背景というポジション
イラストレーター mocha（モカ）さんをご存知でしょうか？
私は彼の作品に一瞬にして引き込まれました。
アニメーション背景から朝ドラ主題歌のCDジャケットまで、幅広い作品を手掛け現在注目を集めているイラストレーターの方。
私が彼の作品を初めて見たのは、コニカミノルタプラネタリア TOKYOポスター。
絵かと思うくらいのイラストに、心がうずうず。
彼の作品展『mocha展 星しるべ』も大人気で、 2022年3月から全国で開催中。
2023年3月までの僅か1年間で約5万5000人を動員し一部作品が完売になるなど、日本各地で圧倒的な人気を博しているそうです。
背景という黒子に徹する
彼のコメントで、彼の職業観に驚きました。
背景というパーツが作品の中でどんな役割をするのか、その意図が1カット1カットに詰まっているんだなと思います。
何よりもこだわっているのは『分かりやすさ』です。元々アニメの背景を描いていたこともありますが、アニメは、シーンによっては１秒も表示されずにカットが切替わることもあります。昨今のSNSも同じで、アニメもSNSのタイムラインも絵が一瞬で流れていってしまいます。そのため、イラストが一瞬しか表示されないことを想定し、どんなに密度のある複雑なイラストだとしても、コンセプトや主役となるものがスッと入ってきて、理解できるものを目指しています。
具体的には、絵の中でどこかをぼかしたり、抜けをつくったり、物の配置や色の変化でキャラクターに視線を誘導したりします。キャラクター周辺の描き込みを他の部分より増やすなどして、「背景」の役割を常に念頭において作業しています。
Copyright (c) 1996-2024 EIZO Corporation.
アニメーションやシーンの背景が映るのは一瞬。
もしかしたら見逃した人も大勢いるかもしれない。
しかし、その一瞬の背景にはこんなにも深い思いを込めて作っている人がいるんだということを忘れてはならないなと思いました。
そして絶対に人の心を動かすパーツに背景も絶対に影響しているんだと確信にもなりました。
私はディレクターなので何かを生み出す側ではありませんが、頂いた素材やパーツを最高のものに魅せられるよう、心を込めて仕事しようと襟が正されました。