#13 日本の学校で受けた5つのカルチャーショックと文化の違い
先日友人と学生時代の時の話などをしていて、
欧米の学校はどんな感じだったのか聞かれました。
「かれこれこうだったよ」と言うと
驚かれることもあれば、その逆もありました。
教育現場と言うのは、国や文化の違いによってこんなにも違うのか!と様々な国を比較すると面白かったりします。
私は、日本の学校には小学3年生までしか通っていかなかったため、日本に帰ってきて教員になるために公立の中学校へ教育実習に行ったとき、自分の学校に勤務し始めた時、様々な違いに驚き、戸惑いました。
先に言っておきますが、「日本の教育がダメ」とか「海外の方がよい」と言いたいのではなく、文化の違いや価値観の違いから、私がつい”Why Japanese people!” と言いたくなってしまった、日本の学校で受けたカルチャーショックや、欧米の学校との違いについて今回は書こうと思います。
《 1 》どこへ行くにも列になる
本当に小さなことなのですが、
私が一番違うなと驚いたのは実はこれです(笑)
教育実習で行った中学校は、いわゆるマンモス校で生徒数が多かったため、どこへ移動するにも「きれいに整列」することが求められました。列を乱すと怒られている生徒もちらほら…。きわめつけは、タイムを測る教員がいて、静かに素早く移動することが求められました。
体育館に行くにも並ぶ、遠足に行くのにも並ぶ、朝礼などにも並ぶ、避難訓練でも並ぶ。
いい方が悪いですが、最初見た時は、少し軍隊っぽいなと思ってしまい、その光景がとても不思議に感じました(汗)
欧米の学校はどうかというと、ほとんど移動の時に並んだ記憶がありません、、、。小中学校でも集会などがある場合は、時間になったら勝手に行って、勝手に集合。
一応決められたエリアに行き、好きなように座る。高校はもはや大学のような選択科目制で常に移動教室だったので、自分で勝手に教室へ向かう必要がありました。全部自己責任です。
もちろん、列になった方が教員としては管理しやすいし、幼い児童の安全面などを考えると列になった方がよいのかもしれませんが、あまりに厳しく並ぶことを求められると、自由がなくて息苦しくも感じました。
どちらがいいのかはわかりませんが、ただこんなにも違うのかと驚きです。でもきっと、だから日本人は混雑時の電車や行列など、きちんと並ぶことができるんだと感心します。
《 2 》見た目に関する校則が多すぎる
人を不快にさせないような身だしなみやマナーを大切にするのは大事だし、社会にでたらTPOも大事です。
しかし、最近ブラック校則なるものが言われるようになりましたが、あまりに理不尽に思えることや、説明が理にかなっていない見た目のルールがあることに驚きました。
靴下の色や長さ、持ち物の指定、髪の色、髪の長さ、髪型、スカートの丈の長さ、メイクの禁止、眉毛の形、、、。
海外が長いと、このようなものは少々理解しがたく、なぜだめなのか聞くと大抵の大人は、決まりだからとか、勉強に集中できないためと返答をします。見た目を規制したところで、勉強のモチベーションがあがるのか疑問だし、むしろオシャレなどを楽しむことで心に余裕ができるのでは?と少しモヤモヤしました。
それに、これだけ小さい頃から見た目に関してあれこれ言われるのだから、社会に出ても他人の見た目に対して余計敏感になるような気がします。自分たちとは全く違う見た目に対して、変なステレオタイプも生まれるのではないかとさえ思います。
社会に出たら個性を出すことも時には求められるのに、学校ではなぜその人の個性を認めてもらえないことも不思議に思いました。
ちなみに私が通っていた欧米の学校で唯一あった見た目の校則は、
・目のやり場に困るような過度な露出はしないこと
・人が不快になるようなプリントがされているシャツは着ないこと(暴言とかイラストとか)
・髪や服は清潔に保つこと
でした。相手を考えることが基準のように思います。
どうして日本でこのような見た目に対しての校則が生まれたのか、もっと文化的要因などもいつか研究してみたい。
《 3 》平等であることにこだわりすぎている
うまく表現できないのですが、平等であることと、公平であることは必ずしも一緒ではないと個人的には思っていて、日本の学校はいかに「平等であるか」「みんな一緒であるか」ということにとらわれているような気がします。
例えばこの画像。欧米の学校でよく平等と公平について議論するときに見るものです。
なんとなくですが、日本は左の絵を重要視しるぎるあまり、例えば障害を持っている生徒、少し遅れをとってしまった生徒などに特別なサポートや補助をしようとすると「あの子だけずるい、特別扱いしている」とか、「先生のクラスがそのような対応をすると、こっちもしなくてはいけないみたいで困る」みたいなクレームが来るわけです。状況に応じた対応が悩ましいところです。
またその逆もあって、もし1つの科目や何か特別に秀でているスキルがあったとしても、日本では全科目を平均的にできるオールラウンダーであることのほうが重要で、何か1つの才能を開花させるための授業や選択肢が少ないように感じます。飛び級などがないのも、日本独特な気がします。
《 4 》先生はやっぱり忙しすぎる
自分が先生になってみて余計に思いますが、日本の先生は本当に息をつく暇がなく、ショックを受けました(笑)そして、家族と過ごすはずの勤務後や週末も、何かと学校の行事や対応に追われ、プライベートの時間はほぼ皆無です。(もっと時間を有効活用すればよいのですが、そんなスーパーマン先生はごく一部しかいません)でも、日本の先生たちは本当に熱い人ばかりで、生徒のために一生懸命な先生が多いです。
逆に欧米の先生たちは結構ドライで、自分たちの役割意外のことはあまり手を出さないような気がします。朝も授業ギリギリに来ては、コーヒーを片手に授業を始めます(笑)
また、私の通っていたアメリカの高校で、ある日の放課後、学校の生徒が学校外でたばこを吸っていたという通報がありました。しかし、学校から翌日、全保護者に手紙が送られたのですが、そこには
「今回の件は、学校時間外で起きたため、責任の所在はその生徒の親にあります。学校外で起きたことについては保護者の方で指導及び責任を取るようお願いいたします」
と書かれていました。私の母はこれを読んで心底驚いたそうです。
日本であれば真っ先に先生が指導に向かいそうですが、本当にこれも文化の違いなのかなと思います。
このアメリカの高校の例は一概にも良いとは言えませんが、生徒、保護者、学校の役割については、もう少し日本でもバランスを考えることが必要な気もします。そうでないと、先生たちが忙しすぎて、結果教育の質が落ちるからです。
《 5 》学校行事がきちんとしている
これは、良いも悪いも日本の学校行事は、本当にたくさんあり、その1つ1つがしっかり練られていて、よく言えばスムーズで計画的、悪く言えば少々お堅い気がします。
一番文化の違いを感じたのは、運動会と卒業式です。
運動会というのは、欧米の学校にはないのですが、似ているもので "Sports day"というものはあります。ただ、それはただただ、スポーツを楽しむ日であって、紅組と白組に分かれて競う、とかその運動会のために何日もかけて予行練習するようなことはありません。なので、日本の運動会の練習量と当日のスケジュールの管理や役割にびっくりしてしまいました。
また、卒業式は、もちろん欧米でも盛大にお祝いするのですが、やはりこれは国民性なのか、アメリカの高校の卒業式は、他人がスピーチしている時には盛大な拍手や掛け声、声援は当たり前。Diplomaをもらう時は喜びを表現し、みんなで帽子を投げて歌ったり抱き合ったりとどこかパーティーみたいな雰囲気があります。
しかし、日本の卒業式は全く逆で、とても厳かで感動的。
卒業証書をもらう時の歩く方向、歩き方、授与の仕方なども決まっていて、どこかミスをしたらいけないような緊張感が常にありました。そして、要所要所で起立して礼をするのも、日本独特の文化だなと改めて思い、最初出席したときはあまりもの違いにびっくりしました。
最後に思うこと
もちろん、学校にもよるので、一概に日本の学校は〜欧米の学校は〜とは言えません。
ただ、このようなカルチャーショックを踏まえて、海外のこういうところも真似した方がよいのでは?と学校現場で言うと、
「ここは日本なんだから仕方ない。海外とは違う」
とたまに言われます。
郷には郷に従えと言えど、海外の良いところや見習えそうなところは見習いたいし取り入れるべきなのではと思います。
そしてもちろん、海外もまた、日本の学校の掃除の文化や食育など、見習ってほしいと思うことも多々あります。日本の良い文化や習慣はきちんと残していきたいです。
日本の教育をただ批判するのではなく、極端に理不尽なことや、改善の余地があると感じたことなどに関しては、これってどうなの?と発信し、他人の意見や海外の価値観なども考えてみることで、生徒にとって本当に大切なことは何なのか、生徒にとって本当にためになるものは何なのか、と議論することが、なにより大事なのかなと思います。