後輩が、がりぞーにしか見えない
5歳の息子がよく見ているアニメのひとつ、はなかっぱ。
個人的に目が離せないのが、「がりぞー」。
立ち位置としては、主人公「はなかっぱ」の敵という扱いになるだろうか。
はなかっぱが咲かせる「わか蘭」を奪うために、あれやこれやと仕掛けてくる。
一応は悪役キャラではあるのだが、彼は悪役になりきれないのだ。
まずはこの見た目。
まぁ、「悪そう」ではある。出っ歯なところとか、色味とか。
ではあるのだが、なんか、ちょっと残念な感じがしないだろうか。
はなかっぱ自体がゆるいアニメであるから、悪役も"悪”に振り切れないところはあると思うのだが、なんか残念。
なんか、弱そう…。虚弱そうに見えちゃう。
語尾が「~ってか」というのもなかなかシュール。
決して強いタイプの悪役じゃない。
*
そしてなにより、”がりぞーって本当はいいやつだ”というのが、アニメを見ていると垣間見えるのだ。
"悪"を極めるために、困っている人をさらに困らそうとするんだけど、結局助けちゃうとか。
はなかっぱの家に住まわせてもらったときには、最初ははなかっぱのように「家の手伝いなんかしな~い」というスタンスでいたのに、「やっぱり手伝うってか!」と言って、お皿洗いや掃除など、率先して手伝っていた。
はなかっぱの両親や祖父母からは「がりぞー君はいいこね」なんて言われちゃって。
もう、ぜんぜん「悪」じゃないんだよ、がりぞー。
本当はいい子なんだよね、がりぞー。
彼の健気さに、私は胸を打たれる。
*
会社に、I 君と言う男の子がいる。
男の子って言っても、もう30歳近い男性だけど。
彼を見ていると、がりぞーを思い出す。
まず、虚弱そうな外見。
いや、彼には持病があるそうで、本当に虚弱なんだけど。
少しひねくれた性格。
リモートワーク中の現在、各自にはノートPCが与えられている。
このノートPC、ものすごく小さいので、これでは仕事がしにくい。
そのため、ディスプレイも貸し出されているのだが、I君は「いりません」という。
「必要ないです。これで事足りますから。」
うそ、うそだよ、I君。
こんな画面小さいのに、仕事はかどらないよ。
と思うのだが、彼は「これでよい」という。
ディスプレイを借りるのが面倒だと思っているのか、わからないが、貸してくれるというものを、素直に借りればいいのに…と思ってしまう。
*
そんなI君だが、根は優しい青年なのだ。
仕事でちょっと困ったことも、すぐに相談にのってくれるし。
「これ、大量に家にあったんで食べてください」と言って、みかんやレモンを持ってきてくれるし。(親戚が農家さんらしい)
いつだったか、相撲のサイトを見ていたので「相撲好きなんですか?」と聞くと、ものすごい熱量で相撲について、熱く語ってくれたし。
”いいやつ”なんだよね、本当は。
外見でちょっと損してるけど。
そう、彼はがりぞーみたいなんだ。
嫌いじゃないよ、私は。
嫌いじゃない。むしろ好き。
アニメでがりぞーを見ているとI君を思い出し、I君を見ているとがりぞーを思い出す。
I君はきっと、「がりぞー」なんてキャラクター知らないけれど
「I君ってがりぞーみたい」なんて口が裂けても言えない。
でも、私はがりぞーが好きだし、応援している。
同じように、I君も好きだし、応援している。
大きなお世話だとは思うが、I君に素敵なパートナーができて、幸せになってほしいと願っている。(ほんとに大きなお世話)