自由の海に飛び込んだ3日間
夏休み合宿報告・最終回
早くも最終日。中学生以上の合宿ならば本当は4泊くらいしたいんですけどね⋯
3日目をオフにして一日中観光させたりしてリフレッシュさせながら、というのが理想。ただ今回は日程の関係と直後に藤枝遠征もあるということで、2泊となりました。4泊はいつかやりましょう。
さすがに前日の朝よりも寝起きは悪く朝ごはんの集まりも悪かったけれど、それでも1人を除いて全員が朝ごはん食べていたし、その1人も別に体調不良ということでもないので何の問題もなし。
この合宿最後のセッションとなる3日目午前はまずユニフォーム姿での写真撮影をしてその後にゲームという流れだったのですが、ここで確認の乱れでユニが揃わずというアクシデント。自治自治とは言いつつも、さすがにここに来て緩さや拙さも見えてきたり。こんなエラーも含めての合宿です。
当事者意識があることない子では、同じエラーでも大きな差があるんですけどね。そこはもう本人がどう感じるか。当事者意識がないから感じることすらできないのかもしれませんが。中1ならではの幼さということで、気長に待ちながら今後に期待というところ。
学年でユニの色を分けた流れで、そのまま「中2以上 vs 中1」のゲームに。
合間に久保田&日吉コーチがそれぞれのチームを交代でコーチングする時間、そして彼女たちが自分たちで話し合い改善する時間を入れての計3本。
きっと疲れも相当ある中で、以前のようにこちらが「本気で!」と言わなくても勝手に本気でゲームに入るその姿はもう完全にこの合宿での大きな成長ポイント。だからゲームをやっていくうちにどんどん熱も帯びてくる。
最終日とも思えないほどにゲームは決してダレず、話し合いを経て内容もさらに良くなっていく、という好循環の最終日でした。
途中、1年生のある子が思い通りにいかないのか泣き出してしまって、それを機に1年生たちの間で勝手に輪ができ、彼女たちだけで積極的に話し合って改善しようという光景も見られ。ここまでの自発的な「輪」はたぶん初めてじゃないかな。。以前には決して見られなかった姿でした。
ここは大人が立ち入れない空間。多少ゲーム再開時間が遅れても、こういう遅延は大歓迎。
最後はお姉さんチームが逆転してゲームセット。いろいろな意味で、良い終わり方でした。
11人制の紅白戦て今までどの練習でもやれたことがなかったから、それをこの3日間すべてでできたというのが本当に大きかった。しかもこちらが言わずとも、チームとしての勝負、そして目の前の自分自身の勝負にもちゃんと拘りながらやってくれていたことで、それだけでも本当にこの合宿をやった大きな意義となりました。
最後
やれる人だけで集まってメンバーもシャッフルして、最後にもう一度ゲーム。
外でわいわいヤジを飛ばしながらのんびり見たり、そうかと思ったら参加しに行ったり、また戻ってきたり。相変わらず大人に水をぶっかけてきゃっきゃ言ってわちゃわちゃしたり。こういう時の彼女たちの表情が、僕らにとっては一番救われます。
いろいろありましたが、熱中症でぶっ倒れることもなく、怪我人もなく、無事に終えることができました。本当に良かった。
宿に帰ってシャワー浴びて、お弁当食べて(このお弁当何気にめっちゃくちゃ美味しかった。ほか弁のレベルを超えていた)
宿の方にも挨拶をして、さぁ横浜へ向けて帰りましょ
・・・
ではなく、最後にもうひとつだけ。海に寄ってスイカ割り🍉
宿のおじちゃんが教えてくれた地元の小さい八百屋さんでスイカを買ったんだけど、スイカってまるまる一個で買うとあんなに高いのね⋯初めて知りました(泣)
それでも「ヤツらが喜ぶなら仕方ない!」と小玉を4つ購入。海で割りまくって食い散らかして、本当にこれで全行程が終了となりました。
帰りのバスでは予想通り出発直後からみんな口を大きくおっぴろげて大爆睡してましたが、写真撮ったら訴えられるか2度と口をきいてくれなさそうなのでやめときました。一回SAで休憩したあとはみんな目が覚めてわいわいやってましたが。
女子ワールドカップ準々決勝「日本-スウェーデン」を観ながらの帰り。何で遠藤純を最初から出さなかったんだろ。
・・・って、外野はいくらでも好き勝手に言えるけれど、チーム内にしかわからないこともたくさんあるし、監督にしかわからないこともある。
きっと池田太監督は、今でも毎晩いろんな思いが巡って胸がモヤモヤしてると思います。監督ってそういうものです。その孤独さは、監督として本気で選手たちを愛して本気で勝とうとして、本気で試合に臨んだことがある人にしかわからないんですよね。
今回の日本女子代表はここ数年では見られなかった一体感があって本当にいいチームだったので、これからも応援したいと思えるチームでした。あの一体感を作り出しただけでも池田さんは間違いなくいい監督。来年のパリ五輪では、きっと優勝するんじゃないかなと思います。
結果は残念だったけれど、最後にスウェーデンを追い詰めたあの姿を、LINDAの彼女たちにはずっと胸に焼きつけていてほしいなぁと思いながら、合宿の振り返りも含めてひとりでしみじみしてたらあっという間に横浜着。
昨年の今頃、僕は某WEリーグ傘下のクラブで監督をやっていて、でもクラブとの様々な齟齬があり、選手たちと無理やり引き離されるという経験をしました。コーチ人生でいちばん辛い時期だった。心療内科にも行きました。鬱の寸前。今でも思い出すのが辛いくらいです。でも
一年前はあれだけどん底に陥って辛い時期を過ごしていた夏に、今年は新たに出会った選手たちとこうして楽しい夏を一緒に過ごすことができていて、あの時には色んな力で実現させてもらえなかった「選手主体の笑いが絶えないチーム」ができつつある。
これは集まったくれた選手たちと保護者の皆さん、協力してくれるスタッフ陣、そして応援してくれている方々のおかげでしかなく、こうして理想のクラブをつくれているこの現実が今でも「夢なんじゃないか」と思ったりもするくらいです。みんな、そして皆さん、本当にありがとうございます。
普通に続いていくクラブの日常を、これからも普通に続けていけるように。選手たちに求めるだけでなくこちらも常にアップデートしながら、選手たちにもっともっといい環境といい日常を感じてもらえるように、これからも頑張っていきます。合宿に参加したみんな、本当にお疲れさま。そしてありがとう!
春に集い、新たに出会い仲間になった同士が初めて寝食を共にし、自由の海に飛び込んだ3日間。
ピッチ外での主体性と自立は、そのままピッチ内のプレーに直結します。これは必ず相互関係。
主体性とは、自由という言葉の意味を知っていること。そして自立とは、自治ができること。
そんな選手たちにがピッチの上でコラボレーションしながら織り成して表現するサッカーは、間違いなく美しいものになる。
写真には映らない美しさ。でも、見ている人の胸に届きハートを撃ち抜くような。
そんなサッカーを近いうちに必ずや表現してくれると確信したこの合宿でした。
そして皆様
こんなやんちゃで破天荒なムスメたちを、これからもどうか、あたたかく見守っていて下さい。