動画補足記事:「湖畔の夕陽と薪ストーブの夜」にまつわるあれこれ
いつのまにかすっかり秋も深まって、むしろ冬の気配すら感じられるようになってきた昨今、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
今回は約1年ぶりに、富士五湖の一つ、西湖のほとりに位置する「西の海オートキャンプ場」に、スノーピークのミニッツドーム Pro. Air 1と、いつもの薪ストーブ、Winnerwell社のFastfold Titanium Camping Stoveを持ってお邪魔してきました。相変わらずの平日ソロです。
美しい湖畔の眺めを楽しめる「西の海オートキャンプ場」
今回のキャンプ場は西湖の東岸にある「西の海オートキャンプ場」というところで、東岸ということで湖畔からは富士山は直接見えないものの、夕暮れ時には西に向かって広がる湖面が素晴らしい眺めを見せてくれる、なかなか素敵なロケーションにあります。
湖岸に沿って走る道路を挟んでオーナーさんのお宅があって、そこから斜面に沿ってシャワーやトイレ、洗い場などの設備があります。トイレなどもきれいに管理されているので、グランピングとまではいきませんが、それなりに設備がないと、という方でも楽しめるキャンプ場かと思います。
一方、湖畔のサイトは区画は特に切ってありませんが、岸辺に沿って設営する形になるので、複数のグループが入ると自ずと隣り合って並ぶ感じになります。4〜5組程度なら気にならない程度の広さはありますが、行楽シーズンの休日だと厳しいかもしれません。わたしは平日にしかお邪魔したことがないのですが、今回、行楽シーズンど真ん中だと、火曜→水曜の逗留でも他に3組ほどいらっしゃいました。
3組ほどであれば上の写真のように、湖だけを視界に入れてのんびりすることができます。
EOS R5による撮影
前回、説明書を読む暇もなくいきなり実戦投入したEOS R5ですが、今回は多少準備もできたので、色々試してみました。本編の動画は主に8Kからのダウンサンプリングで高画質の4K映像を記録する「4K HQ」モードで撮影しています。YouTube上で見てどのくらい違いが分かるものか、自分でもちゃんと確認していないのですが、少なくとも自分のモニターで生のクリップを見比べると、文字通り、一枚、薄皮を剥がしたような鮮明さで、EOS Rで撮っていた4Kクリップ、あるいはHQではないノーマルモードで撮ったクリップと比較すると歴然とした差があります。後述するオーバーヒートの問題がなければ、「4K HQ」を常用しておけば間違いない、という感じです。実際、この画質の劇的な改善は個人的に一番大きいポイントです。
EOS R5で拡張された撮影モード
さらにEOS R5では「8K」「4K 60fps」「4K 120fps」まで追加されて大変なことになっているので、こちらも今回いそいそと試してみたのですが、こちらは常用は難しいかな、というのが正直なところです。「8K」は問答無用で凄まじいのですが、8Kまで来てしまうと「カメラ以外の周りの全てがついていけない」感じになります。うちにはそもそも8Kをそのまま再生できる映像機器はありませんし、ファイルサイズも新たに採用されたH.265コーデックを持ってしても巨大で、かつそのH.265コーデックのおかげでプレビューもレンダリングも悪夢のように時間がかかる、という状態です。
「4K 120fps」の方はまだ扱いやすい部分もありますが、音声の記録ができない仕様なので、微妙に残念な感じがあります。まぁ、元々、わたしはそんなに動きの激しい画は撮らないので、今回、試してみたように揺れる炎をスローで見せる、というくらいの使い方しか思いつかないのですが。一応、薪割りも撮ってみましたが、120fpsくらいだと超高速度撮影というわけでもないので、カットとしてはボツにしました。もう一つテストとして撮っておいた水面に小石を投げ込むカットをサンプルとして上げておきます。
キャンプ動画撮影におけるEOS R5の今後の運用
今回のEOS R5の機能強化は、元々ソニーやニコンなどがかなり先行していた状態なので、カメラ的な観点では「ようやくキヤノンが少し差を詰めた」くらいの感じもあるのですが、動画撮影・編集という全体的な視点から見るとPCのCPU、GPU、ストレージ、モニター等々、様々なものを置き去りにしている感じはあります。なので、差し当たりは「4K HQ」をベースにして、「8K」については画面クロップによる擬似ズームや移動ができる、という強みを考慮して、適宜、ポイント的に使っていく感じでしょうか。
それにしても、H.265コーデックは非常に厄介で、今回、テストの意味も込めて、最高画質的な設定でエクスポートしてみたところ11分29秒の動画の書き出しが終わるまで11時間30分かかってしまいました。1分=1時間。これには8Kクリップにかなりヘビー級のプラグインを適用したりしている分もあったりして、かなり極端なケースではあるので、次回、もう少し「普通のケース」を想定して、改めてチェックしてみたいと思います。
ちなみにこの問題はエクスポートの時間だけでなく、プレビューにも関わるもので、作業効率的には当面、プロキシの作成が必須になりそうです。しかしそのプロキシの作成にもやたら時間がかかるのがネックで、今後はキャンプから帰ってきたらその夜のうちに動画をすべて取り込んだ上で、プロキシ作成ジョブをMedia Encoderに放り込んで寝る、という感じになりそうです。
なお、世間では結構騒がれていた「オーバーヒート」問題、「4K HQ」でも撮影可能時間に制限がかかる、と聞いていたのでちょっと構えていたのですが、ファームウェア 1.1.1を適用した状態で、今回の撮影においてオーバーヒートによる撮影不能状態に陥ることは一度もありませんでした。基本的に常時「4K HQ」で撮影、時々「8K RAW」で撮るという感じだったのですが、わたしの動画だと10秒程度のクリップを断続的に撮るのがベースで、時々、2〜3分程度回す、というスタイルになるので、実際にオーバーヒートの警告表示が出るところまですらいかないようです。ちなみに一番長かった連続撮影時間は8分弱でしたが、単発でそのくらいなら何の問題もないようです。
ドローンの撮影について
今回の撮影ではMavic 2 Proによる空撮を取り入れてみました。実はこのドローンはもう一年近く前から手元にあったのですが、ドローンを実際に飛ばして撮影してみる、というのはやはり大変なことで、この一年間、時々飛ばして撮影してはみるものの、動画に採用するほどしっかり取り組むには至らないという状況が続いていたのでした。
このなかなか踏み越えられない見えないハードルの構成要素の一つが、許可関連の話で、そもそも日本国内ではドローンを飛ばせるエリアに結構な制限がかかっています。さらにキャンプ場というのは当然ながら私有地なので、オーナーさんの許可も必要になる、ということで、実際これまでに、そもそもドローンの飛行自体禁止、というキャンプ場もいくつかありました。
今回は、西湖ということで色々確認したのですが、そもそも富士五湖近辺というのは「富士の国やまなしフィルム・コミッション事務局」が「撮影」について広範に管理・サポートを提供している特別なエリアだったりします。(価値の高いロケーションなので当然のことと思います。)
西湖については主に北岸(おそらく湖の向こうに富士山が見えるロケーションかと思いますが)がその管理エリアになっていて、今回のキャンプ場がある東岸は通常の河川法の管轄ということで、山梨県県土整備部 富士・東部建設事務所吉田支所に問い合わせて確認を取っています。
さらにもう一点、基本的に国内のドローン飛行は「夜間飛行」が制限されていて、特別な許可のない限り、夜はドローンを飛ばせません。今回、夕日のショットを撮影するにあたって事前に確認を取ったところ、「国立天文台が発表する各地の日の出、日の入りの時刻が基準」ということでした。この日の日没は17:04で、最後、もうこれで納得するしかないか、ということで切り上げたこのショットが撮れたのが17:00ちょうどくらいでした。
というわけで、こうやって書き留めておくだけでも面倒なステップを越えていかないとドローン空撮というのはできないのですが、せっかく今回こうして初めの一歩を踏み出せたので、今後はまた可能性を広げるべくあれこれ試していきたいと思います。
ちなみに今回の撮影ではMoment社のアナモルフィックレンズを装着しています。これもまた扱いが難しくて、正直今回は失敗したなぁと思っているのですが、また次回以降、こちらもいろいろ考えていきたいと思います。
今後に向けて
動画中でも取り上げていますが、今回、薪ストーブの煙突カバーにコットンのバンダナを巻いて一晩焚く、ということをやっていて、それが問題なくクリアできたので、いよいよTschumのコットンテントに薪ストーブを投入していく準備が整いました。基本、キャンプの時はなるべく外にいたい質なので、実際にストーブを幕内に置いて過ごす、というのはもっと寒くなってから、例えば雪中キャンプのような状況を想定しているのですが、その本番の前にもう1ステップ、リハーサル的なタイミングを持ちたいので、次回かその次くらいで幕内ストーブを試してみたいと思っています。
あとは、逆に、最近、薪ストーブに偏りがちなので、焚き火に戻って、何か新しいレシピでも試してみたいという思いもあるので、「焚き火料理」を模索する、という方向性もありですね。今まで動画化していないメニュー(粉から作るタコス、同じく粉から作るピザ、ダッチオーブンで作るビーフシチューなど)も、改めて動画で取り上げてみてもいいかもしれません。
それからEOS R5についても、まだまだ試したい部分は多々あるので、この辺りもあれこれ楽しめたらと思っています。
それでは、また次回のキャンプで。みなさまも引き続き、健康と安全に配慮しつつ、楽しいキャンプライフを過ごされますよう。
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