運動が炎症に役立つという新たな手がかり
適度な運動が炎症に対する体の反応に有益な影響を与えることは長年知られていたが、その理由はあまり理解されていなかった。英国ヨーク大学が 発表したマウスモデルによる新研究は、その答えがマクロファージの生産レベルにあるかもしれないことを示唆している。マクロファージとは、感染症を死滅させたり、傷害を治癒したり、その他体内で最初の応答者として機能する白血球である。
「運動で筋肉を鍛えるのと同じように、中強度の運動が最終的には骨髄内のマクロファージの前駆体を鍛えることになることがわかりました」と主任研究者のアリ・アブドゥル・サーター准教授は述べている。「運動によって細胞の呼吸方法、つまり細胞がエネルギーを生成するために酸素を使用する方法が変わり、さらに細胞がDNAにアクセスする方法を変わるのです。」
多くの研究は運動直後の免疫系の一時的な向上に着目しているが、本研究では、これらの変化が1週間後でも起きていることを発見しており、変化が長期的なものであることを示唆している。
同氏によると、座りっぱなしのマウスと比較して、実際に変化が現れるのは運動療法を開始してから6~8週間目あたりだという。「細胞の呼吸、グルコース代謝、DNAへのアクセスなどの経路の中で、多くの再配線が行われています。したがって、すべてに時間がかかるのです。」
「人間の場合、すべてのヒトに効果のある介入は存在しないということです。それはわかっていますが、この研究が示唆しているのは、適度かつ継続的な運動は代謝の健康を改善するだけでなく、長期的には免疫の健康も改善するということです」とサーター准教授はコメントしている。
出典は『American Journal of Physiology-Cell Physiology』
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/ajpcell.00130.2023
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