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イベントレポート:『GLOBALIZED 2019 外国人と共に歩む未来のビジネス』
2019年6月19日、日経BP総研さん主催の『GLOBALIZED 2019 外国人と共に歩む未来のビジネス』に参加してきました!
「GLOBALIZED 2019」は、上記に載せてあるWebサイトのメッセージの一節にもある通り「急速にグローバル化する日本に求められる新しいビジネスとテクノロジーを体感できるカンファレンス」ということで、様々な業界の方々が、「改めて、外国人にサービスを提供するとは?」、「外国人と共に仕事をするとは?」について多角的な視点からお話ししてくださいました!
さて、私がそもそも今回のイベントに参加したきっかけは、デザイン部のメンバーから「こんなイベントがありますよ!興味のある方はお声がけください〜」とチャットで呼びかけがあったからなんですね。実は、ゴーリストは約3割の社員が外国籍メンバーなんです。なので、普段から外国籍メンバーの皆さんと一緒に仕事をしているのですが、「いつもメンバーにお世話になってばかりだから、メンバーとのお仕事やコミュニケーションで役立つ情報があればいいな!」と思ったのが参加の理由です。
1. キーノート&オープニングセッション
さて、今回のカンファレンスなんですが、13時から14時45分までは会場全体で同じお話を聞き、15時以降はブースごとに分かれて、各個人で聞きたい個別のセッションを選べるようになっていました。
1-1. 羽田未来総合研究所の担う役割 ~インバウンド6,000万人時代へ向けて~
まず最初は、全体セッションを参加者全員で聞きました。最初は、羽田未来総合研究所、代表取締役社長 大西 洋氏による『羽田未来総合研究所の担う役割 ~インバウンド6,000万人時代へ向けて~』というタイトルのお話でした。羽田未来総合研究所さんは、文化、情報、知的情報を用いた戦略の立案から実行までをトータルで請け負い、”日本”の価値向上を目指されている会社さんです。
ここ数年、ニュースで「インバウンド」という言葉をよく耳にするようになりましたよね。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したこともあってか、2018年(平成30年)には訪日外国人客数は3119万2000人を記録したとのこと。伸び率では2015年がピークだったようですが、2016年に初めて2000万人を突破し、2018年には3000万人を突破したこともあって、多方面から「日本の経済に良い影響を与えるのではないか?」と期待が寄せられています。
とはいえ、これだけたくさんの外国人の方々が日本に訪れてくれているにも関わらず、実は日本は中国、ASEAN諸国と比較して、欧米からの訪問者が伸び悩んでいる状況とのこと。日本では、今まで高品質なものを低価格で販売するという戦略がメイン路線でしたが、これからはマーケティングやブランディングを戦術的に使って、ラグジュアリー&プレミアム感のあるサービスや製品の提供が必要になってくる時代に突入しているんですね。
また、今まで日本では、チームでいろんなものを作って売り出していくということをやっていましたが、いい意味も含めてグローバル化が進んだことで身分や階級ではなく、個人の能力がより求められるようになってきました。そのことについて、大西氏が「世界がフラット化したからこそ、階層がなくなり、最小単位である個人が台頭する時代。これから30年、一番のビックトレンドは人・個人」と仰っていたのが印象的でした。今までは企業がイニシアチブを発揮していましたが、これから個人でもチャンスを取りに行けるように、己の能力を高めていくことが大切なんですね。
1-2. Globalized 多言語化で拓く未来のビジネス 〜インターネットを母国語で楽しむ世界へ〜
続いて、オープニングセッションでは、Wovn technologies 株式会社、代表取締役社長 林 鷹治氏による『Globalized 多言語化で拓く未来のビジネス 〜インターネットを母国語で楽しむ世界へ〜』についてのお話を伺ってきました!
Wovn technologies 株式会社さんは、「世界中の人が、全てのデータに母国語でアクセできるようにする。」をミッションを掲げて、Webサイトの多言語対応を含めた「多言語化開発」をされている企業さんです。
タイトルでは、『Globalized 多言語化で拓く未来のビジネス 〜インターネットを母国語で楽しむ世界へ〜』とのことでしたが、メインのお話は「枯れた技術の水平思考」についてでした。「枯れた技術の水平思考」とは、元任天堂のゲーム開発者・横井軍平氏の製作哲学の1つで、最先端の技術ではないが、広く一般にも使われていて、ノウハウも不具合も出し尽くして安定して使える技術に、今まで無かった使い道を与えることを言います。
枯れた技術=既に普及した安定技術
×
水平思想=他の価値観の提供
もともと林氏はソフトウェアのエンジニアをされていたそうなんですが、「ホームページの多言語化ってすごく手間も掛かるし、すっごく複雑!」と悩まれていたそうです。
そこで、「もっと簡単に多言語化できるようにできないかなぁ」と考えておられた際に、この「枯れた技術の水平思考」という発想の元に生まれたのが、「WOVN.io」というウェブサイトを様々な言語に多言語化できるサービスです。既に存在しているウェブサイトやページに後付けて導入するこもできて、多言語化に必要なシステム開発、翻訳にかかるコストと人的リソースを削減できるという素晴らしいシステムです。
また、イベントとは直接は関係ないのですが、「WOVN.ioを使ってみた!」というnoteも発見したので、よければこちらもご覧ください。(※ただ、今のWOVN.ioさんのサイトとは、かなりデザインが違うサイトの画像がトップ画像として使われているので、もしかすると現行サービスとはすでに提供内容が変わっている可能性もありますので、その点はご注意ください。)
また、今回は新しいサービスの発表もありました!WOVN Workboxという社内に存在する色々なドキュメントを、言語が異なるメンバーとそれぞれの母国語などで共有したり、更新、管理することができるワークスペースのデモ版を見せていただいたのですが、「え、めっちゃ便利……」と思わず両手で口元を押さえて、目を輝かせるという漫画のような反応をしてしまいました。会場でも実際の動作を見た際に、あちこちから「おお〜!」という感嘆の声があがっていました。
2. モバイル化するビジネス環境とライフスタイルの変化 〜グローバル社会で日本企業が生き残るために何をすべきか?〜
さてさて、最初の方でも言いましたが、ここからは各個別のセッションのお話に移りたいと思います。タイムテーブル(ホームページからお借りしてきました)が以下のものになるんですが、私が見たのが、C-1、C-2、C-3とC列のセッションになります。
私はデザイナーなので、技術的なことに興味関心があることに加えて、普段、外国籍メンバーと一緒に働いているので、彼らにとってもっと居心地のいい会社ってどんなものなんだろうなぁ、と考えるためのヒントになるようなセッションを選びました。
そこでまずは、C-1の『モバイル化するビジネス環境とライフスタイルの変化 〜グローバル社会で日本企業が生き残るために何をすべきか?〜』という世界最大規模のアプリ分析とアプリデータを取り扱っている、App Annie Japan 株式会社 日本代表ディレクター、向井 俊介氏のお話を聞いてきました!向井氏はnoteもされていらっしゃいますので、興味のある方は是非下記のリンクをご参照ください。
App Annie Japan 株式会社も含めたApp Annieさんでは、世界規模でのアプリのデータを扱っていらっしゃるのですが、「この「データ」というものを皆さんどこか他人事としてみている」と向井氏は仰っていました。
と、いうのも、このデータという形の見えないモノには、お客さんの個人情報だけでなく、「いつどこで、何を、どのように、どれだけの時間をかけて」などの非常に細かな情報も含まれているんですよね。これらの情報がないとどうなるかと言いますと、そもそもちゃんとしたマーケティングができないんですね。お客さんのちょっとした個人情報だけあっても、そのお客さんが「いつ、どこで、何を、どのように、何時間かけて」行動したのかが分からないということは、予測でマーケティングするしかないということなんですね。
そんなデータの大切さについてのお話のあとには、2018年、日本で最もダウンロードされたアプリであるTikTokを中心とした外国製のアプリのお話に移りました。現在、日本のアプリ市場において、ものすごいスピードで外国製のアプリが勢力を拡大しているとのこと。ということは、日本人の細かなデータが世界中へ流出しているということなんですね。失われたデータの量を考えるとゾッします。
そこで、向井氏は「成長のために何をすべきか」ということで、「本当に戦うべきものを、データとしてしっかり見極めることが大切」と仰っていました。数多くのデータを扱い、それらを見極められる力をつければ、日本のみならず、世界規模で戦っていける事業を作ることができるのではないかとのことでした。
最後に、向井氏がセッションの冒頭にとある書籍をオススメしてくださったのですが、それが「FACTFULNESS」というデータや事実にもとづき、世界を読み解くスキルを身につけよう!という内容の本になります。まだ読んでいらっしゃらない方はぜひ読んでみてください。非常に面白い本です。
3. オンラインサービスの多言語化対応における課題とポイント
さて、お次はWovn technologies 株式会社、取締役副社長 上森 久之氏による『オンラインサービスの多言語対応における課題とポイント』についてのお話を聞いてきました!
「Multilingual Experience」という外国人の多言語体験を最適化する仕組みについてのお話だったのですが、「なんでもかんでも翻訳すればよい訳じゃない」と上森氏が仰っていたのが印象的でした。
確かに、海外旅行などで日本語のパンフレットや日本人専用のメニューなんかがあると嬉しいけれども、異国感を味わいたいと思ったときに、日本語のパンフレットを渡されるとちょっと「う〜ん……」となりますよね。その反面、クレジットカードなど、お金関係で自分が読めない外国語が使われていたら、「この商品を買っても大丈夫なのか?!」と商品を買うことをためらってしまうかもしれません。
「これからインバウンドでがっつり稼ぐぞ!」というときに、こんな風に必要なところで必要なサービスが受けられないのは、非常に勿体無いですよね。特に、最初の方でご紹介させていただいた、羽田未来総合研究所さんの「ラグジュアリー&プレミアム感のあるサービスや製品の提供が必要になってくる時代」がこれからやってくるのだとすれば、その体験の基盤として外国人の多言語体験の最適化は非常に重要な課題になってくるとも上森氏は仰っていました。今後は、サービスや商品に言語体験も含めて、いかに付加価値をつけていくのかが大切になってくるんですね。
4. 福利厚生サービスの外国人対応 ~すべての人に最高のサービスを~
さて、最後のセッションは、株式会社リログループ 取締役(CIO最高情報責任者)河野 豪氏による『福利厚生サービスの外国人対応 ~すべての人に最高のサービスを~』についてです!
株式会社リログループさんは、様々な企業で福利厚生アウトソーシングサービスを提供されている企業さんです。
まず、これからの日本と外国人ということで、日本の現状をクイズ形式で答えてくださったのですが、話を聞いていて「日本ってやっぱり国として危ないんだなぁ……」という感想を抱きました。今までと同じ生活水準で生活したいのであれば、約2000万人の外国人労働者を受け入れる必要があるとのこと。「不足した労働人口をそのまま賄う形ですね」と仰っていたのですが、少子高齢化によってそれだけ働き手が失われるんですね。数値として表現されると改めてびっくりします。
さて、今現在でも問題になっている人材不足や企業成長を継続し続けるためにはどうすれば良いのかというお話なのですが、河野氏によると2つの方法があるそうです。
①成長を持続していくためには、グローバル化し、世界展開へチャレンジし、人口増加・成長著しいアジア市場など世界へ打って出る
②外国人と共生する社会の到来を予見し、外国人採用を増やし、外国人従業員とともに成長していく企業へと変貌を遂げる
ただ、①にしろ②にしろ、外国人の方々と協力していくことが大切ですよね。このことについて、河野さんは、外国の評価制度についてもお話もしてくださったのですが、その中のレコグニションというものに私は興味をひかれました。
レコグニションそのものの言葉の意味としては、「個々の努力や実績を認識し、承認する」というものです。日本ではあまりメジャーではないレコグニションですが、ビジネスシーンだと、社員表彰制度や資格取得奨励制度など制度化されたものや、社員同士で称賛・承認しあうソーシャル・レコグニションまで多種多様なレコグニションが実施されているとのこと。
特にソーシャル・レコグニションは、社員同士で「君のやったこの仕事いいね!」と褒め合ってポイントなどを送りあい、それがジム利用料などの割引チケットに還元できたりするというシステムなんだそうです。お話を聞いていて「いいな〜!いつもお世話になってるメンバーにありがとうの気持ちを込めてポイントを送れるその制度、めっちゃいい」と思いました。事実、ゴーリストの外国籍メンバーもジムに行っていたり、ダンス教室に行っていたりするので、そういうシステムの需要ってすごくあるんじゃないかなと思いました。
5. 嬉しいおまけ
6月21日のお昼に先輩から「WOVNさんから、jopus bizの中国語対応をしてみましたって写真を送って来てくれましたよ〜」と言って見せてくださいました!「やだ、こんなことされたら好きになっちゃうじゃん……」という返事をしたら先輩に苦笑いされました。次はもう少しリアクションを考えてから言葉を発しようと思いました。
私のリアクションはどうでもいいのですが、どうですか?この中国語対応!すごいですよね?私は初めて見たときに「うおー!中国語だ!!」となりました。私の数少ない語彙力では伝えきれないのが残念でならないのですが、1日でここまで翻訳対応できるのは本当にすごいと思いました。
ゴーリストでも、日本で働きたい(すでに働いている)留学生や、外国人の皆さまと企業をつなぐ『jopus』というサービスを複数展開していて、各ホームページの外国語対応を行なっていたりするのですが、こんな風に1日で翻訳が出来上がるのを見てしまうとすごいテンションが上がりますね。予算との相談になりますが、利用検討をしてみたいですね!