高い血中カフェイン濃度が肥満と糖尿病のリスクを下げる:メンデルランダム化研究
カフェインの血中濃度が高いと、体脂肪量が減少しと 2 型糖尿病のリスクが抑制される可能性があるようだ、というスウェーデン・カロリンスカ研究所からの研究報告。肥満と2型糖尿病のリスクを下げるために、カロリーフリーのカフェイン入り飲料の潜在的な役割を検討する価値があるだろう、と研究者らは述べている。
研究者らは、メンデルランダム化法を使用して、血中カフェインレベルの上昇が体脂肪に及ぼす影響と、2型糖尿病および主要な心血管疾患(冠動脈疾患、脳卒中、心不全、心房細動)の長期的なリスクにどのような影響があるかを調べた。
メンデルランダム化は、遺伝子変異を特定のリスク因子 (この場合はカフェインの血中濃度) の代用として使用して、特定の結果 (この研究では体重 (BMI) と 2 型糖尿病リスク) を裏付ける遺伝的証拠を得る手法である。
研究者らは、6 つの長期研究に参加していた主に欧州系の1万人近くの人々における CYP1A2 および AHR 遺伝子の 2 つの一般的な遺伝子変異の役割を調べた。CYP1A2 および AHR 遺伝子は、体内のカフェイン代謝速度に関連している。
カフェインの代謝が遅いことに関連する遺伝子変異を持つ人は、平均してコーヒーを飲む量は少ないが、血中のカフェイン濃度は、すばやく代謝する人よりも高くなり、速やかに覚醒作用に必要なレベルに到達または保持される。
分析の結果、遺伝的に予測された血中カフェイン濃度が高いほど、体重(BMI)と体脂肪が低いことに関連していることが示された。遺伝的に予測された血中カフェイン濃度が高いほど、2型糖尿病のリスクが低いことにも関連していた。
次に、研究者らはメンデルランダム化法を使用して、カフェインが 2 型糖尿病のリスクに及ぼす影響が主に同時の減量によってどの程度引き起こされるかをさらに調査した。
その結果、2型糖尿病のリスクに対するカフェインの効果のほぼ半分(43%)が減量によってもたらされたことが示された。
遺伝的に予測された血中カフェインレベルと、主要な既知の心血管疾患のリスクの間には強い関連性は見られなかった。
「我々のメンデルランダム化法による発見は、カフェインが、コーヒーの消費と2型糖尿病のリスクとの間の逆相関を少なくとも部分的に説明する可能性があることを示唆するものである」と研究者はコメントしている。
出典は『BMJ Medicine』
http://dx.doi.org/10.1136/bmjmed-2022-000335