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人とのつながりを育む美容師としての日々③

第3章: 美容師への道

僕が美容師を目指すことになったのは、高校1年生のときのことだ。
ある日、初めて美容室に行く機会があった。
それまで髪はいつも近所の床屋で切ってもらっていたが、少しおしゃれに目覚めた僕は、思い切って美容室に行ってみることにした。

その美容室で僕を担当してくれたのは、若手の男性スタイリストだった。
僕はカットだけのつもりで訪れたが、彼が「カラーもやってみない?」とすすめてくれ、その場の盛り上がりで初めてのカラーに挑戦することになった。
鏡に映った自分の姿に驚きと興奮が入り混じった感情が湧いてきた。
見事に理想のヘアスタイルに仕上げてくれたそのスタイリストの姿が、とてもかっこよく見えたのだ。
彼が手際よくカットをし、僕との会話を楽しみながら施術を進めるその姿に、僕は憧れを抱き、「こんな風になりたい」と強く思った。

その日以来、僕の中で美容師という職業が特別な存在となった。
髪型ひとつで人を変える力を持ち、誰かに自信を与えることができる仕事。その魅力は技術だけでなく、人とのコミュニケーションにもあった。
僕は、美容師になることを決意した。

高校1年の夏、僕は美容師になることをすでに決めていた。
その時から、出席日数を計算し、最低限の出席で卒業できるようにスケジュールを組んだ(笑)。
学校に行かない時間は何をしていたかって? 
もちろん友達と一緒に過ごしていた。
バドミントン部の活動、バンド活動、カラオケやビリヤード、そんな青春の日々を謳歌しながらも、美容師になる夢は頭の片隅から離れることはなかった。

高校を卒業した年の秋、僕は藤沢市にある美容室で働き始めた。
同時に、通信制の美容学校にも通うことにした。
最初は覚えることが多くて大変だったが、毎日が新鮮で、僕は美容の世界にのめり込んでいった。

藤沢のサロンでは、シャンプーや掃除などの基本的な業務から始まり、次第にカットやカラーの技術を学んでいった。
特にお世話になったのは、5歳上の女性スタイリストふたりだった。
彼女たちの仕事ぶりはとてもかっこよく、今でも僕の憧れの人だ。技術や接客、コミュニケーションの大切さに加えて、お酒の飲み方まで教わった(笑)。
彼女たちから学んだことは、僕にとって何よりも貴重な学びとなり、今でもその影響を強く感じている。

この時期、僕は美容師としての基礎を固めると同時に、仕事への情熱を一層深めていった。
そして、いつか自分もあの日のスタイリストのように、誰かの人生を変える美容師になりたいという思いが、僕の心に強く根付いたのだった。


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