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辞書を再発明するKajeroの話

Kajero(https://vortaro.jp)は、エスペラント語、日本語、イド語、英語、中国語に対応した多言語辞書です。インターネット上で公開されているデータソースを活用し、約20万の訳語ペアから語彙間の関連を推定することで、多言語間の翻訳を実現しています。 Kajeroの特徴は、単なる辞書データの提示にとどまらない点です。登録されていない訳語も推論によって導出し、ユーザーに提案します。たとえば、エスペラントの単語「forkomerci」に対応する訳語が、データ上では

    • 「今では非常識になっている子育て論の例を挙げてください」

      非常識どころか、後で大変なことになった子育て論はたくさんあります。 その一つをご紹介しましょう。 ドイツでは19世紀ごろ、子供への厳格なしつけが流行していました。 中でもモーリッツ・シュレーバーはその分野の神とも言える医師で、生後5か月からの教育を推奨しました。教育といっても、乳児が泣いたら威嚇して見せ、ベッドの枠を叩いたり、体罰を与えましょうという内容で、これにより子供は聞き分けよく育ち、家族が将来苦労することはないとしました。また図のような矯正器具を開発し、装着して

      • IQの高い人の行動ほど、周りから奇怪だと思われる理由

        一般に人は、因果関係と、関連との区別のない世界を生きています。一方、一定以上の高いIQがある場合では区別ができます。この区別が意味を持つ状況下では、IQの高い人の選択は非常に奇怪に見えます。 古い話ですが、モンティホール問題というのをご存知でしょうか。モンティホール問題とは、1990年当時のアメリカで人気だったテレビ番組 “Let's Make a Deal” で番組参加者に用意された懸賞ゲームについての問題です。「世界一IQが高い人間(IQ228)」としてギネスブックに認

        • もしパイロットが航空管制官の指示に従わなかった場合、航空機は撃ち落とされるのか

          2005年のヘリオス航空522便墜落事故の翌日、ギリシャ高官は、飛行機の都市上空からの離脱があと5分遅かったら、アテネ市民保護のため、撃墜を命令するつもりだったと語りました。 同機は与圧異常により、キプロス島を離陸してから13分後に操縦士が意識不明になり、おそらく自動操縦により飛行を継続。ニコシアATC、アテネATCの呼びかけに無反応のままアテネに到達。都市上空を旋回し続けたまま着陸予定時刻を過ぎたため、緊急事態が発令されました。 最後の連絡の2時間12分後、F-16戦闘

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        • エスペラントあれこれ
          4本
        • すごく勉強になる
          1本
        • エスペラント文法もくじ
          0本
        • 中国語あれこれ
          7本

        記事

          医師に受けた診察・治療で「え、本当にそれが正しい処置なの?」とおどろいた、疑問に思った、でもちゃんと治った。そんな経験

          上司が急に背中が痛いと言って倒れ、みんなで両脇を抱えて市立病院に連れていきました。もともと怒りっぽい上司ですが、背中の痛みで不機嫌さはMAXです。何科に見せればいいだろうかとみんなで相談しているときも「真面目に考えろ! もし心臓病だったらどうするんだ!」などと喚いています。あいにく循環器科は混雑しており、廊下は土気色の顔の老人患者でいっぱい……。ひとり赤赤とした顔の上司は場違いで、いたたまれなくなりひとまず退散。おおかたスジでも傷めたのだろうと、理学療法科に連れて行くことにし

          医師に受けた診察・治療で「え、本当にそれが正しい処置なの?」とおどろいた、疑問に思った、でもちゃんと治った。そんな経験

          日本、日本人は世界から見た場合、好意的に思われている国なのでしょうか?敵対的に思われている?何も言えない国と思われているのでしょうか?

          立場次第です。 ポーランドネットラジオという、かつて国営放送の番組を担当していた人が独立してボランティアでやっているネットラジオがあるのですが、ニュースヘッドラインのコーナーを聞いていると、比較的頻繁に日本のニュースが流れます。知り合いのポーランド人に聞いてみると、俺たちは日本が好きだからね。テレビ放送でも日本の話題はよく流れるし、スーパーで椎茸も「シータケ🍄」という名で売ってるよ。これ日本語だろ? と言います。そのとき説明してくれた内容をまとめると、次のようになります:

          日本、日本人は世界から見た場合、好意的に思われている国なのでしょうか?敵対的に思われている?何も言えない国と思われているのでしょうか?

          儒林外史 第一章 序にかえて (5)

          最初から読む 翟の報告を聞き、知事は思った。 「なにが病気だ! きっと翟のやつ、農村で威張り散らして、縮み上がらせたんだろう。これまで役所の人間に会ったことのない若造だから、すっかり怖くなってしまったに違いない。危先生の頼みだというのに、連れてこられなかったとなれば、私のメンツは丸つぶれだ。ここは私自ら村へ行って、相手の顔を立ててやり。困らせるつもりはないと分からせれば、自ずと肝も太くなってくるに違いない。すると先生のお宅に連れていくのも難はない。我ながら完璧な計画ではない

          儒林外史 第一章 序にかえて (5)

          儒林外史 第一章 序にかえて (4)

          最初から読む 翟は里へすっ飛んできて、秦さんの家に着くと、王冕を呼び寄せて事の次第を話した。王冕は笑って言った。 「左様でございましたか。しかしこの王冕は一介の農夫でございます。畏れ多くもお話しなどとんでもない。謹んで辞退いたしますとお伝えくださいませ。」 調達役の翟は顔をこわばらせ、だんだん赤くなりながら言った「せっかく知事殿が来なさいと言っているのに断るやつがあるか! そもそも今回のことは俺が知事殿におまえの絵を紹介してやったからなんだぞ。それでお呼びがかかっているのに

          儒林外史 第一章 序にかえて (4)

          儒林外史 第一章 序にかえて (3)

          最初から読む ある日、秦さんと話をしていると、外から一人の男が入ってきた。頭に三角屋根の帽子をかぶり、真っ黒な服を着ている。秦さんは出迎え、椅子を勧めた。この人は翟という人で、諸暨県役場の庶務課を仕切ったり、資材調達をしている。秦さんの息子さんが彼にお世話になっていて、ここにはよく来るらしい。秦さんは息子にお茶をお出ししなさいと声をかけ、鶏をつぶして煮物を作った。その間、王冕が翟さんの相手をすることになった。バイヤーの翟さんは言った。 「こちらが没骨画で有名な王さんですか。

          儒林外史 第一章 序にかえて (3)

          儒林外史 第一章 序にかえて (2)

          最初から読む 王冕がぼんやりそう考えていると、遠くの方から、大男が肩におかもちをかついで近づいてくるのが見えた。もう片方の手には酒瓶を下げている。おかもちの上にはフェルトの敷物がかかっている。柳の下までやってくると、敷物を広げ、おかもちを開いた。さらに、学者帽をかぶり、きれいな直綴を着た3人の男たちがやってきた。1人は紗の入ったサファイヤ色の直綴、あとの2人は墨色の直綴を着ている。みな四、五十代のように見えた。手には白い紙で張った扇を揺らし、ゆっくりと歩いてくる。サファイヤ

          儒林外史 第一章 序にかえて (2)

          儒林外史 第一章 序にかえて (1)

          人生南北多歧路。将相神仙,也要凡人做。  百代兴亡朝复暮,江风吹倒前朝树。 功名富贵无凭据。费尽心情,总把流光误。  浊酒三杯沉醉去,水流花谢知何处。 “人生には数多の分かれ道があり、将相、神仙もまた凡人からなる。百代の興亡は朝暮を繰り返し、江風は前朝の樹をなぎ倒す。 功名富貴に縋っても、心を使い果たし、ただ時を失うのみ。濁酒三杯の酔いに沈めば、落ちた花の流れ行く先がわかるだろうか。” よく歌われるこの一首。人生の富貴功名は、身につかぬものである。しかし功名と見れば、世人

          儒林外史 第一章 序にかえて (1)

          内陸部にある顧湖鎮では、屋内でハリネズミを飼育し、

          内陸部にある顧湖鎮では、屋内でハリネズミを飼育し、冬の暖をとる習慣がある。 同鎮の側にある顧湖は1万年ほど前に隕石の落下で作られた。吹き出したマグマに覆われた大地に木々はなく、この一帯では、薪を集めることができない。村の人々は、シルクロードを通じて商人からもたらされた、帰る森のないハリネズミたちとともに、この厳しい大地を生きる。 「暖を取るためにはハリネズミがいちばん」と、村の最長老の越さんは語る。 「うさぎはスープにするし、鶏と寝ることはできませんから」 就寝中にハリネズミ

          内陸部にある顧湖鎮では、屋内でハリネズミを飼育し、

          中国語表音法へのエスペラントの影響

          【中国語ピンイン誕生60周年記念】  中国語をラテンアルファベットで表記する方法として、現在、世界では広く「漢語ピンイン(Hànyǔ Pīnyīn)」が用いられている[1]。漢語ピンイン成立以前には、中国語母語話者のために「国語ローマ字(Gwoyeu Romatzyh)[2]」や「ラテン化新文字(Latinxua Sin Wenz)」が作られ、使われており、漢語ピンインの基礎となった。特にラテン化新文字は中国北部の識字率を上げたシステムとして非常に重要であり、Chen によ

          中国語表音法へのエスペラントの影響

          中国語入門者に知っておいてほしいピンインの -n と -ng

          事実上、中国語学習の唯一の登竜門である「汉语拼音」。多くの学習者が振い落される第一の難関である。ここを通る者だけが中国語発音の奥義を体得すると言われることから、その高い難度にも関わらず、日々挑戦者は絶えないという。 こんにちは。つぁいにゃおです。 今日はピンイン学習者を最初に迎え撃つ騙しの石「-n と -ng」について考えてみましょう。 ものの本にはもっともらしく、次のように書いてあることがほとんどです。 -n前鼻音の〔n〕をともなう発音です。〔n〕をともなう母音の中

          中国語入門者に知っておいてほしいピンインの -n と -ng