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つぶやき日記#17 ー 知らない間に空き地が出現

最近、犬のおかげで、
以前は通らなかった道などを、
たくさん歩きまわるようになりました。
本来なら私の行くべき方向に、
犬がついてこなくちゃいけないのに、
引っ張られてつい、
犬に飼い主がついて行っています。
この点は反省。

この辺は、
東京の中心部(皇居を中心として考えた場合)に近いところ。
江戸時代からの街並みや道路も反映されていて、
面白いと言えば面白い。
昔から人が住んでいた場所では、
その時代ごとに、
個人個人がなんとか
その時、手に入った予算や技術で、 
家を繰り返し建ててきたわけで。
武家屋敷街の跡地だったり、
明治時代の文化人が好んで集まった地域だったり、
それぞれ特徴や、雰囲気がありますが、
今回歩いてみて驚いたのは、
数多くの家が取り壊されていることです。

この辺りは空き家問題は少ない方だと思います。
取り壊されても、建て直し中、
というのが多い。

でも、今回見た、いくつかの空き地は、
そういうものではありません。
隣り合う二、三十坪の家々が壊されて、
大きな野っ原が出現しているのに驚きました。

犬はもちろん走り回りたがりますが、
敷地に入らせないように、止めるのに必死です。

所狭しと家が立ち並んでいるところに、
突然三百坪ぐらいの空き地が出現すると、
なんとも言えない気分。
ぽっかり空いた穴、
と捉えるか、
本来あったはずの清々しい大地の出現、
と捉えるか。

きっと大手のデベロッパーが買い集めて、
そしてまた、
何か大きな集合住宅を建てるのでしょう。

こうやって、
昭和か大正の文化住宅みたいだったお家が、
どんどん消えていく。

私が覚えている昔ながらの家、
それは、
高い板塀に囲まれて、ちゃんと門があり、
門の上に松がちょっと顔を出していて、
塀の上には、梅やみかんや紅葉の木が手入れされている。
門を開くと、
玄関まで石が敷き詰められている。
庭が楽しめるぐらいの土地があるお家なら、
家の壁と塀の間に、
枝折戸(しおりど)が作られていて、
そこを開けてお庭に出られる。
裕福なお友達のお家だと、
その庭がちゃんと日本庭園をなしていて、
鯉のいる池と月山を囲んで、
手入れの行き届いた植木が並んでいる。
それらを座って鑑賞するように、
家には濡れ縁があって、
ガラス窓の向こうの縁側から
その家のおばあさまが手招きして、
子供におやつとかくれるのだ。

なんて、
一瞬そんなことを思い出した。
そういえば、
枇杷(ビワ)のなる季節に、
屋根に登らせてもらって枇杷をとって食べたときは、
幸せだったなあ。
子供時代の幸せってそういうことかなあ。

さらに犬に引っ張られて歩くと、
かつての大病院の跡地に、
巨大な三階建の光り輝く現代建築が建っていた。
なんのことはない、
三階建のマンションみたいなもの。
この辺は低層住宅地なので、
敷地が広くてもそれ以上高いものは許されないのだろう。
それにしても、
ここには樹齢100年を超す椎の木や栃の木が、
私には名前もわからない背の高い木々と共に、
たくさん生えていたのだ。
敷地は千坪を下らない、広大だ。
ちょっとした森があるような感じだった。
それらを全て伐採して、
鉄やコンクリートでピカピカなものを立ててしまうのが、
有効利用なのだろうか。
そして、
一辺の壁だけで300メートルぐらいある大きな建物の全てが、
高級老人ホームだと分かった時の驚き。
そう、つまり
森に変わって老人ホームが出現したのだ。

ふーむ。
私は将来ここに入ることができるのだろうか。
入居金に6000万円ぐらい用意すると、
毎月30万円ぐらい払えば住めるらしい。
入居金なしだと、毎月90万円ぐらいみたい。

そんなバカな。
確かに、
最近多発する老人に対する特殊詐欺では、
何千万円も取られた、というニュースを見るたびに、
被害者の方に同情もするし、詐欺を働いた人に怒りを覚える。
暴力絡みの時は、本当に許せないと思う。
けれど同時に、
え?どうして自宅に何千万円も持ってるの?
という、
素朴な疑問が浮かぶのも否めない。
みんな、そんなお金を持っているのだろうか。
それが普通?
現金はコインしかないうちは、
おかしいんでしょうか?

長年働いて貯めたお金を、詐欺で失うくらいなら、
こういうところに支払ったらいいのかもしれない。
けど、
コインをかき集めても入居金は払えないし、
長年フリーランスで、年金とは無縁の私に、
毎月30万円払えないから、
なんだかよく知らない世界が広がっただけ。
まさか、あの立派な木々を、
全て切り払ってしまうとは・・・
という、ショックだけが残る。

願わくば、新たに出現した原っぱは、
せいぜい、普通の低層マンション用地であって欲しい。
あるいはテラスハウスとか。
絶対にやめて欲しいのは、
新興宗教団体の施設だ。
低い税金で潤沢に貯めた資金で、
自分たちだけの幸せのための施設を建てる。
東京に来たら、
いわゆる新興宗教が、
どんな立派な建物を建てているか、
見学ツアーしてみて欲しい、気もする。
信者さんじゃないと中に入れてもらえないし、
間違っても勧誘されないように気をつけてほしいです。
が、
外から見るだけで、驚くものがたくさんあるのです。

東京には、昔から神社仏閣がたくさんあるが、
その多くは、
一部なりとも道ゆく人に解放されている。
境内を綺麗に保って、
ちょっと階段に腰掛けたり、
心配事を、ついでにお参りしたり、
自分とは関係ない人のお墓参りとかも、
できちゃうのである。
一種のコミュニティ広場だ。

でも新興宗教団体の建物は、
往々にして、ガッチリガードされた近代建築で、
なんか近づき難い。
仲間じゃないと入れてやらない、
入るんだったら、たくさん寄付しないとダメ、
という感じがある。
そして、
寄付で集めたお金には税金がかからない?!
もちろん、
宗教法人にもかかる税金はあるので
宗教団体だと無税、というのは誤解です。
でも、不動産に関しては、
その資金調達も固定資産税も、
大きく優遇されていると思います。

さすが、Noterさんの中には、
宗教法人の建物を、散策していらっしゃる方がいました。
参考までに載せさせていただきます。

前々から愚痴っていますが、
日本の相続税があまりにも低額から発生し、
アメリカなどが、
15億円ぐらいまでは相続税の対象外なのと比べると、
日本は相続税の支払いのために
不動産を売り払うケースが多すぎる気がする。
その結果、その家屋は切り売りされて、
細切れの家だらけになって、
街並みが醜くなる。
そして、かつての生活の仕方が跡形もなく消えていく、
そんなことが残念でなりません。
原っぱになった土地に立っていた家々にも、
素敵な庭木がたくさんあったはずなのに。
全て平らになっている。

一方で、
都心の一等地と言われるところに、
あんな大きなものを立てることができる宗教法人さんの財源を、
少しは日本の借金解消に、
回してもらえないものなのかなあ。
そうすれば、
こんなに細かく相続税を取らないで済むんじゃないのかなあ、
と、
犬に引っ張られて街並みを見ながら、
考えてしまうのでした。


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リンゼ
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