映画「自由な学校」上映会
先日、「自由な学校」の上映会に参加してきました!
とても良い映画、かつ参加された方々とのシェア会でも素敵な時間を過ごせたので記録として残そうと思います。
(※映画の内容の受け取り方は人それぞれだと思うので、あくまで個人の感想として読んでいただけたらと思います。)
1.映画「自由な学校」とは
この映画の監督である斉藤さんはトエック初期の卒業生。
卒業生としての目線から、自分が通った学校はどんな学校だったのか、またこのような公教育以外の教育で育った卒業生は、その後中学校へあがり、また社会へ出ていく際にどのような葛藤があったのかを代表、現場スタッフ、通わせている親、現役の小学生、卒業生、それぞれの視点からトエックを見つめた作品です。
映画が始まる前の斉藤監督の挨拶では、映画の撮影に至った経緯やトエックに通ったご自身の体験についてお話を伝えてくださり、その時点ですでに素敵な言葉選びをされる方だなと感激していました。
2.「トエック自由な学校」について
徳島県阿南市にあるNPO法人自然スクールトエックが運営する田んぼと畑に囲まれた無認可の小学校(オルタナティブスクール)で小学1年生〜6年生が在籍しているとのこと。
全面的に子どもたちのやりたいことを尊重しており、映画のタイトルそのまま「自由な学校」でした。
そんなトエックの活動について知る中でいいなと思ったポイントをまとめてみました。
3.トエックでの活動でいいなと思ったこと
【その1】朝の「ミーティング」という対話の時間
朝のミーティングの時間で「楽しかったこと/困っていること」そして自分が「やりたいこと」をみんなに共有します。
それぞれが話したいことを話し自分が話した分、他の子どもたちの話にも耳を傾ける。誰も否定せずその子のやりたいことを受け入れる。
とても素敵な対話の時間です!!
こうやって、自分の話を聞いてもらえる場があることが
トエックに通う子どもたちの心理的安全、安心につながっているのだろうなと思いました。
私も思う存分「自分の話を聞いてもらう」「人の話を聞く」時間をスクールの中や、職場、家族、友人との間でも大切にしていきたいなと思います。
【その2】昼食も自分の取りたいタイミングで
トエックでは「昼食は11:30~14:30の間でお腹が空いた時に食べてよい」というスタイルをとっています。
自分の食べたいタイミングでゆっくり食べたらいいという考え方。
これ、理にかなっているし実際に取り組めていることが素晴らしいなと思いました。
いつか朝の情報番組で公教育の「給食時間の短さ」問題が取り上げられていましたが、「決められた時間内で急かされて食べるご飯」って意外とストレスになりますよね。
うちのスクールでも昼休みになっても「お腹空いてないんで後で食べます」という生徒がいますが、確かに「昼休みになったからご飯を食べる」って人間の生理現象に反した考え方ですよね。
人は「お腹が空いた時にご飯を食べるんだ!」と、当たり前のことに気付かされた瞬間でした。笑
【その3】保護者とのつながり
月に一度の保護者同士での勉強会(夜学)や、学期に一度のワークショップ(ペアレンツグループ)が行われています。
トエック、保護者も親である前に一人の「自分」として尊重するカルチャーがとても素敵だと思いました。
こうやって、我が子が過ごす場をみんなで一緒に作っていくという姿勢が素敵だなと思いましたし、このスタイルこそが保護者の方の安心にもつながっているのだろうなと感じました。
子どもたちの安心は、保護者の安心があってこそ成り立つもの。
私自身、弟が学校に行けないことで不安定になってしまう親の姿を目の前でみてきたからこそ、保護者の方の気持ちに寄り添い子ども達と同じくらい大切にする姿勢を持ち続けたいと思いました。
ここからは、私が個人的に印象に残ったシーンを書いていきたいと思います。(※映画の内容を含むため、まだ鑑賞のない方はとばしてください)
4.印象に残ったシーン
【その1】「自由」についての対話
映画「自由な学校」の中でも特に印象的だったのが、保護者の方々が「自由」について対話する場面。
実はたまたま遭遇したシーンだったとのことですが、映画「自由な学校」のタイトルを伏線回収したかのような心に残るシーンでした。
実はこの「自由」については、私自身スクールのスタッフをする中で一番迷っていた部分でもあり子どもたち、スタッフとの価値観の違いに悩んでいた部分でもありました。
ルール化はしたくないが、子どもにとって本当にこれでいいのかを考えると心配だし、なんだかモヤモヤする、、、
そんな悩みについて、映画が終わった後の懇親会では斉藤監督が「フィーリングリミット」という言葉を用いてお話をしてくれました。
大人でも人によって「自由」への考え方や責任を取れる範囲が違う。
その場の環境や子どもによっても許容範囲が変わる。
だからこそ、ルールを決めるのではなく「自分が危ない、嫌だ」と思った気持ちを大切にする。
そうやって、大人も自分の気持ちを大切にしながら子どもたちに関わることでお互いに我慢のない関係が作れるとお話してくれました。
スクールでの子どもたちの「自由」をどこまで許容するか悩んだまま迎えた新学期でしたが、今回この懇親会に参加したことで一番腹落ちした答えを見つけることができました。
この映画を通して「自分にとっての自由が何か」についても考えるよい機会となりました。
【その2】アットホームな日常の中にある卒業式
卒業式のシーンでは、卒業する小学6年生5名をスクールでスタッフ、在校生、保護者みんなで見送ります。
いつもの教室で、いつもと同じ雰囲気で「日常の中で行われる卒業式」といった様子でとてもアットホームな卒業式でした。
卒業生のために式を進行する在校生、涙を堪えきれずにメッセージを伝えるスタッフ、そして感極まって話せなくなるほどに涙が溢れ出す卒業生。
この卒業式での卒業生、スタッフ、在校生の姿をみているとトエックがどれだけ素敵なスクールであったかが伝わってきました。
「卒業してもまた遊びに行くから!」と話す卒業生の姿に、私たちも卒業してからも子どもたちに遊びに来てもらえるような場を作っていきたいと思いました。
【その3】卒業生の抱えるジレンマ
卒業生のインタビューの中では、トエックを卒業してから中学校、高校、大学と公教育を受けるなかで自由な学校とのギャップに悩み、ジレンマを抱える生徒もいたようでした。
そんなジレンマを抱えながらも、トエックがいかにひとりひとりの個性を尊重し合える恵まれた環境だったかを知ったと話す卒業生は、卒業した後もトエックで過ごした日々を糧に色々なことを乗り越えてきたのだろうな。と感じる強い眼差しをしていました。
私も子どもたちに関わる中で、「これがしたい」「こう思う」という感情を否定せず、まずは一度受け止め対話することを大切にしていきたいなと思いました。
5.おわりに
今回の上映会で、自身の所属するオルタナティブスクールとはまた違ったスクールの形を知ることができとても新鮮な気持ちになりました。
懇親会では、同じ課題感や悩み、教育への思いをもつ方々と意見をシェアする機会をいただき、本当に参加してよかったです!
また、斉藤監督の物腰柔らかい言葉選びや考え方から学ばせていただくことも多くこれから自分がどんな大人になりたいかを考えるよい機会になりました。
また、スクールのスタッフとしてもひとりの人間としても、よりひとりひとりの自由と個性を認められる自分になりたいと思います。
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