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【海外ドラマ】『ブリジャートン家』シーズン3パート2も最高だった話。

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いまだにブリジャートン熱が冷めやらない、黒木りりあです。

5月に配信されたパート1に続いて、6月13日に配信が開始となった『ブリジャートン家』シーズン3パート2。パート1の勢いはそのままに多くの視聴者を引き付け、Netflixの歴代視聴時間トップ10に入るほどの人気を博しました。ファンとして、本当にうれしい限りです。
配信以降もSNSでは継続していた『ブリジャートン家』シーズン3のプロモーションが継続していましたが、先週で今シーズンの幕を閉じるとの発表がありました。既に製作が決定しているシーズン3の準備に舵を切るのかな、と思われます。一番大好きなシーズンが幕を閉じてしまうのは楽しみですが、シーズン4の配信まで約2年かかるとのことなので、しばらく本編を繰り返し見て楽しめそうです。
このnoteでも『ブリジャートン家』に関する投稿をいくつかしてきて、多くの方にご覧いただいていました。このタイミングで、まだ書けていなかった『ブリジャートン家』シーズン3パート2について、自由に語っていきたいなと思います。お時間のある方、お付き合いいただけますと嬉しいです。


『ブリジャートン家』とは?

『ブリジャートン家』("Bridgerton")は、2020年12月25日からNetflixで配信が開始した、ドラマシリーズです。配信開始から28日以内に8200万世帯が視聴したとされており、史上最も視聴されたNetflixオリジナルシリーズとなりました。ジュリア・クインによるベストセラー小説シリーズ「ブリジャートン」シリーズを原作としています。
作品の舞台は19世紀初頭のロンドンで、名門貴族ブリジャートン家の8人きょうだいが1作ごとにそれぞれ主人公となり物語が展開していきます。また、このシリーズは、各物語がロマンスの8つの王道の展開に沿っており、それがシリーズの魅力の一つにもなっています。
シーズン3の主人公は、ブリジャートン家の第3子で三男のコリン・ブリジャートンと、ブリジャートン家の向かいに居を構えるフェザリントン家の三女ペネロペ・フェザリントンです。
ようやくお互いに「友人以上の関係になりたい」と気持ちが通じ合ったコリンとペネロペ。二人は晴れて婚約することになりました。けれどもペネロペは、自らが社交界新聞の筆者レディ・ホイッスルダウンであることを、まだコリンに告げられずにいました。女王のホイッスルダウン探しが続く中、初恋の相手との結婚と秘密の狭間でペネロペは苦悩し……。
では、『ブリジャートン家』シーズン3パート2はどのような点で多くの視聴者から支持されているのでしょうか?
個人的に感じた理由を8つ、挙げていきたいと思います。

1. 魅力を増したヒロイン

本作の女性主人公は、パート1から引き続きペネロペ・フェザリントンです。ようやく長年の想い人であるコリンと婚約までたどりついたものの、自身がレディ・ホイッスルダウンであるという秘密が彼女を苦悩させます。それまでずっと壁の花だったペネロペ。コリンとの婚約で多くの人々から注目を集めますが、それは本当の彼女の姿なのでしょうか。
静かでおとなしくて控えめなペネロペと、観察眼に優れ、時に辛辣な鋭い言葉を投げるペネロペ、どちらが彼女の本当の姿なのか。想い人と結ばれるためなら、自分の夢や声を犠牲にするべきなのか。彼女の大きな葛藤がシーズン3パート2の目玉です。
演じる二コラ・コクランの演技には本当に圧倒されました。強い女性レディ・ホイッスルダウンとしてのペネロペを鋭いまなざしで演じつつも、純粋で愛らしい恋愛初心者のペネロペの演じ分けが素晴らしく、どうすればあんなに純な表情ができるのだろう、と驚かされました。ペネロペの成長と物語を二コラは見事な演技で語っています。

2. 魅力を増したヒーロー

本作の男性主人公はパート1から引き続き、コリン・ブリジャートンです。
ようやく自分にとってペネロペがどういう存在なのかを自覚したコリンは、彼女と婚約し、彼女を守ることこそが自分の人生の目的だったのだと感じ始めています。しかし、彼女に秘密があること、そしてその秘密の内容を知った時、彼は再び苦悩することになります。
常に自分よりも周囲の気持ちを優先する、優しくて繊細な三男坊、それが本当のコリンなのでしょうか。それとも、大陸を周って多くの女性を引き付ける魅力的な男性こそが彼の真の姿なのでしょうか。愛とはいったい何なのか、彼がなりたい自分とは、いったいどのような姿なのか。コリンの大きな葛藤もまた、シーズン3パート2の目玉となっています。
演じるルーク・ニュートンは、パート1でもコリンの繊細な心の動きを見事に演じ切っていました。特にクライマックスの馬車のシーンで流した涙と表情の変化は素晴らしかったと思います。パート2でもその演技は素晴らしく、特にペネロペの秘密を知った際に流した涙は、完璧以外の表現が見つからないほどです。原作では感情の起伏が激しすぎる印象だったコリンの心の動きを、ルークは説得力のある演技で現実のものとしてくれたように思います。

3. 更なるカップルのケミストリー

シーズン3パート1について書いたときもお伝えしたように、今シーズンに用いられているロマンスの王道プロットは「友人から恋人に」("Friends to Lovers")です。シーズン1からゆっくりと育まれてきた二人のケミストリーは、シーズン3パート1の馬車のシーンにて最高潮に達したと思われます。それまで二人のケミストリーに懐疑的だった人々も、あのシーンを見たら何も思わずにはいられないでしょう。
パート2では、ペネロペとコリンがいきなり恋人同士という新たな関係性になるのではなく、友人というベースの上に恋人という関係性を築いていることが分かるような演出がされていたように思います。これは原作で欠けていた要素なので、ドラマで見事に補完したと思われます。さらにファンが注目したのは二人がこれまで書いてきたドキュメント類です。拡大して文字を解析し合うほどに、細かい部分にまでファンが目を光らせていました。
2人が元々友人同士であった、という描写に加えて、やはり重要なのが恋人や婚約者、夫婦としての二人のシーンです。二人の親密なシーンはドラマ本編に度々登場していましたが、実際にはそれ以上に多くの親密なシーンが撮影されており、編集の最終段階で多くがカットされてしまったようです。これに対して多くのファンが未公開シーンの公開を求める署名を始めました。それほどまでにファンを熱中させているこのカップルのケミストリーの温度は、非常に高いといえるのではないでしょうか。

4. 大盛り上がりのプレイベント

『ブリジャートン家』のシーズン3はパート1と2に分かれたため、その間に大きなイベントを世界各地で催すことで、約1か月間多くのファンたちの注目を集め続けることに大成功しました。その集大成となったのが、パート2の配信開催日の前日に行われた前夜祭です。ロンドンで開催されたレッドカーペットイベントの映像配信や、特別インタビュー映像、そして配信に先駆けてエピソード5を視聴できるという世界同時の超大型イベントが開催されました。
日本ではイベント開始時刻が午前3時というかなりしんどいスケジュールでのイベントとなったのですが、仮眠を取り眠い目をこすりながらイベントを視聴しました。事前登録者のみに参加が許されるイベントで、形式としてはシーズン3配信前に行われたイベントに近い雰囲気でした。シーズン3前に行われたイベント同様、ボタンを押すことでシンボルアイコンを降らせることができる仕組みに加え、コメント機能が付いていました。加えて、プレミアイベントの別チャンネルでは『ブリジャートン家』シーズン3パート1が配信されており、ウォッチマラソンができる仕組みになっていて、イベントを見るか本編を見るかかなり迷いました。

イベントの実際の画面

日本のファンにとって残念だったのは、時間帯だけではありません。配信では複数言語での字幕を選択できましたが、日本語は選択肢にはありませんでした。世界各国を回ったプロモーションイベントにも日本は含まれておらず、日本の『ブリジャートン家』熱があまり上がっていないことを証明していたように思います。とはいえ、イベント自体は大盛況で、パート2のヒットに良い弾みをつけたと感じました。

5. 更なるアップデートを遂げた名場面

ファーストキスや馬車の場面など、『ブリジャートン家』シーズン3パート1では、原作で人気のシーンについて、忠実に再現しつつも更なる要素を加えてアップデートを施し、ファンからも非常に人気を集めていました。そしてパート2でも人気シーンに更なるアップデートが施され、多くのファンから支持を得ることに成功しました。
最も象徴的なのが、鏡を使ったシーンです。シーズン3のシンボルマークとしてもしばしば用いられてきた鏡ですが、原作には実は言及があるだけで実際に鏡を用いたシーンは登場しませんでした。そのため、多くのファンが「映像化の際にはぜひ鏡のシーンを取り入れて欲しい」と何年も求めていました。そして今回、それが見事に実現しました。原作の人気場面にこれを加え、さらに二人が元々友人同士であることも分かるような演出になっていて、これ以上のアップデートはないのでは、という仕上がりになっていたように思います。
また、レディ・ホイッスルダウンにまつわるシーンも多くが変更を加えられています。コリンが彼女の正体に気づいたシーンは本当に美しく描かれていましたし、クライマックスの舞踏会も素晴らしかったと思います。原作の良さを残し、上手に生かす手法の巧みさが際立ったと感じました。

6. 音楽の親和性

『ブリジャートン家』はシーズン1から、人気のポップスをクラシックアレンジしたBGMで大きな話題を集めていました。それは今シリーズでも変わりませんでした。特に、パート1の馬車のシーンで使用されたPitbullの "Give Me Everything" の人気が非常に高く、再びのヒットを記録したためにPitbull本人がSNSで投稿するほどとなりました。
シーズン3で使用される楽曲については、ファンは長い間「どの曲がコリンとペネロペの物語に使われるべきか」という議論を続けてきました。その中でもひときわ大きな声として上がっていたのが、Coldplayの "Yellow" という楽曲を使うべきだ、という意見です。これはペネロペが黄色い洋服ばかり着せられていたこと、さらにコリンの寝具にも黄色が使われていたことから、このカップルを表すのに最もふさわしい色でもあり、愛を歌った歌詞も二人の関係に見事にマッチする、という理由から、ペネロペとコリンのファンから長らく愛されてきた曲だからです。コリン役のルークが過去にこの曲をカバーしていたこともよりファンの声を大きくするきっかけとなりました。
このファンの声が届いたのか、Coldplayの "Yellow" のクラシックアレンジが実際に劇中で使用されました。しかも、この曲が使われたのは、二人の結婚式の場面です。事前に使用楽曲リストを見た際に、この曲が使われることは分かっていましたが、結婚式の場面でこの前奏を聞いたときには心がぐっと掴まれ、目頭が熱くなりました。それ以外にも、二人にぴったりな楽曲が多く使われていて、今シーズンが気に入られた理由としてサウンドトラックの果たした役割は非常に多いと感じさせられました。

7. 群像劇としての更なる進化

ドラマ『ブリジャートン家』と原作小説の大きな点は、ドラマの方が群像劇として成り立っており、よりマクロな視点でシリーズを捉えているという点です。ロマンス小説は基本的にメインとなるカップルしか登場しないのですが、ドラマでは群像劇とすることでより多くの物語が語られ、より大きなストーリーを語ることができています。その分、メインカップルの登場シーンが少なくなってしまう、という難点もあり、原作ファンからは疎まれている部分もありますが、作品としての完成度は高くなっています。
『ブリジャートン家』の群像劇としてのアプローチは、シーズン1やシーズン2では、次以降のシーズンにつながる種まき的な要素が強くありました。その中にはもちろん、ペネロペとコリンの物語がしっかりと組み込まれていました。シーズン3でも同様に、次以降のシーズンをにらんだ種まきが多くなされています。コリンの妹フランチェスカとジョンの結婚、そして彼のいとこミカエラの登場がその一つです。(ミカエラは原作ではマイケルという男性キャラクターのため、この変更に論争も起きていますが……。)さらに、ベネディクトとエロイーズについても、今後の展開の鍵となりそうな場面が複数登場しました。特に、仮面舞踏会の話題は、ベネディクトの物語に直結しそうな予感がしています。原作では仮面舞踏会にてベネディクトに出会いがあるためです。
種まきだけではなく、シーズン3ではそれまでのストーリーラインの回収もいくつか見受けられました。例えば、シーズン2でメインカップルだったアンソニーとケイトのその後が語られている場面。二人のラブラブな結婚生活描写は多くのファンを満足させるものとなりました。さらに、番外編だった『クイーン・シャーロット -ブリジャートン家外伝-』で語られていたプロットが回収され、シーズン3でのヴァイオレットやダンベリー夫人の物語へとつながっていました。このように、群像劇としての更なる力を見せつける作品としてもシーズン3パート2は大きく機能していました。

8. 更なる女性同士の絆と友情

『ブリジャートン家』の一番のパワーカップルと言えば、ペネロペとエロイーズです。二人は恋人同士ではなく大の親友同士、そしてこのシーズン3パート2では義理の姉妹へと関係性が変化していきました。シーズン2の終わりに亀裂の入ってしまっていた二人の友情でしたが、シーズン3パート1ではお互いがお互いを気にかけ続けている描写がなされていました。パート2でも二人はもう一山超える必要がありましたが、そのことで二人の絆がより強固なものであることが示されました。
女性同士の絆が描かれる作品は、意外と多くありません。女性同士をいわゆる「キャットファイト」のように、戦わせる作品の方が多いように思います。数々のゴシップネタやスキャンダルネタでも、その傾向が非常に強いのではないでしょうか。『ブリジャートン家』もゴシップを扱っている作品ではありますが、レディ・ホイッスルダウンは決して女性同士をむやみに競わせません。それはおそらく、ペネロペ自身がエロイーズとの間に強固な絆を築けているからなのではないかと思います。
ライフステージによって、友人関係が大きく変わることもあります。それを受け入れるのも、それをやり過ごすのも難しい問題です。それでも努力次第では、その山を乗り越えてより強固な絆を作ることができます。シーズン3パート2では、ペネロペもエロイーズも、自分たちのライフステージの大きな変化を経験します。それを二人がどう受け入れ乗り越えていくのか、という描写はとてもうまく、これからどのような展開が待っているのか、さらなる興味が引かれるところです。間違いなく、これからの二人の物語はこの先も『ブリジャートン家』の人気をけん引する要素の一つであり続けるでしょう。

さて、ここまでは『ブリジャートン家』シーズン3パート2の魅力について、自由気ままに語ってまいりました。書きながら、まだまだ書ききれていない魅力がたくさんあるのに、とこの作品の奥深さに改めて感嘆のため息が漏れるほどです。シーズン4は今年の下半期から本格的にプロジェクトがスタートし、2年後をめどに配信される予定となっています。さらに、出演しているキャストの方々はそれぞれより大きなプロジェクトにも関わるようになっています。シーズン4のニュースが聞こえるまでは、彼らの出演作品と共に、過去シーズンを何度も何度も繰り返して楽しみ続けましょう。個人的には、ファンフィクションを読み漁るのもおすすめです。

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