辞書を再発明するKajeroの話
Kajero(https://vortaro.jp)は、エスペラント語、日本語、イド語、英語、中国語に対応した多言語辞書です。インターネット上で公開されているデータソースを活用し、約20万の訳語ペアから語彙間の関連を推定することで、多言語間の翻訳を実現しています。
Kajeroの特徴は、単なる辞書データの提示にとどまらない点です。登録されていない訳語も推論によって導出し、ユーザーに提案します。たとえば、エスペラントの単語「forkomerci」に対応する訳語が、データ上では「売り払う」「売りとばす」となっている場合、ここから同義語「forvendi」を特定し、「to sell off」「liquidate」も提示します。
このようにして、元データに含まれていない訳語であっても、関連する情報から新たな訳語が自動的に推定され、ユーザーの辞書引き体験を豊かにします。
Universala Vortaroとの関連
Kajeroのもう一つの魅力は、ザメンホフが構想したUniversala Vortaroの精神を受け継いでいる点です。Universala Vortaroは、エスペラントの単語を見出しにして他言語の訳語を並べることで、多言語間の橋渡しを可能にした辞書です。このコンセプトを踏まえ、Kajeroもエスペラントを中心に据えることで、複数の言語を効率よく接続し、より柔軟な辞書引きを提供しています。
技術的には、KajeroはPrologで書かれており、心臓部はたった15kBほどのコードで実行されています。これにより、シンプルながらも高度な推論機能を実現し、まさにエスペラントが「橋渡し言語」として機能する瞬間を体験できるのです。
Kajeroは、単なる辞書ではなく、言語間の関係性を探るためのインタラクティブなツールです。どうぞ、自由に遊んでみてください。