【キャリア情報】内閣府国際平和協力研究員制度:国際協力・国際開発分野人材向け
本稿では、内閣府の国際平和協力研究員制度について紹介します。2005年に創設されて以降、内閣府国際平和協力本部事務局は毎年、国際平和協力研究員を募集しています。過去の採用者は、本制度での職歴を国際機関でのキャリア形成につなげていますので、国際協力分野で修士号以上を取得されたearly/mid careerの方々にはキャリア・パスの一つになるでしょう。
詳細や最新情報はご自身でご確認ください。また、意見にわたる部分は私見です。
募集要項(概要)
業務内容:
・国際平和協力分野に関する研究業務
自己の実務経験に基づき、事務局の承認のもと設定するテーマについての研究。 (注:ここでの「研究」とは、実務経験等を通じて蓄積された知見を自らより深めることによって、研究員任期終了後に国際平和協力分野での更なる飛躍の土台とすることを目的としています。)
・国際平和協力分野に関する事務局業務
(*以下業務の実施にあたり、最長3ヶ月程度の海外出張の可能性があります)
1)国際平和協力に関する情報の収集・分析
2)国際平和協力業務実施のための調査、専門的事項についての分析・資料作成
3)国際平和協力隊員に対する国際平和協力業務に関する研修の実施
4)国際平和協力に関する啓発活動(外部での講義・講演を含む)
5)国際平和協力に関する調整業務 その他事務局が指示する業務
応募資格:
1)国際機関又は国際平和協力関連各種団体で、国際平和協力に関連する分野の海外駐在等を通じた実務経験を2年以上有する者(国連システム、ジェンダー、チャイルドプロテクシ ョン、国際法(人権法、人道法、難民法等)、文民の保護、民軍協力、人道支援、武装解除・ 動員解除・社会復帰(DDR)、治安部門改革(SSR)、選挙監視・選挙支援等のいずれかについて、実務経験に基づいた知見を有していることがより望ましい。)
2)英語を使用して実務を行える者
3)パソコンスキル(Word、Excel等)を有する者
4)国際平和協力に関連する分野において、大学院修士課程相当以上の研究経験を有する者
5)将来に向けて、海外において国際平和協力分野で活躍する意志を有し、今後長期にわたり、同分野で活動を行うことが可能な者
6)日本国籍を有する者
募集人数:若干名
採用形態:国家公務員(非常勤職員)
任用期間:採用日(4月1日予定)から3月末日まで(最長2年まで更新可能)
待遇:日額約10,000円~約14,000円(経験年数による)
勤務時間:1日7時間45分(週5日勤務)
勤務地:内閣府国際平和協力本部事務局(東京都千代田区霞が関3-1-1中央合同庁舎第4号館8階)
募集回数:例年1回から2回(2025年は第1回が1月に募集、第2回は不明)
選考方法:
・一次審査:書類審査
・二次審査:面接と英語試験(遠隔地に在住の方は、インターネットによる2次審査受験が可能)
上記の情報は2025年時点のものですので、ご注意ください。
退職後の進路
下記、2023年までのデータ
・国際機関等:48%
・日本等政府関係:12%
・JICA:3%
・NGO:7%
・民間企業:10%
・大学・シンクタンク等:17%
・その他:3%
(全体100%)
国際機関等への就職例:
ダルフール国連・アフリカ連合合同ミッション(UNAMID)政務官、国連PO局ベストプラクティス課(本部)、国連PO局地雷対策部(UNMAS)ソマリア事務所、国連HABITATイラク事務所プログラム担当官、国連開発計画(UNDP)カンボディア事務所プログラム担当官、国連薬物犯罪事務所(UNODC)ウィーン本部紛争犯罪捜査担当官、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)アフガニスタン事務所難民保護官、世界食糧計画(WFP)東ティモール事務所、オックスフォード大学大学院、赤十字国際委員会
リンク:https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/organization/researcher/pdf/career202309.pdf
その他:https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/organization/researcher/researcher04.html
特質すべき点
2023年までに在籍した78名のうち、約3分の2が女性のようです。また着任次の平均年齢は約34.6歳です。
リンク:https://www.cao.go.jp/pko/pko_j/organization/researcher/pdf/career202309.pdf
Note
自分の実務経験に基づいて研究課題を設定し、最大2年におよび個別課題研究に取り組めるのは、過去の現場活動を学術的に振り返ながら専門知識をさらに育みたい方にとって、本制度が与える最大の利点であると思います。
また、過去の研究員の方々が、退職後に国内外における博士進学や国連・内閣府・外務省・防衛省・大学等での勤務を実現されているので、キャリア形成においては非常に手堅くみえます。
将来博士進学を目指す方には、本制度で1年ほど個別課題研究に励みながら博士プログラムへの準備を進め、その後これまでの貯蓄をもとに(あるいは奨学金を受給して)博士課程に進学を果たすのは一つの選択肢だと感じました。