息子の狙い撃ち
「お母さん、くさいよー。」
明け方4時、4歳の息子が小さな声で私に訴えてきた。
「ん?なにが?」私はまだ半分寝ている。
くさい・・・くさい・・くさい!?
慌てて、息子の股間に手を当てる。冷たい。
「うそーーーーーん、なんでなん。」
*
先月、おねしょ用のズボンを買った。今までほとんどおねしょをしなかった息子だが、ここ最近は頻度が高くなっていた。
毎度、布団やシーツを洗っていたのでは大変なので、対策が必要になった。布団には防水シーツを被せ、息子にはおねしょ用ズボンを穿かせた。
うちは、ご飯の前にお風呂に入るので、お風呂から上がってすぐにパジャマを着る。この時点では普通のパジャマズボン。食事中に汚れる可能性があるからだ。
そして寝る前に、おねしょ用ズボンに穿き替える。
ここ。この工程を忘れることがあるのだ。
大概は私が気づいて、寝る前のトイレの後に穿いてもらうのだが、たまに忘れることがある。
この、たまに忘れた日に限って、おねしょするのだ、息子は。
1度目は、たまたまおねしょズボンがタンスにしまってあり、気づけなかった。2度目は、タンスからは出していたのだが、ほかの洋服の下に隠れており気づけなかった。
*
「起きてー。ケンがまたやったー。おねしょズボン穿かせるの忘れたー。」
隣の部屋で寝ている夫を起しに行く。
「ははは。狙い撃ちやな。」
「もう、なんでなん。穿いてない日に限って。」
当の息子は特に悪びれることもなく、きょとんとしている。
さぁ、まずはお風呂で下半身を洗って、それからシーツを外して洗って・・・やることは山のようにある。今、朝の4時なんだけど。
*
またもや対策を講じた。まずは防水シートの位置を見直した。
布団用の防水シートは、私の寝ている布団にのみ被せている。息子の布団も敷いてあるのだが、大概わたしの布団に潜り込んでくるからだ。
けれど、よくよく観察してみると、息子が寝ている位置は私の布団と自分の布団の間だったのだ。その結果、2枚の布団の隙間にちょうど漏れてしまっていた。
これはいかん。ということで、2枚の布団の真ん中あたりに防水シートを敷くことにした。
もう一つは、「おねしょズボンを忘れない」ための対策。
これに対しては、絵本箱近くの壁、洗面台の鏡、電気のスイッチの横に
「おねしょズボンをはいてますか?」
と張り紙をした。
2度あることは3度あるというけど、さすがに3度目は勘弁してほしい。
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