【無期転換ルール】とは?! メリット・デメリットは?! 60歳以上はどうなる?!
【無期転換】という言葉、有期雇用契約で働いたことのある方は聞いたことがあるかと思います
しかし、実のところ【無期転換】について、正式に理解している人は少ないのではないでしょうか?!
2013年4月から制度が新設され、【無期転換】ルールが施行されました
この記事を読むことで、理解しておきたい【無期転換】ルールの条件、メリット・デメリット、注意すべきポイントが分かります
それでは、詳しく解説していきます
この記事で分かること
・【無期転換】ルールとは?!
・【無期転換】のメリット・デメリット
・【無期転換】で気をつけなければならないこと
無期転換ルールとは?!
無期転換ルールとはどのようなものでしょうか?!
無期転換ルールの定義
同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて更新された場合、有期契約労働者(契約社員、アルバイト等)からの申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されるルール
無期転換ルールは、有期雇用者が5年を超えて更新される際に、労働者の申込みにより、無期雇用へ転換できる仕組みです
更新期間中に5年を超える場合、労働者に【無期転換申込権】が発生します
労働者がその権利を施行することで、無期雇用契約へ切り替わります
※2013年4月1日から施行
対象者
原則として契約期間に定めがある有期労働契約が通算5年を超える全ての労働者です
※契約社員やパート、アルバイトなど名称は問いません
※派遣社員の場合は、派遣元(派遣会社等)に無期転換ルールの対応が求められます
申込み方法
労働者が口頭、もしくは書面で申し込みをします
※労働者が申し込みをしなければ、無期雇用にはなりません
無期転換申込権の発生後、労働者が会社に対して無期転換する旨を申し出た場合、無期労働契約が成立します(会社は断ることができません)
口頭でも法律上は有効ですが、トラブルを防ぐため、書面で行うことをお勧めします
いつから無期転換に切り替わるの?!
申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から無期労働契約となります
無期転換の3つの条件
続いて、無期転換の条件について見ていきましょう
有期労働契約の上限が5年を超えている
同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の契約期間を通算した期間が、5年を超えていること
契約期間が5年を経過していなくても、例えば、契約期間が3年の有期労働契約を更新した場合(上図)は、通算契約期間が6年になるため、4年目にはすでに無期転換申込権が発生していることになります
※通算契約期間は、改正労働契約法の施行日である平成25年4月1日以降に開始した有期労働契約からカウントします
契約の更新回数が1回以上
同一の使用者との間で2以上の有期労働契約を締結したこと
現時点で同一の使用者との間で契約している
通算5年を超えて契約をしてきた使用者との間で、現在、有期労働契約を締結していること
メリット・デメリット
それでは、無期転換ルールにおけるメリット・デメリットを解説していきます
■メリット
安定的かつ意欲的に働くことができる
契約期間が無期限になることにより、雇用が安定し、雇止めなどの不安が解消することで、仕事に集中できる環境が整います
長期的なキャリア形成を図ることができる
企業にとっては、長期的な視点に立って社員教育を実施することが可能になり、労働者にとっては、安心して仕事に打ち込めるので、スキルアップへのモチベーションを保つことができ、双方のメリットとなります
■デメリット
正社員へのステップアップがしずらくなる
無期雇用社員は、限定的な業務、制約を受ける枠組みの中で働くことで、正社員としての違いを作り出しています
企業としては、「無期雇用に転換させたから、正社員にしなくても良いだろう」という安楽的な考えが働くケースもあります
その為、労働者から申し出ないと企業側から積極的に正社員にする、という姿勢は見えずらいかもしれません
待遇条件は変わらず、責任が重くなる可能性がある
多くの場合、有期雇用の待遇条件を引き継ぐことが多く、待遇UPはあまり見込めません
昇進、昇給、ボーナス、退職金なども付与されないケースも多く、期待は持てません
無期雇用社員になったからといって、待遇が良くなることを約束するものではないので、注意が必要です
60歳以上(定年退職後)はどうなる?!
定年後に引き続き雇用している有期契約労働者についても、同様に無期転換ルールは適用されます
例外)適切な雇用管理に関する計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた事業主
※定年後にグループ企業ではない会社に有期雇用で就職した場合は、無期転換ルールは適用されます
無期転換する際に、気をつけたいポイント
次に無期転換の際に気をつけなければならない重要ポイントを解説していきます
契約期間のクーリング
クーリングとは?!
同一の企業との間で有期雇用契約を締結していない期間が一定以上続いた場合、それ以前の契約期間が通算対象から除外される制度
■契約期間が1年以上の場合
・契約がない期間が6ヶ月以上あれば、それより前の通算契約期間はクーリングされ、空白期間後の契約からカウントが再度スタート
・契約がない期間が6か月未満であれば、契約期間が連続すると認められ、前後の契約期間は通算される
■契約期間が1年未満の場合
契約期間が1年未満の場合は、下表に示した契約期間と契約のない期間の区分に応じてクーリングが判断されます
例)3ヶ月の有期労働契約を1回更新した場合、通算契約期間は6か月となるので、空白期間が3か月以上あれば、6か月はクーリングされ、空白期間後の契約からカウントが再度スタートします
悪質な『雇い止め』、『契約形態の変更』に注意
また企業によっては、無期転換を拒もうと期間途中の雇い止めや契約形態の変更を促す会社もあります
契約期間中の雇い止め・解雇について
無期転換ルールを意図的に避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に契約期間中に雇止めや解雇を行うことは、労働契約法上、望ましいものではありません
※現状、企業側が無期転換を嫌がり、契約期間が5年を満たないよう、更新を打ち切るケースもあります
労働契約の形態を意図的に変える場合
無期転換ルールを意図的に避けることを目的として、派遣形態や請負形態を偽装して労働契約の締結主体を形式的に他の使用者に切り替えた場合、同一の使用者の要件を満たしているものと解釈されます
今後の法改正(労働基準法5条)の予定
2024年4月1日から、労働条件明示のルールが変わります
無期転換申込機会の明示
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミング毎に、無期転換を申し込むことができる旨の明示が必要になります
現在では、使用者側に、明示義務の必要性はありません
それが無期転換申込権が発生する毎に、明示することが義務化されます
無期転換後の労働条件の明示
「無期転換申込権」が発生する更新のタイミング毎に、無期転換後の労働条件の明示が必要になります
無期転換申込権の明示と共に、労働条件の明示が義務化されます
無期転換後の労働条件を決定するに当たって、就業の実態に応じて、正社員等とのバランスを考慮した事項について、有期契約労働者に説明するよう努めなければならない
まとめ
企業によって、無期転換ルールを丁寧に説明してくれる企業と、説明してくれない企業があります
また2024年4月からは無期転換ルールの説明義務が発生します
無期転換ルールの適切な利用を促進していく為に、いつから無期転換できるのか、
などについて、使用者は労働者に説明をしなければなりません
今一度、有期雇用契約で働いている方は、自身の継続契約期間をチェックして該当するのであれば、しっかりと説明を求め検討していきましょう
労働条件明示のルール改正 ※参考(厚労省資料)