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デザイン視点で見る美的センス溢れる映画

心を揺さぶられる瞬間は、未だかつてない体験を得た時、恋愛、または自身の置かれている状況や境遇、過去の原体験などが重なり何らかの共感を得た時に起こりやすい。映画や音楽はその体験や事象とが重なり、より濃密に心に刻まれる。
スクリーンを前に寛ぎながら、湧き立つ摩訶不思議な体験や感情を揺さぶる嗜好に酔いしれるし職業柄自ずと美意識に影響を与えてくれるので映画が好きです。

素敵な作品は沢山ありますが、中でもお気に入りのセンス抜群、ハートを鷲掴みする視覚的映像美に優れた映画の魅力を紹介しつつ、デザイン視点との関わりを見ていこうと思います。

マイ・フレンド・フォーエバー 

自分が映画にはまるきっかけとなった作品。友情を描いた感動の名作。ネイティブアメリカの情景と繊細な心情が心に刺さり美しい。この映画で主人公のエリック(ブラッド・レンフロー)が履いていたのがコンバースオールスターは履き古したスニーカーが冒頭から登場するシーンが印象的で、日本でもムーブメントの先駆けとして今も劣らぬスタイルを確立している。クライマックスでは溢れ出す感情と共にその訳を理解するだろう。


スタンド・バイ・ミー

Kids lose everything unless there's someone there to look out for them. And if your parents are too fucked up to do it, then maybe I should.
” 誰かが育てなければ才能も消えてしまう。君の親がやらないなら俺が守ってやる "

小さな町で退屈していた12歳の少年たちが死体探しをする2日間の冒険。
自分の父親に才能を認めてもらえないゴーディ。正義感が強く友人思いのクリス(リヴァー・フェニックス)の気持ちが伝わってきて、胸が熱くなる名作。(個人的にリヴァーの映画はどれも被写体が際立っていてオススメ)

フィルマークス


キングス・オブ・サマー

親への不満から家出を計画し、森に隠れ家を作って自立した生活を目指す青春映画。友情という関係性は恋愛が絡むと縺れる。無垢な少年のあどけなさや自然が見ていて心地の良い映画。ラストシーンの、とある仕草がすべてを物語る。観た後にジワジワと切なくなる様な感覚を味わえる。エンドロールのYouth Lagoonも抜群の選曲。


イントゥ・ザ・ワイルド

Happiness only real when shared.
” 幸福が現実となるのは、それを誰かと分ちあったときだ "

アメリカ各地を放浪していた青年が、アラスカの荒野で精神的革命を成し遂げようと、最後の大冒険に乗り出し行き着いたのは大いなる大地の制裁… 実話に基づいた本作品は、ショーンペン監督の美しい情景美、独特のカメラワークやグルーブ、音楽、キャラクター、名シーンで強烈なセンスを放っていて見る人を虜にする映画。

フィルマークス


LIFE!/ライフ

To see the world, things dangerous to come to, to see behind walls, to draw closer, to find each other and to feel.
That is the purpose of life.

” 世界を見よ、危険に立ち向かえ、壁の向こう側を見よ、
もっと近づいて、お互いを知れ、そして感じよ、それが人生の目的なのだから "
編集部のネガフィルム管理部門で働くウォルターは、真面目で平凡な人生を送る一方、妄想に妄想を広げて導かれるように25番目のネガを探す冒険に出る。映像や音楽も素晴らしく、壮大で圧巻の大自然が見どころ。
知らない世界の美しさ、人との巡り合わせや一歩踏み出す勇気をもつためにポジティブな気持ちになれる映画。

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ヴァレリアン

You are your own worst enemy come and
unless you make peace with your past you won't have a future.

” あなたの最大の敵はあなた自身だ
過去と向き合わなければあなたに未来はない "

リュック・ベッソン監督がフランスの人気シリーズコミック『ヴァレリアンとローレリーヌ』を映画化した本作は宇宙をパトロールするエージェント、ヴァレリアンとローレリーヌが消えた惑星について探るうちに全種族の存続をかけた陰謀に立ち向かう話。パール人の核心をついた訴えは、日常におちた本質をついた究極の名言であり、美しきCG、豪華キャスト、音楽、展開ともにわくわくを詰め込んだ見ごたえのある作品となっている。

フィルマークス


散歩する惑星

どこかの惑星で起こる不条理な出来事を淡々とブラックでシュールに描いていく本作は、独特の世界観にひきこまれること間違いなし。圧倒的違和感に終始目が話せず北欧のセンスを感じていただける作品。


落下の王国

Thou shall not fear falling. Behold the beauty of this world.
" 汝、落下を畏れるなかれ この美しき世界を仰ぎ見よ "

スタントマンをしていたロイは、撮影中に大怪我を負い、入院中の病室でアレクサンドリアという少女に出会い作り話を聞かせるが、やがて自分自身をも救う壮大な物語へと展開していく。
物事の見方が変わると世界は違うかたちでみえたり、自分にとって価値がないと思っていた事が誰かにとっては価値あるものだったり、そんな示唆を与えてくれて、なによりも映像の巨塔、デビット・フィンチャー&スパイク・ジョーンズ、そしてターセム監督の独創的で美しい映像美は圧巻の世界に酔いこまれる作品。

フィルマークス


時計仕掛けのオレンジ

資本主義と敵対した共産主義に対する皮肉が込められており、全体主義国家という極度な監視がされているディストピアの世界。
いわずもがなキューブリックの世界を堪能できる一作で、どの画角を切り取っても完成された絵になるシーンが特徴的。キャラクター、メリハリのある色調や画力、音楽の融合がわくわくを奏でる。たまに見返したくなる映画。


デザイン視点で見る映画

これらの作品には、映像美と構成、音楽やストーリーなどが逸した違和感に魅力があるように思う。映画の世界感をデザイン視点で捉えた場合、要素を置き換えてみると間接的に次のような関係性で置き換えることができます。

どれもなくてはならない要素であり、際立つポイントが作品やデザインそのもの自体の特徴や魅力が個性となって表現されていく。たとえばディズニー映画がどの作品を見ても一貫したオリジナリティを醸し出しているように、アイデンティティに魅了されて多くのファンを確立しているし、それは作品そのものに一貫したブランディングが形成されているとも言えます。

きっと私自身も好きな映画体験を、いつのまにかデザインの世界で体現しながら本質的魅力を形成させようとしているに違いありません。


Cover Design: Kurumi Fujiwara

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