「アメリ」監督作品 Netflix映画「ビッグバグ」
時は2045年。
あながち、そう遠くない未来を描いたSF映画を創った彼の自信と勇気にまず私はハッとさせられた。
まさに現在のコロナ禍で家から出れない状況を連想させられ、その中で人はより一層親密になり愛が生まれる。その反面でどちらかがずっと我慢していたことが露わになり、儚くも愛が壊れていく様も描いている。
脚本を描いて、キャスティングから撮影、編集…
どのようなペースでこの作品を創り上げたのでしょうか。
ジュネ監督は現在68歳。
絵コンテも毎回「自分は天才じゃないから」と自身で描いているそうなのですが、今回も同様なのかもしれませんね。
やたらと「焼きコオロギ」や虫を食べているところにもハッとさせられ、そうか。いよいよ栄養価が高い虫を常時食す時代に突入しているのですか2045。なんとも言い難い感情になりました。人間も十分恐い。
目の前の事に必死に生きている自身とは対照的に、少し先の未来をきっとワクワクしながら思い描くジュネ監督。
自身のスケールの小ささに恥ずかしくもなり、世界を俯瞰している監督にハッとさせられっぱなしの作品でした。
以前「アメリ」のインタビューで(アメリLOVE!)(LOVE!AMELIE!)
今回もそのような感じで、人を感動させれるような、ずっしりと重くならない軽い映画を創りたかったのかなと想像しました。
黒澤明監督の「映画のワーンシーンを切り取った時、絵画の様に美しくなくてはいけない」といった言葉に心を打たれ、それがある種自分の哲学になっているそうです。
レトロでパステル調の絶妙な配色のインテリアも素敵でしたし、本当に人間性が滲み出ているファッションのスタイリングやヘアメイクにも着目していました。
感情に寄り添ったカメラワークにもグッときました。
アメリでは車や通行人が映り込んでしまうパリでのロケが大変だったようで「気が変になりそうだったよ」と語っていたのも今回の「ステイホーム」の世界観はピッタリハマったように伺えます。
そして数えきれない程の切り口の鋭すぎるボケの数。
個人的に好きな台詞は
空気中に舞う埃を見た娘ニーナの感想が「見てパパ、お星様みたい」
母アリスの部屋のセキュリティーの合言葉がいちいち「ニルヴァーナ」だったのもシュールでツボでした。
アリスと元夫の結婚記念日を11月22日に設定していた事にもとても驚きました。バックグラウンドは日本なのでしょうか。日本人としてはとても嬉しい親近感とそんなところにも緻密な設定があり、関心してしまいました。きっとジュネ監督はHSPな気がします。。
「ホモ・リディキュラス」というアンドロイドが同性愛者を卑下するような番組も描いていて、想像の未来の中には繰り返される黒い時代背景なんかも存在していて恐ろしいですね。
そして感情までもをダウンロードすると言う概念がありますか。
本心までもアンドロイドにデータ化されてしまっては恥ずかしすぎて何も言えなくなってしまいますね。
私は理由もなくジャン=ピエール・ジュネが好きなんだなぁ。
クレジットに犬の「トビー」もちゃんと入れているところも大好きです。
いや、アンドロイドからしたら好きという感情にさえも化学的根拠はあるのかもしれませんね。
2045年を楽しみに、いやここまで全てが丸裸になっては全然楽しくないかも。
誰にもジュネは理解できないし、誰にもジュネは止められないのさ。(?)
長生きしてください
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