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Vol.15 「大学院生の就職活動」外国ルーツの学生向け。日本での就職活動ガイド
こんにちは、Living in Peace(以下、LIP)難民プロジェクトです。
大学生の就職活動(以下、就活)に関する情報は多くありますが、大学院生の就活はどういう感じなのか、気になる人もいると思います。今回は、これから大学院に入ることを考えている方、または大学院在学中の方にぜひ読んでいただきたい、「大学院生の就活」についてお話しします。
日本では、大学を卒業した後の進路を大きく2つに分けると、一般的に「就職」と「大学院に進学」があります。
◆大学院はどういう場所?
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大学の学部課程の上に設けられ、学術の理論および応用を教育研究し、文化の進展に寄与することを目的とするものである
簡単に言うと、大学を卒業したのちに進学し、今までの学びをより一層深く研究するための場所です。
「修士課程」(2年)を修了した人には「修士」の学位、「博士課程」(5年)を修了した人には「博士」の学位が与えられます。本記事で言う「大学院生」は「修士」のことを指します。
◆学費は?
国立ー135万円(1)
授業料:520,800円/年、入学料:282,000円、検定料:30,000円
私立ー167万円(2)
授業料:824,000円/年、演習料他:17,000円
(2)(例)早稲田大学大学院入試情報
以上がおおよその目安になります。実際の金額は学校やプログラムによって異なり、条件に応じて減額・免除・奨学金制度が利用できる場合もあるので、前もって学校のホームページを確認しておきましょう。
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◆大学院に進学する準備
大学院に進む前に、まずは自分が本当に研究したいことをじっくり考えて、将来のやりたいことから逆算して、学科や専攻を慎重に選びましょう。
志望校が決まったら、試験の日程と出願の要件をおさえておきましょう。
◆入学の時期
入学の時期として、一般的に4月入学、または9月入学があります。
※具体的な実施時期と出願要件に関しては、大学院やプログラムによって異なるので、早めに該当のホームページを確認しておきましょう。
出願の書類として、研究計画書(2,000字程度)が求められる場合があります。研究計画書はこれからの研究の基盤であり、自分が大学院に入る目的を考える機会でもあるので、時間をかけてじっくり考えましょう。また、面接の時も研究計画内容について質問されるので、参考文献の収集も含めて早めに準備を開始することをおすすめします。
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◆就職活動
(1)スケジュール
大学院に入ったら、研究に専念することはもちろん、卒業後の進路のことも考えなければいけません。就職活動はできる限り早めに準備しておくと焦らずにスタートを切れるでしょう。
修士1年目の3月には就職活動がスタートします。そのため、修士1年目には自分のやりたいこと、受けたい企業などを考えておく必要があります。場合によってはインターンシップへの参加も考える必要があります。
※一部企業では3月よりも前に選考がスタートするケースもあります。情報は事前にチェックしましょう。
(2)早めに就活準備をはじめる理由
早めに就活の準備をすべき理由はいくつかあります。
研究は思っている以上に忙しいため、就職活動と並行して行おうとすると非常に大変です。前もって就活の準備を進めておくことで、研究活動も余裕をもって取り組めます。
研究室だけでは知り合えない学生と知り合え、良い刺激になるだけでなく情報収集にも役立ちます。
*SPIとは、多くの企業の採用選考で利用されている「適性検査」で、内容は大きく2つに分類される。
1つは働く上で必要となる知的能力を測る「能力検査」、もう1つは、応募者の人となりを把握するための「性格検査」。
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悔いが残らないよう、就活は余裕があるうちにはじめましょう!
◆大学院生の就職先
大学院生にはどういう就職先があるのでしょうか。
特に理系の院生には「研究職に就く」というイメージが一番最初に浮かんでくるかもしれませんが、実は多様な就職先があります。
自分の専攻がどういう職業に活かせるのかについて、以下の例を参考してみましょう。
経営学(MBA):金融機関、外資系企業、コンサルティング
情報・IT系:プログラマー、エンジニア、開発研究職
社会・国際・環境・文化:国際機関、環境担当技術者
文学・語学・宗教・歴史:教育関係、編集・印刷
心理、芸術・工芸・デザイン:相談センター、デザイナー
技術経営(MOT):技術開発
法・政治・政策:法務、弁護士、法律事務所
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また、「全く異なる職種に就く」パターンも実は珍しくありません。自分の専攻と全く関係ない職種でも、選考で自分の能力とやる気を積極的にアピールすれば受け入れてもらえる可能性があります。しっかり準備した上でチャレンジしましょう!
◆最後に
「就職が難しそうだからとにかく大学院に入る」と、考える人もいるかもしれませんが、そのような理由で大学院に入ってしまうと、研究が苦になり、修了しても成果を残さないままだと就職するときにマイナス評価になる可能性があります。したがって、大学院に進むことに関しては慎重に考える必要があります。また、一つの選択肢として、社会人になってから大学院に入ることも可能です。
しかし、学部生の時点で専門的に研究したいものがあれば、大学院に入ることは非常に良い機会になるでしょう。研究に没頭する時間も人生において貴重な経験になりますし、大学院の研究で鍛えた論理的思考能力、情報の収集力・分析力・判断力、文章力などもその後の仕事に活かせて、一生の財産になります。ただ注意しないといけないのは、大学院の2年間はとても短く、研究と同時に就職活動も進めなければならないので、研究、就活両方において早めの対策をすることがおすすめです。
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今回は、大学院生の就活ついて説明しました。ひきつづき、就職に関するお役立ち情報を更新していきますので、ぜひチェックしてくださいね。
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執筆:関千韻(Living in Peace)
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