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きょうの業をなし終えて……
昨日、朝7時から始まった裏の建設現場の掘削工事は、夜7時半過ぎまで続けられた。
だいぶ日が傾いた8時半ごろ庭に水をやるのに外に出ると、作業員さんたちの笑い声が聞こえる。
見れば、深さは4メートルほどあるだろうか、巨大な長方体に掘られた穴からすぐのところに簡易テーブルが置かれ、そばには炭火がパチパチと音を立てていた。
4人はテーブルを囲むのではなく、全員が穴のほうを向いて並んで座っている。
手にはビール。長い一日を終えての格別な一杯だろう。
これまでショベルカーを見たことがないわけではないが、これだけ腰を据えてその仕事ぶりを見たのは初めてである。
急ぐわけではなく、もたつく様子もなく、それは適切なリズムで淡々と動いているように見えた。大きな音はしているが、不思議とどこか「静か」な雰囲気がある。
土を削って掬う部分(バケットと呼ばれるらしい)は、まるで室温に戻したバターに食い込むように、難なく地面に入っていく。ものすごい力強さだ。
かと思うと、そばに待機しているダンプカーの荷台に土をあけるその動きは、まるで冬の寒い日にシチューをそっとお皿によそうような繊細で丁寧な動きだ。
ダンプカーの荷台には、だいたいバケット5〜6杯分の土が載せられる。
山になっているちょうど頂の部分を、バケットをげんこつのように使ってすっと軽く均すと、そのままダンプカーが走り出す。すべてが無駄のない流れで進んでいった。
土は近くの廃棄物処理センターに運ばれているようで、3台が入れかわりたちかわり現れピストン輸送しているが、そのタイミングも見事だった。
こんなに掘削作業に感心するというか、魅せられることになろうとは思わなかった。
その日の仕事(ほぼ作品と言えよう)を前に、ささやかな晩餐とビール。
4人の背中に賛辞と祝福を送った。
さて、今朝もきっかり7時から作業が始まった。
ずいぶん几帳面な人たちだ。
今日は大方掘った穴を細かく測量しながら調整しているらしく、測量機器の「ピーピピピピピ…」という音が断続的に聞こえてくる。
ショベルカーの大きな音がそれほど気にならないわりに、これは意外に耳障りなのだ。
やはり私はショベルカーが好きなのだろうか。笑