シェイクスピアを翻案とした、ロマコメ映画5選。
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さっそく蚊に襲われて、夏の足音を実感した黒木りりあです。
4月も後半に差し掛かると、いつも私の頭に浮かぶ偉大なる文学者がいます。ウィリアム・シェイクスピアです。1564年4月23日に生まれ、1616年4月23日に亡くなったとされ、生没日が同じとされるシェイクスピア。時代も時代なので正確だとは言い切れませんが、本日4/23はシェイクスピアにゆかりのある日です。
シェイクスピアといえば、『ソネット集』をはじめ多数の詩を残したため、詩人というイメージが最初に浮かぶ方もいれば、「ヘンリアド」や「四大悲劇」などといった名だたる劇作を多数残したため、劇作家というイメージが最初に浮かぶ人もいるでしょう。そんなシェイクスピアの作品は現在まで、様々な形で人々に届けられています。
中には、大きく形を変えて親しまれる作品も少なくありません。そこで今日は、シェイクスピア作品を翻案とした、現代のロマコメ映画5作品を紹介したいと思います。よろしければ、お付き合いください。
1. 『恋のからさわぎ』('10 Things I Hate About You'、1999年)
『恋のからさわぎ』は、1594年に執筆されたシェイクスピアの喜劇『じゃじゃ馬ならし』('The Taming of the Shrew')をベースに、舞台をイタリアからアメリカの高校へと移した、ロマコメ映画です。(邦題の影響で同じくシェイクスピアの悲劇『空騒ぎ』をベースにしていると勘違いしやすいのですが、全くの別物です。)
主演を務めたのは、ジュリア・スタイルズとヒース・レジャーで、それぞれカトリーナとパトリックを演じます。特に、ヒース・レジャーにとっては本作が出世作となったため、日本では『ヒース・レジャーの恋のからさわぎ』という題名で流通している場合もあります。
物語は、転校生のキャメロンが学園のアイドル的存在・ビアンカに一目ぼれし、彼女をデートに誘おうとするところから始まります。ビアンカから、父親の方針で、姉のカトリーナにデート相手がいないと誰ともデートできない、と聞いたキャメロンは、学校のはみ出し者のパトリックを金で雇い、カトリーナとデートするように命じます。頑固で男嫌いなカトリーナと、不器用で野性的なパトリックの駆け引きが始まります。
公開から約25年が経過してもなお、伝説的な人気を誇る本作。以後の作品にも様々な影響を残しています。私にとっても、お気に入りなロマコメ映画の一つです。
個人的なお気に入りシーンは、フランキー・ヴァリの「Can't Take My Eyes Off Of You」を歌い踊るヒース・レジャーと、物語最後のカトリーナのスピーチです。(映画の原題はこのスピーチから取られています。)
2. 『モテる男のコロし方』('John Tucker Must Die'、2006年)
『モテる男のコロし方』は、1602年に出版された『ウィンザーの陽気な女房たち』('Merry Wives of Windsor')をベースに、舞台をイングランドから現代のアメリカの高校へと移したコメディ映画です。主演はブリタニー・スノウとジェシー・メトカーフで、それぞれケイトとジョンを演じています。また、ジョンの弟役をペン・バッジリーが演じています。
日本では見られる媒体が割と限られていて、動画配信サービスではたまにしか見かけず短期間で消えてしまうので、見かけたらラッキーかもしれません。
高校一の人気者ジョン・タッカーは、実は同時に3人の女性と交際していました。それも巧妙に、敢えてそれぞれ接点のなさそうな女性たちを選んでいました。偶然、自分たちが三股をかけられていると知った恋人たちは、ジョンに復讐すべく、居残りで知り合った地味な女生徒・ケイトを彼好みに変身させてわなを仕掛けることにします。まんまと恋人たちの作戦にはまったジョンは、本気でケイトに恋をします。ジョンを辱める作戦に協力しつつも、ケイトは次第に違和感を覚えていきます。
本作は決して『ウィンザーの陽気な女房たち』に忠実ではなく、むしろシェイクスピア作品がベースだと気づかない人の方が多いと思います。
ロマコメ、というよりはむしろコメディーに振り切った作品で、タイトルは物騒ですが内容はあくまでも学園コメディです。ありきたりなロマコメや学園コメディから少しひねりを効かせた展開が新鮮で、おすすめです。
3. 『アメリカン・ピーチパイ』('She’s the Man'、2006年)
『アメリカン・ピーチパイ』は、1602年ごろに初演を迎えたとされる『十二夜』('Twelfth Night')を原作とした、学園ロマコメ映画です。舞台はやはり、アメリカの高校へと置き換えられています。
主演は、アマンダ・バインズとチャニング・テイタムで、それぞれヴァイオラとデュークを演じています。近年はお騒がせで有名になってしまったアマンダ・バインズの黄金期の作品の一つであり、ブレイク前のチャニング・テイタムを見られる貴重な作品です。
主人公のヴァイオラは、サッカー少女。しかし、突然、彼女の所属する女子サッカー部が廃部に。男子サッカー部に入部させて欲しいと懇願するも、断られます。そんなとき、全寮制学校に入学予定だった兄が、親に黙ってロンドンに旅立ちます。これをチャンスと考えたヴァイオラは、兄・セバスチャンのふりをして代わりに入学。そこで男子サッカー部に入部します。慣れない「男子高校生」としての生活に戸惑いつつもだんだんと学校生活になじんだヴァイオラは、いつしかルームメイトのデュークに惹かれていきます。けれども、デュークは同級生のオリヴィアに熱を上げていて、そのオリヴィアはセバスチャンのふりをしたヴァイオラに想いを寄せ始めて……。
ヒロインが男装する喜劇はシェイクスピア作品の一つのパターンですが、それは高校生活にうまくあてはめた一作です。くだらないコメディ映画なのですが、ついつい何度も観てしまっている一作です。『花ざかりな君たちへ』や『美男ですね』、『桜蘭高校ホスト部』などといった作品が好きな方には刺さりやすい作品ではないかな、と思います。
4. 『ウォーム・ボディーズ』('Warm Bodies'、2013年)
『ウォーム・ボディーズ』は、シェイクスピアのおそらくもっとも著名な作品である『ロミオとジュリエット』('Romeo and Juliet')を原作とした、ゾンビロマコメ映画です。舞台がヴェローナから現在に近い時間軸の終末世界へと変更されています。かなり大胆な改変がなされている作品で、その発想力に驚かされます。
主演はニコラス・ホルトとテリーサ・パーマーで、それぞれRとジュリーを演じています。
ゾンビやガイコツがさまよう終末世界で、生き残った人間たちは砦を築き、その中で暮らすようになりました。廃空港で生活しているゾンビの青年Rは、ある日仲間たちと共に町へと繰り出します。そこで出会った青年ペリーの脳を喰らったところ、それが影響して、ペリーの元恋人であるジュリーに恋をしてしまいます。ジュリーを自分のアジトへと連れ帰ったR。二人はお互いを理解しあっていくうちにだんだんと距離を縮めていきます。ゾンビと人間の恋物語はやがて世界に大きな変化をもたらすきっかけとなり……。
斬新すぎる設定と物語で大きな話題を呼び、癖の強さと作品の出来の良さからか、一部で非常に評価が高い本作。Rがレコードを集めているという設定のため、サウンドトラックも非常に豪華で聴きごたえがあります。
個人的にははまりきれなかった作品ではあるのですが、一見の価値は非常に高いと思っている作品です。
5. 『恋するプリテンダー』('Anyone But You'、2023年)
『恋するプリテンダー』は、『空騒ぎ』('Much Ado About Nothing')を下敷きとした、アメリカのロマコメ映画です。舞台はシチリアからシドニーへと変更されています。
近年では劇場公開が減っているアメリカのロマコメ映画ですが、本作は撮影開始時から大きな注目を集めており、2023年末にアメリカで劇場公開されるなり大ヒットとなりました。主演は今、最も話題な俳優であるシドニー・スウィーニーとグレン・パウエルが務め、それぞれビーとベンを演じます。
本作は日本でも劇場公開が決定しており、5/10より全国公開となるそうです。
アメリカでは既にNetflixでの配信も始まっている本作。公式が出している場面動画をYouTubeで見たのですが、とても面白くて今から作品を見るのをすごく楽しみにしています。既に大ヒットしているだけあって、期待値がより高まる本作。本編を鑑賞したら、改めてnoteで鑑賞記を書きたいと思います!
さて、ここまでシェイクスピア作品を題材とした5本のロマコメ映画を紹介してきました。もしもまだ見ていない作品で気になったものがあれば、是非ご鑑賞いただけると嬉しいです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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