「音信不通」〜本当にあった貿易トラブル
貿易ビジネスで、トラブルはつきもの。なかなか平穏無事に…とは、いきません。
これまでもいろいろありました。
分かりやすいものは、天候が理由で製造が遅れたり、船便が遅れたり。
2020年コロナ・パンデミックも、想定外の事態でした。
未知の病原菌が世界レベルで感染拡大して国が封鎖されるなんて、映画の中で起こる話だと思っていましたから。
2020年7月現在、コロナは収まっていないので、まだ油断はできませんが、今回は違う角度のトラブルをご紹介。
これは、数年前にご相談を頂いた、本当にあったトラブルです。
「某国現地業者との取引において仲介ブローカー(現地人)を挟んでいたが、そのブローカーと音信不通になり、注文した商品が入らない」
こんな相談がありました。
私は貿易コンサルではないですが、お取引先からのご紹介だったので、できる限りで対応することに。
いつもであれば英語でコミュニケーション…ですが、この時の相手国には、偶然にも私の知人が住んでいました。彼はJICA隊員OBで現地語がペラペラ。彼に通訳をお願いしました。
更に相談先から頂いた情報を基に取引相手の現地業者を検索したところ、現地在住の彼のツテもあって辿り着くことに成功。
JICA隊員OBを通じて現地業者に直接確認。
すると、注文情報は仲介ブローカーでストップしており、商品価格もブローカーが不当に吊りあげていたことが分かりました。
たまに聞く話ですよね。その国のビジネスマンがみんなそうだというわけではなく、たまたま悪いヤツにあたってしまったんです。
注意するに越したことはないですし、日本の法律が通用しない国・相手とビジネスをするので細心の注意は必要です。
ただ、今回のトラブルから導き出す(私なりの)最も大切な教訓は、「仲介ブローカーを入れるな」です。
ツテのない国でビジネスを始める時、どうしても現地商社・仲介業者に頼ることがあるでしょう。現地の事情通らしき人間がたくさん寄ってくることもあります。もちろん、それらの人間から有益な情報を得ることもたくさんあります。
でも、それでもなんとかして、最終的には自分がビジネスをすべき相手(会社)との間には、仲介者は入れるべきではありません(もちろん、ここまでは簡単ではなく、苦労があります)。
海外取引の場合、仲介者が入ることによって、輸入の場合は自分が取り扱うべき製品、輸出の場合は販売するべき相手が見えなくなります。それにより細かなニーズへの対応も、スピーディな対応も難しくなります。
なにより、仲介者の一存で物事が左右されてしまうリスクがあります。
海外とのビジネスの場合、いくら書面などできちんと契約を結んでいても、それが紙切れとなってしまうことも多々あります。仲介を挟まざるを得ない場合があるのも事実ですが、信頼できる相手なのかを出来る限り情報収集することが大切。
最後に支払い条件について、殆どの場合は「先払い」を要求してきます。
でも「50%先払い、50%船荷証券発行時支払い」など、交渉することをおすすめします。どうしても、支払いもトラブルの余地がありますから。
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