脂の多い魚を多く摂ることで心血管疾患のリスクを低減できる
近親者に心血管疾患を患っている人がいる場合は、脂の多い魚をより多く食べると効果が得られる可能性があるようだ、という研究報告。
サケ、サバ、ニシン、イワシなどの脂の多い魚には、オメガ 3 脂肪酸のエイコサペンタエン酸 (EPA) とドコサヘキサエン酸 (DHA) が含まれている。これらの脂肪酸は身体の機能の多くにとって重要だが、体内では生成できないため、食事から摂取する必要がある。多くの研究により、すべての人にとってオメガ 3 を含む食事を摂取することが重要であることが示されている。
今回の大規模な国際研究では、心血管疾患の家族歴を持つ人々にとって、この治療が特に重要である可能性が高いことが示されている。
今回研究者らは、心血管疾患の家族歴と食事摂取との相互作用の影響を調査した。対象の心血管疾患は、不安定狭心症、心臓発作、心停止、脳梗塞(脳卒中)などの致死的および非致死的な冠状動脈性心疾患とした。
研究者らは、10か国15件の研究から心血管疾患のなかった約4万人の追跡データを収集した。追跡期間中に、このうち約 8,000 人が心血管疾患を発症した。
データ解析の結果、親や兄弟などの近親者が心血管疾患を患っており、またオメガ3脂肪酸であるEPA/DHAのレベルが低い人は、心血管疾患のリスクが40%以上高いことが明らかになった。近親者の心血管疾患「のみ」があった人のリスク上昇は25%にとどまった。
「この研究は、心血管疾患の家族歴がある人は、他の人よりも脂の多い魚をより多く食べることでより多くの利益を得られることを示唆しています」と研究者はコメントしている。
また、本研究は、血中のEPA/DHAのレベルを実際に測定して、家族歴との相互影響を研究した世界初の研究である点でユニークである、と研究者は主張している。
出典は『Circulation』
http://dx.doi.org/10.1161/CIRCULATIONAHA.123.065530