ線グラフですが各テストの特徴が出ていると感じませんか?

一番上の青い線、確認テストAは学習直後に受験してもある程度時間が立ってから受けても高得点が取れていますね。これは単純に問題が易しいと言えそうです。(実はこれは情報AIドリルの本当に最初の確認テストで、この出題範囲ではあまり難問が作れないのです。)

その次の2本、オレンジの確認テストBや、緑の確認テストCは時間が経過すると点数が下がっていっています。「時間が経つと学んだことを忘れてしまう」というありがちな現象が素直に観測されています。特に確認テストCの方は1ヶ月以上経過するとかなり忘れてしまっています。

コンピューターやネットワークなどの機器の名前、文字や数値の表現など、高校生にとって日常生活ではあまり聞かない用語を覚える必要がある分野の確認テストでこのような傾向が観測されやすいです。

最後の赤い確認テストDの点数は、元々低めなのですが、時間が経過してもなかなか点数が下がりません。これは一度ちゃんと理解して解けるようになれば、時間が経っても安定して解ける事が多い分野でよく見られる推移です。具体的には「プログラミング」や「データの活用」などの分野によくあります。

分析結果の活用にむけて

確認テストの平均点を単純に見るのと比較して、このように時間経過の影響まで見ることで、ここは一度できるようになったら大丈夫だ、この分野は定期的に復習してもらったほうがいい、という判断ができるようになります。

さらに、これまでには金メダルの取得にかかる学習期間(=確認テストの受験にたどり着くのにかかる時間)についても分析してきたので組み合わせればより深い考察が得られます。

いよいよ共通テスト本番も近づいてきていて、一層効率的な学習計画が重要になっています。これらの分析を通して、「この分野は理解するのに時間が掛かるが一度理解すれば忘れないから早めに学習してもらおう」とか、「ここは忘れやすいから試験直前にしっかり復習してもらおう」といったより具体的な対策スケジュールを立て、成果につながるサービスにしていきたいなと思います。


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