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ブローチ

3
薬草に詳しくて刺繍が好きなロサさんと、傷ついた心を持った少女との穏やかで静かな時間。
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#短編小説

ブローチ#3

ロサさんは、私を家に上げると居間に連れて行く。
居間には古い木の机と椅子が置いてあるだけだったが、窓から庭の薔薇がよく見えた。

机の上には小さな硝子の花瓶があり、いつも季節ごとに庭に咲く花が生けられていた。今日は、かわいらしいアプリコット色の小さな薔薇が一輪。飾り気のない素朴な居間に映えている。

席に座っていると、ロサさんはレモングラスのハーブティーを出してくれた。透明なグラスに注がれた、美し

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ブローチ#2

「あのう…こんにちは」
私はロサさんがいつもいる部屋の窓をノックした。
しばらく経ってから、ガチャン、という音がして、扉が開かれた。
「こんにちは。上がって」
ロサさんはそう言って、私を出迎えてくれる。特別に笑顔を作ることのない、ごく自然な振る舞いが、緊張した私の心を穏やかにさせてゆく。

ロサさんは、村から少し離れた林の傍のこの家屋で暮らしていた。軍人さんと共同生活をしているようだが、私がお邪魔

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ブローチ#1

穏やかな日の光が降り注ぐ、午前の刻。
庭の入口の花壇には、ピンクとアプリコットの薔薇が優雅に咲いていた。

ロサさんは、いつもこの時間に刺繍をしているはずだった。煉瓦造りの古い家屋。窓から日が差し込む小さな部屋で、ロサさんはか細い指で繊細なレース編みのように針を動かしている。

彼女のことを、魔女のようだと思ったのはいつ頃だろう。少しウェーブのかかった白に近い明るい金色の髪。深緑を森を閉じ込めたよ

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