30.日本が独立・自尊の国になるためにー腹が減ってはイクサができぬ
兵站は戦争の時は重要である。戦士がいくらいても食事をとらなければいけないし、武器弾薬が尽きてしまえば、どうしようもない。
後方から食量・武器弾薬等の軍需品を前線に補給してやらなければ、多数いても闘えない。
「腹が減ってはイクサができぬ」、とはよく言ったものだ。日本の兵站は大丈夫か?
今夏(令和6年9月初旬)、スーパーの棚から、コメが消えました(令和6/10/5にnoteに書いた通りです)。日本の政治エリートのみでなく、国民も自分も今の世界情勢を正確に理解していないんじゃないか、というのが本稿での問題意識です。
ところで歴史上で名高い豊臣秀吉は、信長が本能寺で倒れてから、天下をとりました。秀吉は織田家の筆頭家老柴田勝家と合戦に臨みます。賤ケ岳の戦いです。
加藤清正、福島正則らの武勇にとんだ武将はいますが、兵站を任せられる家来はいませんでした。そこで秀吉に眼をつけられ抜擢されたのが、石田三成です。
(令和6年の第104回の)オール読物新人賞を受賞したのは、和泉(いずみ)久史(ひさふみ)さんの「佐吉の秩序」です(佐吉は、秀吉が渇をいやすべく領内の寺に立ち寄った際に小坊主だった三成の名前)。秀吉は天下取りの最後の大戦で、大事な兵站を「佐吉」に任せます。
この戦いに勝った秀吉が天下人となったのは、周知の事実です。
戦争の際に兵站が大事なのは、昔も今も変わりありません。日本の食料自給率は、カロリーベースで30数%強です。令和5年度はカロリーベースで38%、生産額ベースで61%と発表されています。
食生活の変化、気候変動等々種々の要因があるでしょうが、食料自給率が低いということは、国内で生産される食糧だけでは国民の食生活を支えられないことを意味しています。
日本を取り巻く現在の世界情勢は、お金を出せばいくらでも食料を売ってくれるという状況ではないでしょう。
為政者はまず自国の国民に食を与えなければいけないでしょうから、食べるものがなければ外国から買えばいいや、という姿勢は為政者のとるべき途ではないでしょう。
現在の世界情勢は、「戦時」でしょう。「平時」ではありません。大混乱の時代です。
約50年続けられた「減反政策」が平成30(2018)に幕を閉じました。
どんな政策も、理由なくして存在するものではありません。
やっと役人が日本の舵取りをする時代から、政治家が国の行く末を見据えて、政治権力を行使しなければならない時代になったと、実感します。
政治家は先ず国民を「飢えささないように」兵站を構築することですね。
和泉久史さんの受賞作はオール読物2024年11・12特大号に掲載されていますから、お読みください。
秀吉は三成をなぜ抜擢したのか、また三成は兵站をどのようにして万全にしたのか、について書かれています。
(つづく)