『飲む日焼け止め(サプリメント)』を試す前に、日本の市販薬はいかが?
海外で流行っているらしい『飲む日焼け止め』。日焼け止めを塗るのが面倒だったりベタつくから嫌だ、といった外国の男性が、飲む日焼け止めによって肌や目のほてりや刺激が激減した、なんていう記事を目にしたことがあります。
たしかに日焼け止めは塗り直さないといけないし、べとつくし、面倒。塗りたくない! という気持ちは女性の私でも感じます。
そこで登場した『飲む日焼け止め』というキャッチコピーのサプリメント。飲むだけでいいのですから、確かに使ってみたくなる気がします。
ですが、『海外のサプリメント』と『日本の市販薬』を天秤にかけるとしたら、どちらを試してみたくなりますか? 今回は、『日本の市販薬』でできる日焼けケアについてフォーカスします。
海外の飲む日焼け止めは、何が入っている?
海外の飲む日焼け止めは、主に①フェーンブロック、②ニュートロックスサン、という植物由来の成分が配合されています。以下は主に製造元のサイトを簡単にまとめたものです。
①フェンーンブロック
ヘリオケア360°シリーズの飲む日焼け止め
出典:ヘリオケア公式サイト
フェーンブロックは、カンタブリア社(スペイン)という日焼けやニキビ、皮膚再生などの美容健康に関する製品を専門とする会社のブランドの一つであるHeliocareから販売されている日焼け止めの主な成分です。
ハーバード大学医学部とカンタブリア社の共同で開発されたもので、 フェーンブロックは中米などの熱帯にあるシダ植物、ポリフェニル・ロイコトモス(Polypodium leucotomos)という植物のエキスのこと。
植物エキスですので単一の成分ではなく複数の成分が含有されています。具体的には
p-クマリン
フェルラ酸
コーヒー酸
バニリン酸
クロロゲン酸
が含まれている可能性があります。このポリフェニル・ロイコトモスは生息を水中から陸上へ移行する進化の過程で、太陽光から身を守るための自己防衛・修復機構を持つようになったと考えられています。
メキシコから中央アメリカにわたってきたチョロテガ族という先住民がこのポリフェニル・ロイコトモスを肌トラブルに用いていたといわれています。
(ちなみにポリフェニル・ロイコトモス以外にも、他の植物がポリフェノールなどの抗酸化物質を含んでいるのは紫外線や太陽光からの自己防衛からだと考えられています。)
参考:カンタブリア社公式サイト
②ニュートロックスサン
ニュートロックスサンが配合されたアイテムは世界各国で発売されている
出典:Nutroxsun公式サイト
ニュートロックスサンはモンテローダー社(スペイン)という美容、健康、栄養補助食品、健康に関するアプリなどの分野を専門としている会社が出しているサプリメントです。比較的新しい商品です。
ニュートロックスサンの成分は、グレープフルーツエキスとローズマリーエキスの混合物。ハッキリとはこのエキスのどの成分が効果的に効いているのか、どのようなメカニズムで日焼けに効いているのかはわかっていません。
ただこれらのエキスに含まれる成分の『抗酸化作用』から、紫外線を浴びたのちに発生する、肌の老化を早めてしまう活性酸素を防ぐことができるのではと考えられています。
紫外線から活性酸素が生じると、その後に炎症を伝達するサイトカインや細胞内シグナル伝達が活発に進み、しみ、しわ、日焼けを生じます。
以上のように、どちらも紫外線の強いスペインという国から生まれた植物エキス由来のサプリメントだということがよくわかります。
これらのサプリは一部の美容皮膚科や海外のサプリメントを取り扱うサイトから個人輸入にて入手できるようになっています。
フェーンブロックに使われるシダ植物のポリフェニル・ロイコトモスは初耳で、自分で飲んでみるにはちょっとチャレンジだな、と感じました。
ニュートロックスサンに使用されるローズマリーやグレープフルーツは馴染みがあるので、安心感という点では、まぁ使ってみてもいいかな、という気にさせてくれます。
しかしその一方で、ローズマリーやグレープフルーツなら自分でお茶にしたり食べたりしたりすればいいではないか……とも思ってしまいました。
また、植物エキスというのは、天候など植物の出来によって含まれている成分の量が大きく変化しますので、その点でも不安があります。
日本の市販薬で、日焼けケアはできる
ところで日本の市販薬には、『日焼けによる色素沈着』を緩和する、と効能効果に書かれた市販薬が存在します。
出典:『飲む日焼け止め』薬局で買える市販薬おすすめ28選!編集部が徹底比較
主に『L-システイン』と『ビタミンC』が配合されています。
出典:『飲む日焼け止め』薬局で買える市販薬おすすめ28選!編集部が徹底比較
さらに肌の代謝を改善するビタミン『ナイアシンアミド』、『ビタミンE』、『ビタミンB2』、『ビタミンB6』、『パントテン酸』などが補助の成分として配合されています。
安心材料は大きく2点あります。
ひとつはどの成分もアミノ酸やビタミンであること。
さらにもうひとつは医薬品であり、サプリメントのような食品品質ではなく医薬品品質である、ということが挙げられます。
医薬品ならではのこととして、効能効果がきちんと明確に書かれています。これらを踏まえると、個人的には海外サプリメントを試す前に日本の市販薬から試してみたほうがいいだろうなぁ、と思わざるを得ません。
L-システインの美白パワー
メインと考えて欲しい成分のL-システイン。このL-システインは黒色メラニンができるのを防ぎ、黄色のメラニンができるように促してくれます。
また、シミをつくる酵素のひとつである『チロシナーゼ』の邪魔をして、メラニンができにくくしてくれます。
さらには皮膚の代謝を改善し、シミが垢になって剥がれるのも助けてくれます。
市販薬では1日の摂取量が最大で240mgの商品が販売されているので、それを選ぶといいですね。(商品の選び方の詳細やおすすめはリルにてご紹介中です。)
L-システインを含む商品を『飲む日焼け止め』と表現するのがふさわしいかどうかはわかりませんが、詳しい作用メカニズムもわかっていて含有量もはっきりしているL-システイン入りの日本の商品の方がフェーンブロックやニュートロックスサン含有の商品よりも、日焼けケアの錠剤として軍配があがるかと思います。
知識でもっとキレイになれる
今回は飲む日焼け止めの成分についてお話ししました。個人的には海外のサプリメントより日本の市販薬を推奨いたしました。
美肌づくりのために化粧品やサプリメントをローテーションしていても、前に使っていた商品とは異なるアプローチで綺麗になるには、やはり成分について知っておくことが一つのキーポイントだと思います。
少しずつ美容成分の知識を貯金して、賢く綺麗になるお手伝いをさせていただきたいと思います。
薬剤師・化粧品成分上級スペシャリスト:二宮恵子