一条ゆかり「正しい恋愛のススメ」感想
一条ゆかり「正しい恋愛のススメ」
LINE漫画で知ってドはまり、今は全巻ダウンロードしていつでも読めるようにしています。以下、ネタバレ満載なので全部読んだ方にしかお勧めしません。
この漫画に出てくる恋愛は以下の通り。
①博明と美穂(高校生同士の健全な?カップル)
②博明と玲子(美穂の母)
③護国寺と菜都(後に護国寺の母に)
④護国寺と久美子
⑤原田(美穂の父、ゲイ)と玲子
倫理的には全く好きになれないはずなのに、玲子さんのカッコよさに魅かれ、博明の不安定さというか自信のなさに共感しながらどんどん読み進められる話。正しい恋愛のススメってタイトルだけど、社会的に見れば決して正しい恋愛をされているようには見えない笑
全て一般的には間違ってると糾弾されるような恋愛ばかり(に見える)だけど、当人たちにとっては必要な心の動きだし、ここまで自由にやられるとなんだかもう「どんな恋愛でも正しいんだ!」っていう思い切りの良さを感じる。
一番好きなのは3巻、全員大集合の修羅場とか、その後の玲子女史他の動き方。
ぶちぎれた玲子さんが、博明の顔をみてすっと心を落ち着かせる場面とか。
玲子さんと「心を求めあっている」と感じながら別れを確信する博明のアンニュイな表情とか。
作品中の嬉しさと哀しさのクライマックスが同時に訪れる。
魅力的なキャラクターがそろっていて、読んでいてとても楽しい。
「親だろうと兄弟だろうとねたきゃねるわよ」――3巻
「後悔は死ぬときにまとめてする主義」――4巻
なんて玲子女史の言葉はドキッとする。こんな生き方したいって思わせてくれるからすごい。
ほかにも玲子女史の最後の言葉で、
「なんだろ…おいしいんだけど昨日のワインを飲んでるみたい。気持ちの決着をつけた時に恋愛の香りがとんじゃったのかしら…愛情もあるし気持ちも動くけど、きっと恋がたりなくなったんだわ」
なんても好き。
玲子さんにとっては、「愛情」だけで暮らしていくことはそんなに必要なことではないみたい。恋から愛へという話はよくされるけれど、ひたすら楽しく恋をして、波乱万丈に生きていくのが玲子さんのスタイル。
でもこの漫画で一番魅力が詰まってるのは、美穂ちゃんだなあと思う。最初はただ明るいだけの子なのかと思うのだけど、芯がひたすらにまっすぐで、憧れとかを通り越してただただ感服するのみ。
「人にきめられるよりいいじゃん。頭でわかんない時は身体に聞くのだ」
「エネルギー集中して無欲で投げると潜在能力が引き出されて自分の本当にやりたいところに当たるはず! あたし自分のパワー信じてるもん、絶対最後には笑ってやる!」
っていう前向きなパワフルさ。
「あたし博明と護国寺が一緒に暮らしててもヤキモチもやかなかったな」
「それなのにさ、ママと博明見たとたんにカーっときちゃって。わかるんだね…やっぱ、なんかすご…」
と癇癪のように泣きわめく悲しみの解消の仕方とか。かっこいいんだなあ。
初めはただただ好みな博明や護国寺のルックスに魅かれて読み始めたけど、内容としてすっごく面白い作品だったのでとってもお勧めしたい。
2017年に読んだ一押し漫画でした。
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