日本人の乳製品摂取が食生活に与える影響
日本人における乳製品摂取量と奇数炭素鎖脂肪酸(奇数FA)との関連性が明らかになった、という研究報告。この相関性は欧州やオセアニアでは以前に確認されていたものの、アジア諸国では研究が不足していた。
奇数FAは、偶数の炭素原子を持つ脂肪酸と比較して数が少ない。ヒトの奇数 FA の主な供給源は乳製品であり、主に反芻動物の胃内の微生物によって合成される。
「食習慣と脂質の相関関係を調査したデータベースを徹底的に調べた結果、乳製品の摂取量と奇数FAの関連性に辿り着きました」と研究者は述べている。
「これまでの研究では、欧州とオセアニアにおけるこの関連性を広範囲に調査していましたが、アジア諸国について調査した研究はほとんどありませんでした。」
研究者らは、4,000人以上の宮城県民から血漿サンプルと食事頻度アンケートを収集し、毎日の食物摂取とそれが439種類の血漿脂質種に及ぼす影響を調べた。
この研究では、クッキー、チョコレート、ケーキ、和菓子などの菓子類の摂取がどのようにオメガ3脂肪酸を減少させるかについても調査した。オメガ 6 脂肪酸を含むと考えられる菓子と脂質には正の相関がみられることから、オメガ 3 脂肪酸とオメガ 6 脂肪酸の間の競合がオメガ3脂肪酸減少の原因である可能性がある。
健康な脳機能を促進し、死亡率を減らし、心血管疾患のリスクを下げるというオメガ3脂肪酸の利点はよく知られているが、この研究結果は、オメガ6脂肪酸の菓子類の摂取には注意が必要であることを示唆している。
本研究では、食事による奇数FA代謝における奇数FA含有スフィンゴミエリン(SM)の重要な役割を示唆しており、この分野のさらなる研究に貴重な洞察を提供している。
「私たちの研究結果は主に日本人の食事と脂質の関連に焦点を当てていますが、奇数FA代謝における重要な分子としてスフィンゴミエリン(SM)が同定されたことは、民族特有の文脈を超えてより広い意味を持つと考えています」と研究者はコメントしている。
出典は『Metabolomics』