小さな家のそばの竹林
東京から北関東に引っ越したころの思い出を書いたことがある。
東京では父の実家で祖父母や叔父叔母などたくさんの大人たちに囲まれて暮らしていた。
それが見知らぬ、しかもわりにひっそりした土地に住むこととなった。
特に寂しい思いをしたという記憶はないが、上の記事に書いたように大家さん宅に入りびたったり、近所の人のみならず郵便屋さんが来ても玄関先に座布団を運んで「どーぞ」と言っていたというから、どこか人恋しかったのかもしれない。
その小さな平屋のそばに、竹の林があった。
吹き抜ける風は夏でも涼しく、私のお気に入りの場所でもあった。
ところが、雷や台風のときなどはその表情が一変する。大きくたわんで「ザー」とも「ゴー」ともつかない音に飲み込まれた。
「夜に風が吹くとじっと聞いていたわね」と、母は私が大人になってからも回想した。
「ちょうど引っ越す前に見ていた(NHK)大河ドラマのオープニングを思い出すみたいで」
なんでも私はそのオープニングが大嫌いだったのだそうだ。
1970年NHK大河ドラマ「樅ノ木は残った」
作家・山本周五郎の同名小説をドラマ化したものだったようだ。
それにしてもどんなオープニングだったんだ?
便利になった昨今、もしかして検索するとわかるかも?と試したらあっさり出てきた。
いやいやいや、いま見ても怖いですってば。(竹ではなく樅なんだけど)
よくがんばったな、私。
*ヘッダーの写真は京都・圓光寺の竹林です。