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人とのつながりを育む美容師としての日々⑤

第5章: 挑戦と転職の決断

僕が次に直面した大きな転機は、19年にわたって働いてきたサロンを離れる決断をしたときだった。
そのサロンで僕は多くのことを学び、美容師としての技術や知識を深めてきた。
しかし、時間が経つにつれて、僕は新たな挑戦を求めるようになっていった。

それまで僕は、美容師としてサロンの現場に立ち続けることが当たり前だと思っていた。
しかし、ある日ふと、「もっと広い視野で美容業界に貢献できる仕事がしたい」と考えるようになったのだ。
サロンでの仕事は大好きだったが、美容業界全体に役立つような仕事をしてみたいという思いが強くなっていった。
この考えが生まれたのは、『オリジナルシャンプーの開発』や『毛髪栄養検査』を通じて、社外の人々と関わる機会が増えたことも大きく影響している。
そうした外部との接触を通じて、僕は美容業界全体をもっと広い視野で見つめるようになり、新しい可能性が見えてきたのだ。

そんなとき、僕のもとにある機会が舞い込んできた。
建設業をメインにしている会社が、美容室事業を展開しており、そこでのスカウトを受けたのだ。
彼らは美容業界への新しいアプローチを考えており、僕にとっても未知の領域での挑戦だった。
僕は悩んだ末に、この新たな機会を受け入れることに決めた。

新しい職場では、これまでとは全く異なる環境での仕事が待っていた。
美容師としての仕事に加え、建設業と小売業も兼業することになったのだ。美容師としてサロンで働くだけでなく、建設業界の知識や他業種の事業運営に触れることができた。
これは僕にとって大きな挑戦であり、同時に非常に貴重な経験となった。
他業種の視点から美容業界を見つめ直すことで、今まで気づかなかった課題や可能性に目を向けることができた。

新しい環境での経験を通じて、僕は再び自分の原点である美容業界一本に絞りたいという強い気持ちを抱くようになった。
そして、タイミングよくお客様からの紹介で現在の会社の代表と出会い、彼とはすぐに意気投合し、一緒に新たな事業を始めることを決めた。

建設業をメインにしている会社では結果的に3年という短い在籍期間だったが、僕の新たな挑戦を温かく理解してくれ、気持ちよく送り出してくれた。
中でも、仕事で最も関わりが深く、共に多くの苦楽を乗り越えてきたマネージャーは、僕の背中を強く押してくれた。
彼女と彼女のお姉さんとは、今でも時々集まってお酒を飲みながら、仕事の話や他愛のないことで笑い合える大切な仲間だ。

この転職は、僕にとって大きな決断であり、同時に新たな成長のステップでもあった。
異業種で学んだことを活かしながら、美容業界に新しい風を吹き込むことを目指して、僕はさらに美容師としての道を進み続けた。


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平井浩介
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