ストレートで白人の男は本当に得なのか
こんにちは。
アセクシャルで女、そしてアジア人の親の元、カナダで生まれた私は、自分に全く自信がなく、白人だったら、男だったら、恋愛ができる人だったら人生が変わっていただろうか、と人を妬んでばかりでした。
知り合いに勧められて聞き始めたPodcastに、NPRのHidden Brainというものがあります。
タイトルの通り、我々が無意識のうちに刷り込まれてしまった社会の事、知らなかった脳の機能など、科学的なアプローチで人間というものを紐解いていくシリーズで、さまざまなジャンルの専門家を呼んでホストでジャーナリストのShankar Vedantamが質問をして話を聞いていくのです。
内容はもちろんどれも面白いのですが、このShankarの声がとっても聞きやすく落ち着く声で、専門家から話を引き出すのがとにかく上手なのです。私の足りない語彙力だと彼の良さが伝わらないと思うので是非一度聴いてみてください。
得に、こちらのLonely American Manというエピソードを聴いて、はっとしました。
日本ではどうなのかちょっとわからないのですが(男友達がいないので・・・)アメリカやカナダなどの欧米では、男性は男らしさに非常に拘ります。筋肉がないとモテないのでみんな必死でジムに通い、女々しいからと自分の気持ちを友達に打ち明けたり相談することは少ないです。少しでも繊細なところを見せると、得に思春期は「ゲイじゃないか」と差別的なことを言われるので強いフリをするのに必死です。(同性婚が認められているからと言って全く差別がないかと言うと、そんなことはありません)
ここ数十年で女性は市民権を得てどんどん強くなりスカートを脱ぎ捨て仕事や趣味に没頭することが良しとされているのに、何故か男性に対する男性観だけはアップデートされないままです。
このPodcastのエピソードは、女性は旦那がいなくなっても元気だけど男性は嫁がいなくなると元気がなくなるのは、女性は結婚しても自分の気持ちを打ち明けられる友達や女兄弟がいるけれど男性の場合は結婚すると家族が全てになってしまって、外にそういった存在を作ることが少ないからだ、という話です。
ある日、白人の同僚が「自分は日本語を話しているのに、無理に英語で返されるのが嫌だ」と愚痴を言うのに対して(そもそも彼の母国語は英語ではない)、「日本人は白人は英語話すって先入観持ってるから仕方ないよ、向こうなりの親切のつもりで英語で話しているんだよ、」と言うと「お客様扱いみたいで嫌だ、普通に接して欲しい」と返されたので、酒の勢いもあって「私はずっと母国で外国人として扱われて下に見られてきたよ、私らに比べたらストレートで白人の男なんてどこに行っても恵まれてるんだから」と返してしまったのです。
今でもこれは良くなかったな、と反省しているのですが、つまり彼はどこに行っても誰といてもずっと対等に扱ってもらえない事に不満を感じていたのです。
それなのに、私は無意識に彼に「ストレートで白人の男は最強、文句言うな」とステレオタイプを押し付けていたのです。とても反省して、後日謝って許してもらいましたが、自分の中にもこんな気持ちがあったのかと悲しくなりました。
今は、性別や人種やセクシャリティに関係なく、誰もがみんな自分らしくいるのが一番正しいと思えるようになりました。
このStraight white male、というのはしょっちゅう人種、性別、宗教などの差別問題で揺れる欧米ではよく使われる言葉ですが、ストレートで白人の男は差別を受けた事がないはずだ、何も問題を抱えていないはずだ、だからマイノリティを受け入れるべきだ、というのもまたステレオタイプなのだと実感します。
もちろん口や行動での差別はどんな理由があってもいけないことですが、受け入れるかどうかはその人次第なので、受け入れない自由もある事が本当のユニバーサルな社会なのでしょうね。
人間だもの。
ぽぽを。