#5 ネパールの高速観覧車に乗って変わった私の人生観
教育から少し離れて、今回は私が忘れられない中学生の時の海外体験をゆるーく綴ろうと思います✏︎
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『先生、昨日みんなでディズニー行ったんだ!』
と楽しそうに話す中学生の生徒。
いいなあ〜青春だなあ〜
と生徒の話を聞いていて思いました。
私の青春時代はどうしていたっけ?
友達とディズニーに行ったり、
映画見たり、買い物したり。
そんな当たり前に過ごすはずだった私の青春時代は、ネパールに降り立った瞬間に全く別のものになったのでした。
海外のどこに住んでいたのですか?と初めて会う人に聞かれて答えると、ほぼ全員が言うことは
「え、ネパール?」
生徒に自己紹介して住んでた国を言うと生徒の大体は
「ネパールってどこ?どんな国?」となります。
当時、中学生の私もそうでした。
次はネパールに住むよ!と言われて何も考えずについていき、飛行機が徐々に空港に近づくにつれ胸がざわつきました。
最初は嫌だったネパールでの生活でしたが、徐々に明るい方向に。
そんな私のネパールでの体験について少しお話しします。
引きこもりがちだった私
引っ越すことにワクワクしていた私でしたが、
飛行機が徐々に空港に近づき、窓の外を眺めたとたん顔色が変わり始め空港からホテルまで車で移動し始めると笑顔が消え、顔が曇りました。
見渡す限り、茶色い町。
遠くに一瞬見える世界の屋根エベレスト。
だけど、視線を下にすると広がる茶色いレンガの建物。
道路に横たわる牛、、、彷徨う野良犬、、、
秩序のない道路、、、路上に寝転ぶ人たち、、、。
初めて見る街並みにカルチャーショックを受け、涙目になりながら
「え、青春どころかここでちゃんと暮らせるのだろうか」
と13歳の私は思うのでした。
学校はインターナショナルスクールに通い、幸い楽しかったのですが、外に遊びに行くことはほぼなく(遊びに行ける場所も限られているのですが)引きこもりの生活を送っていました。
とにかく汚い、不便、怖い、という感情が常にありました。
ネパールという国
そんなマイナスなイメージからスタートしたネパールですが、実際は文化と自然がまじりあうとても素敵な国。
首都はカトマンズ、人口は3,000万人ほどのチベット地区とインドに挟まれた小さなアジアの国です。他民族な国で、主にヒンズー教、仏教、イスラム教徒の人々が暮らしていて、町のいたるところにお寺や参拝所がありました。
国土の半分近くは山岳地帯で、世界一高い山、エベレストの登山の玄関口としても有名です。私も家からエベレストを遠くに見ることができたり、実際にヒマラヤ山脈の近くまで行ったのですが、言葉では表現できないほど美しく雄大です。
しかし、様々な問題を抱えているのも事実です。教育格差、政治や経済不安、内戦、インフラ設備の不足など、アジア諸国の中でも最も貧しい国の1つです。
高速観覧車の全貌
さて、そんなネパールで中学時代を過ごすことになり、
殻に閉じこもったままの私でしたが、ある日近所の友達が、
『家の近くの遊園地に行こう』と言うのです。
ネパールに遊園地なんてあったっけ?と思いましたが、ついこの前、広い空き地に移動式遊園地ができていたのでした。(その後遊園地はなくなりましたが)
「絶対に汚いしおんぼろに違いない。死にに行くようなものだ」とあまり乗り気ではありませんでした。
しかし、友達は少々強引に私を連れて行くことに成功。
そして遊園地に着くと、見たこともない光景が広がっていました。
まず出迎えてくれたのは、ミッキーが鼻をへし折られたようなネズミの像。なんと幸先が良いのだろう。
そして、おそるおそる入場。正確な値段は覚えていま入場料はおそらく100円以下でした。そこにあった乗り物は飛行機型のくるくるとまわる乗り物、ゲームブース、コーヒーカップとここの目玉である観覧車でした。
その観覧車、見るからにおかしい。
まず、1つ1つのゴンドラに扉もなければ屋根もない。
みんな座りながら、しがみついている。
そして、なんといってもそのスピード!
え?早送りでもしてる?と思うくらい
ものすごいスピードで回っています。
鉄もさびているし、傾き具合も半端じゃありません。
とにかく、これに乗ってみたいと友達が言うのです(笑)死ぬ気ですか?と。
とまどう私。けれどここまで来たなら引き下がれないと
乗ってみることにしました。
さあ乗車。やはり、シートベルトはありません。乗客も私たちだけです。そしてふと思いました。ネパールってほぼ1日中停電しているけれど、観覧車ってどうやって動くの??と思っていたら次の瞬間動き出し下を見ると、
まさかの人力!!!!
どういうことかというと、1人の男の人が自転車を漕ぐような感じで、ひたすら漕いで回していたのです。
夢なんじゃないか、私の記憶違い?とたまに思うのですが、とにかく男性が足で何かをしながら観覧車はぐるぐると回っていたのです。
ぐるぐ回る観覧車の中で必死にしがみつく私。
ありえない!と思っていましたが、なんだかもう、ここまでくるとなんでもありに思えてきました。
回りすぎて頭がおかしくなったのかもしれません。
そして、最初は怖かったのですが、徐々に慣れてきて鋼のメンタルを手に入れた私は、次第にどこか楽しいと思ってしまいました。
そして、乗り終えたころには謎の達成感がありました。
「意外に楽しいし余裕じゃん」と。
若いって素晴らしい!
結局この観覧車はもう一度乗りました。
なんだ、試してみたら面白いではないかと。
閉じこもっていた殻から出たような感覚でした。
その後の私
それからというもの、私はネパールという国をもっと楽しみたいと思うようになりました。
怖くて行かなかったタメル地区という日本でいう原宿みたいな場所に行くようになったり(まったく違いますが)、1人で自転車を漕いででこぼこ道を走って友達の家に行ってみたり、モールに行ったり、スクリーンのない映画館に行ってみたり、おんぼろタクシーに1人で乗って交渉してみたり、、、
色々な文化にも触れ、新しい発見もありました。
そのたびにまた1つ強くなった気がしていました。
ネパールは確かに便利ではないけれど、その不便の中で人々は知恵をしぼって生活していて、みんな優しいし笑顔がありました。細かいルールに縛られず自由に過ごすことのできるネパール。確かに汚いところはあるけれど、そんなの少し我慢すればどうってことない。次第にネパールという国に惹かれ、引っ越すころには「まだネパールにいたい」と言うようになっていました。
この体験から思ったこと
ネパールに住んだことで、私の視野が広がったことは間違いありません。
日本での当たり前の日常は、世界では当たり前ではないということ。
まだまだ知らないことがたくさんあるなと思ったのです。また、発展途上国への支援についても考えるきっかけになりました。
そして、この観覧車に乗った経験を通して、その国の良し悪しというのは、自分から行動しないとわからないということを学びました。
知らないから怖いだけで、最初の印象が最悪だったとしても、行動することで物事が動き出すきっかけとなるし、意外と面白い一面や楽しい一面などの発見もある。なんでも飛び込んでみる、体験してみるというのは、人生にとって大切なことなんだと、今の私の生き方や考え方にも影響を与えてくれたと思います。
ただ、遊園地での体験は結構無謀で、よく死ななかったなと今では思います(汗)人生楽しんだもの勝ち。死なない程度にこれからもいろいろなことに飛び込んでいきたいです。
参考文献:
ネパールについての調べ↓
ネパール | 各国における取り組み - JICA. (n.d.). JICA 独立行政法人国際協力機構. https://www.jica.go.jp/nepal/index.html