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無人島のふたり:120日以上生きなくっちゃ日記

ゴールデンウィークの読書 #1

山本文緒さんの
「無人島のふたり:
120日以上生きなくっちゃ日記」

無人島のふたり: 120日以上生きなくちゃ日記 https://amzn.asia/d/7M9Ljdm


△ 辛いけれど強くて優しい日記

2021年10月に突然の訃報。
ふんわりとしたイメージの山本文緒さんの
ご逝去のニュースに驚きました。

確か前の年、NHKの「あさイチ」に
出演されていた。
その時は明るく楽しくお元気だった。
それから一年も経っていないのに、、、。

50代の若さ、まさかのがん。
診断確定時に6ヶ月の余命宣告、
セカンドオピニオンでは4ヶ月(120日)。

残された時間を夫婦で向き合い闘った記録で、
重い病気を抱えての日々の体調変化、心の揺れ、
一人残されるご主人へ想いが綴られています。

自身の人生の最期の日々。
全てを受け入れて、
生活感を織り交ぜながらも客観的に
病気の自分を描き切る作家の生き様に
強く心動かされました。

walkingコースの新緑


△ 父の日々に重なった

診断確定時のステージは違うけれど
山本さんと同じ病に罹り
命を落とした父。

受けた検査、処置の種類

体調のアップダウンを繰り返して
どんどん体が弱っていく様子

訪問医療・看護サービスを受けていても、
どうしても入院せざるを得ないほどの
一時的な体調の悪化が起きてしまう事など。

彼女の日記の中の日々の記述は、
病名を告げられる直前までは精神的には
元気だったのに、告知の瞬間から
本当の病人になり、
もはやコントロールできない病気に
されるがままに削られていく自分の時間を
凝視することに全精神を集中して
暮らしていた父を真横で見ていた日々を
私にリアルに思い起させました。

実際に体験した事だから既視感とは
表現するのは正しくなく
ずっとそばで見ていたという意味で臨場感と
いうには病気の当事者でもない。

なんと表現したらいいのでしょう。
もっと正しい言葉があるのでしょうが、
今の私が思いつくのは「共感」。

最初から100%共感したまま読み終えました。

△ 悲しいけれど鮮やかで軽やか


自分ではもはや制御できず、
現代医学でもなおせない病を
自分の内に抱え込み、
余命を意識して過ごす日々がどんな感じなのか。

父に直接聞くことはできませんでしたが
山本文緒さんは教えてくれました。

うまく死ねますように

「無人島のふたり」(新潮社)12頁

彼女が最期の生き様(死に様)を
書き綴り読者に惜しみなく示してくれたことに
感謝しています。





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