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全てが自由時間、ハイレベルな自治の意味

夏の振り返りシリーズ・その1
8月9〜11日(水〜金)
LINDA SMILES・SUMMER CAMP
(茨城県神栖市波崎町)

遅くなりましたが、8月に合宿へ行ってきました。今回はその報告noteです。

合宿報告 ② 水の中で泣いている人の涙
合宿報告 ③ 自由と自治を満喫しすぎやねん
合宿報告 ④ 自由の海に飛び込んだ3日間

クラブを立ち上げてから初の合宿。本当なら沖縄に行きたかったところですが夏は航空券がバカ高いので断念し(春休みに行きましょう)
沖縄から一転、合宿のメッカである波崎、そして波崎の合宿といえばここやで!という老舗「ミンションやまざき」での実施となりました。

日本の最東端にある宿。ハワイに一番近い宿です。

たぶんとてつもなく長くなるのでこの合宿報告は4回に分けようと思うのですが、まずは今回の合宿でテーマに掲げた
「全てが自由時間」「ハイレベルな自治」
この2つの狙いと意味について、まずは書こうと思います。

いきなりですが、サッカーで大切なことは
「仲間同士の繋がりと絆を深める」こと。
チームスポーツであるサッカーは、これがないと話になりません。

サッカーを始めたばかりの子が多いLINDAの選手たちにとって、そしてサッカーをずっとしてきた選手たちにとっても、もう一度再確認しアップデートしてほしいこと。

サッカーにおいて本当に大切で必要なのは
「お互いのパーソナリティーを知り、例え波長や性格が合わなくてもその違いを受け入れ、それぞれが代えの効かない仲間同士であることを知る」こと。
ONE PIECE の価値観そのものですね。

自分がチームにとって必要な存在なのだということを知り、自分以外の仲間のことも、誰一人欠かすことのできない仲間なのだということを知る。
合宿は寝食を共にするわけだから、そこを深めるための絶好な機会。

「仲間の中の自分」だから、仲間のために自分は「今」何をするべきなのかということが、ピッチ内でもピッチ外でも、判断と行動基準の最優先事項になってくるわけです。仲間同士だから、仲間のミスを許し、そのミスを拾うために自らが全力で走ることができる。

仲間同士だから、そのパスを受けた仲間がそのままプレーを成功させられるようなタイミングと質のパスを渡してあげないといけないし、パスに愛情と優しさを込めないといけない。それが「良いパス」そのもの。

自分の勝手な都合だったり「苦しくなったからとりあえず」なんて放り出すようなパスまがいのプレーを、僕はいつも「蹴る」と称してます。だから、彼女たちにはいつも「蹴るな」と言っているわけです。

良いパスを通すには、仲間の状態を見極めてジャストなタイミングを図らないといけない。

良いパスを通すことの美しさを、LINDAの選手たちには知ってほしい。
これを常々思っています。

仲間の大切さを知ること。
仲間がいるからこそ、その中で自分が今何をするべきかということを考えて行動する。それはそのまま、ピッチ内で「意図を持ってプレーする」ことに繋がります。

繰り返しになりますが、だから普段から「蹴るな」と言っているんです。
とりあえずの苦し紛れで蹴ってしまうプレーに、意図などはないのだから。

意図のあるプレーをしてほしい。それはきっと見ている人の心を揺さぶるし、仲間にも伝わるもの。

つまりお互いが仲間のことを知り、受け入れて理解し、本当の意味で「仲間同士」となることが、サッカーで大人になること、サッカーを知っていくこと、そして「サッカーができるようになる」ことへの第一歩になるのだと僕は思っているし、これは間違いなく確信しています。これがあって、初めて技術だったり戦術が本当に使えるようになってくるわけです。

この大切さがわからない選手、わかろうとしない選手は、いくら表向きのボール扱いがうまくてもそれはただのメッキで薄っぺらいだけ。サッカーでは通用しません。

こういうことって、これまでサッカーをしてきたかしてこなかったかは全く大した問題じゃないんですよね。だから初心者でもサッカーはできるし、あっという間に成長もできる。大切なことをわかってくれさえすれば。

そしてもう一つとても大切なことは、サッカーは自由なスポーツであるということ。だからこそ、自由という言葉の本当の意味を知ることが、サッカーを知ることの第一歩にもなってくるわけです。

「自分が自分が」は自由でも何でもない。
「自分さえよければいい」は単なる自分勝手。ナイーブなお子ちゃまマインド全開で恥ずかしい。

そうなるとここでも、やっぱり仲間の存在がキーになってきます。
自分だけで無人島で過ごすのならば、それこそ好きにすればいい。何をしようが君の自由。でもここは無人島ではないし、君の一人部屋でもない。

だからこそ、仲間同士の中での自分だからこそ。自由の本当の意味を知ることが、サッカーをしていく上で最も重要なファクターとなってくる。

ということで(ここまでが実に長い)
今回の合宿では、以下の2つ
「全てが自由時間」「ハイレベルな自治」
これを、テーマとして掲げさせてもらいました。

従来、普通のチームでの合宿では全て時間で管理されます。これはサッカーに限らずそしてスポーツに限らず、学校の修学旅行などでもそうでしょう。そうすれば大人はとても楽ですからね。縛られて指示通りにそのまま動けばいい子どもたちにとっても、実は楽。

LINDAではまず、ここを取っ払いました。
就寝時間も起床時間も決めない。全て自分で判断して決めよう、と。

よく考えてみればごくごく当たり前のことです。何時まで起きていてもいいけれど、翌日のことを考えて自分で分別をつける。起きていてもいいけれど、先に寝た人がいるのならば起こさないように静かにしてあげるとか。

起床時間も自由。朝ごはんは7時からとなっていましたが、7時までに全員揃わなくてもいい。7時から食べ始められるだけなので、各々のペースで来ればいい。最悪、食べなくてもいい。
もちろんグランドには皆で一緒にバスに乗って行かなければいけないのでその出発時間には間に合わせてねとはしていましたが、そこさえ守ってくれれば本当に時間は自由。

ここ、一見だらけられるようで実はかなりの判断や自治が求められます。

グランドから帰ってきても同じこと。お風呂にいつ入るのかも自由。何回入ってもいい。食事は19時から。でもそこに間に合わなくてもいい。長風呂したい子もいるだろうし、皆でいっぺんにお風呂に入れるわけでもないだろうから、急がせて烏の行水をさせたくもない。食事の後にゆっくり入りたい子もいるだろうし、そこは各自の体調や気持ちの面にも大きく関わってくるもの。

食事でも、必ず全部食べなければいけない、ご飯は無理やり山盛り(富士山盛り!)なんてことをやっているチームをまだたくさん見かけますが、これらは単なる食ハラスメントだと思ってます。大人の自己満足。これ、僕は昔から大っ嫌いです。

食事は合宿中の大きな楽しみだから、そこで無理をさせたくない。リラックスして、何のストレスもなく過ごしてほしい。食育はそれぞれのご家庭でやるべきものです。

嫌いなものを食べなくちゃいけないとか、吐く寸前までご飯を食べないといけないとか、そんな合宿ならしないほうがいい。食べられないものがあれば食べられる人に食べてもらえばいいし、どうしても食べられないのなら残しても仕方ない。もちろん、食事をつくってくれた人と食材となってくれた動物への感謝だけは忘れずに。

これらも全て、自由、自制、自治の範囲内ですね。

全てが自由時間
これはグランドでもそう。ここでは選手たちに「内心の自由」という話をしました。

この練習を「どの程度やるか」は全て本人が決めること。
「この練習で自分はここまでやろう、もっとやろう、これを上手くなるんだ!もっとできる」というように自分で自分を高めていこうとすることもできれば、
「無理。だるい。本気でやりたくない」と緩めてやることもできる。

全て本人の自由。その内心の自由にはこちらは干渉しないよ、ということも、初日の練習の冒頭に話しました。

もちろん、いい意味で「今は少し休んでおこう」と練習を抜けるのも自由。これは大事なこと。自分のコンディションは自分にしかわからないのだから。
「今、自分は全体練習には入らずに自主練をしていたい」これもOKとしました。自分の意思が全てです。そんな子の自主練には、僕も付き合いました。

やらなくても、大人がムチを打たない。檄を飛ばさない。無理やりやらせない。
どれだけやるかは自分が決める。それはそれぞれの内心の自由だから、人に迷惑をかけることもない。だから本当に自由。

ピッチ内でも、ピッチ外でも。
大人に全て決められて管理されて時間通り言われる通りに動くのと、全て自分で(自分たちで)決められてその必要性と責任も感じながら動くこと、どっちが厳しい環境か、そしてどっちが成長できるか。そしてどっちがカッコいいか。
答えは自ずとわかるはずです。

長くなりましたがそういうわけで
「全てが自由時間」(個人)
「ハイレベルな自治」(チーム)
これを、3日間求めた合宿となりました。

そしてこれ、彼女たちがハイブリッドに見事に表現してくれて、こちらの想定を遥かに超える姿を見せてくれたのです。当然それは、ピッチ内にも大きな変化となって表れました。

・・・

いや、何もそこまでしなくてもいいじゃんか、そこまで自由と自治を満喫しなくても⋯とこちらが面食らうくらいにぶっ飛んだことを初日からしてくれやがりましたが(泣)
それらも含め、決して勝手などではなく自由と自治をしっかりと表現して完遂させてくれてのことなので、自分はただただ彼女たちのその姿に、いい意味で驚かされることになるのでした。いやー、あいつら凄いわ

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合宿報告 ② 水の中で泣いている人の涙
合宿報告 ③ 自由と自治を満喫しすぎやねん
合宿報告 ④ 自由の海に飛び込んだ3日間


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