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山の恵みを分かち合う一日
オーストリアの大学に戻った次女、本格的に学期が始まるまでまだ時間があるようだ。
最近は住んでいるシェアハウスの新しいメンバーを選ぶ面接やら学部内の月間リーフレットの編集などで忙しくしているらしい。
そんな折、友だちから「ガルダ湖に行かないか」とお誘いがあったという。
ガルダ湖は北イタリアにある湖で、なぜかドイツ人に人気な保養地だ。
なんでもご両親がそこでホテルの支配人をしているとのこと。夏のバカンスシーズンが終わって空いているのでよかったら来ないか、と招待いただいたということらしい。
7月には、これまた友人のお姉さんの農場でハウスシッターをさせてもらっていた。なにかと運のいい次女である。
ガルダ湖はちょうどアルプス山脈の南限に位置するため、まわりには急峻な山が連なる。
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山というよりはこのように「崖」というイメージ。こんなところを登ったり降りたりしていたらしい。
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いかにも落石などが頻発しそうに見える。
「うん、途中にヘルメット推奨って書いてあった」とあっけらかんとしているが、いつものことながらひやひやする。
*
滞在中、少し離れた山の村でお祭りがあったらしい。
「Almabtrieb」と呼ばれるアルプス地方の習慣で、夏のあいだ山に放牧されていた牛たちを、秋のこの時期に谷の集落まで下ろすことをいう。
近年では地元の人たちと共に観光客も楽しめるイベントとなっていることが多いようだ。
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そのお祭りで出されているのは、いかにも「山の恵み」らしいこんな一皿。
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これを5人で分けたらしい
この他にそれぞれ好きなものを追加
別添されている丸いお皿はポレンタ・クーザというガルダ湖近辺の料理。
ポレンタといえば北イタリアの伝統料理で、通常、とうもろこしを挽いた粉を弱火にかけて気長に練って作るものだ。
プレーンなものは写真のポレンタ・クーザよりも明るい黄色をしている。粥とも餅とも違う「そばがき」に似たような食感といえばいいか。グリルした肉やソーセージ、または煮込みなどとともに食す。
食材の乏しかった時代のものというイメージもあるため、南イタリアの人たちは北イタリア人を揶揄するときに「ポレントーネ」と言ったりする。
そのポレンタ、北の山岳地に入ると、とうもろこし粉にそば粉とチーズを足して作られることもある。それをポレンタ・タラーニャと呼ぶ(仕切りのあるお皿にのっているほう)。
さて、ガルダ湖のポレンタ・クーザはこのポレンタ・タラーニャの一種で、なんとこのときは地元産の7種のチーズが練り込まれていたそうだ。
他に炭火焼のスペアリブとじゃがいも(さつまいものように見えるものの紫がかった皮のじゃがいも)、一切れ添えられているのは、やはりこの地方のチーズ「フォルマジェッラ・トレモズィーネ」。
これでもか!な山の恵み。
なにかの縁でその場に集った人たちの心を(もちろんおなかも)満たすごちそうとなったことだろう。