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【時事】ODA情報整理

「総理大臣が海外にばらまき」というトピックを目にされた事がある方は多いと思います。予備知識がないと「日本人が働いて稼いだお金を、ええかっこしいしたいがために海外にプレゼント」みたいな構図で考えている方が多そうです。ニュースを見なくて時事問題に疎い方ならともかく、X上で日頃から政治談議を行っている方ですら派手に勘違いしていたり、かくいう私も調べてみたら「わからない点が見えてきた」とか「こんな事があるの知らなかった」が頻発。なので、もしかしたら説明不足や誤りもあるかもです。その際は遠慮なくご指摘ください。ブラッシュアップして参ります。

先に私の結論を述べさせていただくと「問題ない事を騒ぎすぎ。これは単なる政権批判の道具になっているだけ」です。日本が政府として海外に支援を行う事には「ちゃんと意味、メリットがある」を確認していきましょう。

※堅苦しい内容なので、今回のヘッダーは面白い画像にしてみました。


01. 何故日本が他国にお金を援助するの?

「なぜ日本が他の国に協力しなくちゃいけないのか?日本人が稼いだお金は日本人のものだ。誰にも渡さなくていい」というお気持ちが「バラマキ」という言葉で憤慨する方々の感情的な部分ではないかと思います。何故かって言うと、勿論「相手国の支援のため」はあるんですが、同時に「日本のため」な側面も大いにあるんですよね。


01-01. 開発途上国の人は全体の8割

世界中で「開発途上国に暮らす人」はどのくらいいるのでしょうか。世界中の8割です。先進国で衣食住が比較的確保しやすいような国に住んでいるのは2割程度しかいません。私の記事を読んでいる皆さんも「先進国側」ですよね。世界人口は2022年11月15日に80億人に到達しましたが、その中で開発途上国の人口は60億人超。1日100円以下で生活する人、食糧がなくて十分な栄養が摂取出来ない人、学校に通えない子どもたちはかなり多いです。ここの支援が一番の目的であるのは間違いないでしょう。


01-02. 日本も戦後は支援を受けていた側だった

ここも忘れてはいけません。困ったときはお互い様という言葉が日本にはありますが、日本も「戦後の困った時、海外に助けてもらった国」なんです

【簡易年表】
1944年 ブレトン・ウッズ協定(為替相場安定のメカニズム)締結
    (米国を中心に連合国44か国が参加)
1945年 国際通貨基金(IMF)と国際復興開発銀行(IBRD)設立
1946年 日本がガリオア・エロア資金援助を受ける(約6年間)
1953年 日本は世界銀行の借款受入を開始(支援される側)
    (1966年までに計34件、8億6,290億ドルの借款契約締結)
1954年 日本、技術援助を開始(※支援する側)
1958年 日本、円借款開始(※最初の供与先はインド)
1966年 東京-静岡間高速道路へ供与を最後に借款から卒業
1990年 世界銀行の債務を完済
※印の箇所は日本が支援した実績、無印箇所は日本が支援を受けた実績

筆者作成簡易年表 引用元:外務省 ODAのあゆみ

黒部第4ダム、東海道新幹線、東名・名神高速道路などが存在するのはこの支援のおかげです。若い方から見ると「1990年って遠い昔」かもですが、中年世代から見たらあの時期は、戦後45年も経過しているし『戦後の雰囲気なかった』という時代だと思います。


01-03. 他国への援助は巡り巡る(東日本大震災)

これも忘れちゃならない「日本が受けた恩義」のお話です。下記のグラフをご覧ください。ODA予算(一般会計)の当初予算推移です。1997年がピークだったのですが、日本は円借款が多かったため、他国から「援助対象国より日本企業の利益・日本経済の発展を優先してる」「援助の見返りを期待している」といった「自国優先の風潮への批判」を受け、それ以降右肩下がりで予算は下がり続けます。が、下がるのがぴたっと止まった時期があります。2011年、我が国にとって忘れられない「東日本大震災」があった年です。

外務省 ODA一般会計当初予算の推移

人も、家も、学校も、病院も、あらゆるものが一瞬にして津波にのみ込まれた被災地には、各国から緊急援助チームや医療支援チームが派遣され、温かいメッセージや寄付金も寄せられました。
日本人が特に驚いたのは、所得水準が極めて低く、深刻な貧困に直面しており、それまでは日本が支援する相手だった国々でも日本を支援する機運が盛り上がり、被害者に対する弔意や被災者への激励のメッセージや折り鶴、なけなしのお金を工面してくれたであろう寄付金が、日本大使館や総領事館などを通じて日本に届けられたことでした。当時、「今度は我々がお返しを」と、日本に何らかの支援やお見舞いを届けてくれた国・地域・国際機関は254に上ったのです。大惨事により深く傷ついていた日本にとって、この出来事は、これまでの日本の支援が各国に確実に足跡を残し、絆を培ってきたことをいま一度思い出させることになりました。

朝日新聞 with Planet

この言葉が適切かはわかりませんが「情けは人の為ならず」といったところでしょうか。日本も「助けたり助けられたり」しています。


01-04. 日本に望ましい国際環境の構築

海外の色々な国との関係強化も大事です。具体的に言うと、二国間関係の強化、シーレーン確保、日本の信頼向上、国連・国際機関選挙での支持などがあります。例えば物資を輸入するのなら相手国との関係値構築は重要ですし、石油を輸入する際のオイルシーレーンも大事。国外における環境整備の意味合いがあります。


01-05. 日本企業の海外進出支援

日本の資金が投入されて、相手国のインフラを発展させようとするときに「技術力が伴わないとうまくいかない」のは明白ですよね。そこで日本企業の出番です。

首相官邸
外務省 開発協力トピックス
JICA

※以前はタイド援助がメインでしたが、現在はアンタイドが殆どです。
タイド援助とは、プロジェクトの物資やサービスの調達先が、援助供与国(この場合は日本ね)に限定されるもの。日本が援助するんだから日本の企業に仕事回すように、ってやつです。
アンタイド援助とは、物資およびサービスの調達先が国際競争入札により決まる援助のことをいいます。
これはOECDの指針に合わせる形。詳しくは用語集参照。


01-06. 在留邦人・日本企業の安全

日本の外交的な影響力強化は、当該国との関係値改善になります。政情不安定な国において、何らかの異変があった際には、日本が支援をしている相手国には円滑な交渉や措置が進めやすいです。


01-07.  OECD開発援助委員会(DAC)他国対比

OECD開発援助委員会(DAC)のデータを見てみましょう。この中で、日本は支出第3位です。

外務省 OECD/DAC実績

このランキングには落とし穴があります。単純に額だけで考えると確かに「世界で3番目」なんですが、経済規模がそれぞれの国で違うので、これを「1人あたり」に換算すると、意外と日本の負担は少ないんです。2022年のODAの国民1人当たりの負担額は、日本は140ドル。30カ国中17位(G7中6位)です。もっと多いと思っていた方多いでしょ?

外務省 OECD/ODC実績

1970年の国連総会でODA/GNP(GNI)を0.7%とする目標を定める決議が採択されました。まあ、実は現在でもほとんどの国が達成できていない状況。日本も0.29%程度です。GNP比0.7%って結構大きいですよね。防衛費が1%枠のまま推移してて、岸田政権になってようやく2%ってところなので。


02. そもそもODA(政府開発援助)とは?

ODA:Official Development Assistance(政府開発援助)とは、途上国の経済・社会の発展・福祉向上・民生の安定に協力するために行われる政府(または政府の実施機関)が提供する資金や技術協力のことを言います。平たく言うと「途上国の安定のために日本が協力するよ」なんですが、種類は多岐にわたります。ここが確かにわかりづらい。バラバラに分解して解説。


02-01. 多国間援助

OECD:Organisation for Economic Cooperation and Development経済協力開発機構という組織に集まった色んな国が、お金を出し合って途上国を助けていくというもの。先進国は軒並み加盟しているんですよね。なので「日本だけが割を食ってお金を払わされている」という構図ではないです。まあ、ここに文句を言う人はあまりいないかな?

総務省 経済協力開発機構(OECD)

02-02. 二国間援助

ネットで議論が起きやすいのはこちらでしょう。二国間援助は「政府貸付」と「贈与」に分かれます。政府貸付とは文字通り「途上国政府にお金を貸すこと」です。つまり返済義務が発生。「贈与」は途上国にお金をあげること、つまり返済義務なし。「ばら撒き」という言葉は返済義務なしの「贈与」ばかりのように聞こえますよね。ここがミスリードです。実は日本の二国間援助は「政府貸付」が多いんです。欧米は無償が一般的ですが、日本は「その国が自立するための支援」という形を取っています。

❶ 贈与
贈与にも2種類あります。「無償資金協力」と「技術協力」です。金銭的協力(無償資金協力)か技術提供するか(技術協力)ですね
無償資金協力(お金の援助)
無償資金協力は「開発途上国が発展するために無償で必要な施設を建てたり、資源を調達すること」を指します。安全な水を確保するための給水施設、道路や橋などの社会基盤の整備、ビジネス環境の整備などがあります。
技術協力(技術の援助)
開発途上国の課題を「現地のスタッフ自身で解決すること」が出来るようになるのを目標として、専門家を派遣して人材育成、技術提供、制度を整えていくのが日本流。これはいいエピソードがあるので後ほど紹介。

❷政府貸付(円借款)
有償資金協力もあります。日本円でお金を貸し付けるため、円借款とも呼びます。途上国の発展のために行われる「低金利の貸付」のことですね。金利は0.01%など。かなり低利ですね。貸付なので返済義務が生じるのですが、これは相手国に「資金の適切な利用をプランニングさせ、途上国自身で稼いで返すように自立を促す」を目標とします。


03. ODAの財源および収支

「私たちの税金が海外に使われている!」も実はまんざら間違いではないのですが、ミスリードでもあります。その辺の解説も必要ですね。


03-01. 財源(全体)

ちょうど今月、官邸サイトからODA解説のページが出ました。「令和5年度ODA事業予算2兆7,533億円のうち70%程度が、税負担によらない国の投資活動である『財政投融資』等によって賄われています。ここで注意しないといけないのは「完全に税金じゃない」ではない点。税負担もあるよ、でも大きくはないよ、と言ったところです。

首相官邸

これ、難しいのが色んな省庁が出資しているし、データが分散してるところ。JICAのサイト見たり、外務省のサイト見たり、財務省のサイト見たりで大変でした。また、一般会計の中にも「贈与分と借款分がある」し、財政投融資にも「技術協力分も借款分もある」から、外務省が組みなおしている対比表を提示してくれています。それがこちら。(おお、なんて親切なんだw)

外務省 令和5年度ODA事業予算

グロス:27,533億円の内訳が下記の通り(カッコ内は比率)
・二国間贈与:4,878億円(17.7%)
・国際機関への出資・拠出:3,650億円(13.3%)
・借款:19,005億円(69%)
つまり日本が海外援助に使用しているお金の7割は「貸付」です。


03-02. 財源(一般会計・特別会計)

予算の推移を貼っておきます。ピークは1997年の11,687億円。当時からすると半分程度の額に収まっています。昔は「海外にばらまき」なんて言われていなかったと記憶していますが、安倍政権と岸田政権になってからやたらと聞きますね。「昔より負担が減ったのに、昔の何倍も騒ぐ」って違和感ありませんか?要は「メディアの報じ方ひとつで世論は変わる」です

筆者作成 引用元:外務省 ODA一般会計予算の推移
外務省 ODA 一般会計予算

上記の通り、二国間贈与や国際機関への出資・拠出が5,230億円ほどありますが、これは先進国としては致し方ない部分です。他国との比較は上述の通りなので「確かに海外に贈与しているけど、他の国より比率としては少ないし、ピーク時の半分くらいだし、全体の中でも比率としてはわずかですよ」が正確なところかなと。

国税庁 歳出 経済協力費

歳出の中でもかなり低い部類ですね。


03-03. 財源(出資・拠出国債)

これもなかなか耳にしない言葉なので確認。財務省HPに解説がありました。財政投融資同様に、これも国債ですね。

財務省 交付国債

03-04. 財源(財政投融資)

「財政投融資」って普段生活しててなかなか耳にしないと思うので、なるべくわかりやすく解説。公共性の高い事業(この場合は海外支援ですね)に対して、政府が国のお金を出したり貸したりすること。「投資+融資」ですね。「国のお金」といっても税金ではありません。特別な国債を発行して集めた公的な資金などが使われます。勿論、融資なので利息が付きます。

財務省 財政投融資

03-03. 返済

凄く難儀したのがこの箇所。私がB/SやP/Lあまり読めないので、間違いがあったら御指摘ください。還流されている事実は間違いないと思うのですが、数値的なところが「このソースでいいのか?」と。

では、とりあえずJICAの損益計算書を確認してみましょう。費用の合計が1,128億円、収益の合計が1,672億円。プラス543億円。

JICA 令和4(2022)事業年度決算概要 (有償資金協力勘定)2023年7月発表

日本のODAの政府予算は1997年度の1兆1,687億円をピークに減少に転じた。近年は5,000億円台で(長いので中略)援助実績が世界の上位にとどまっていられることの主たる理由は、有償協力の貢献だ。2021年の場合、日本の贈与相当額ベースの援助実績は176億ドルで、10年連続で世界1位だった90年代の実績を上回り過去最高を記録した。このうち2国間と国際機関向けの政府貸し付けの合計は89億ドルで、ほぼ半分を占めている。
見逃せないのが、数十年前に融資した長期低利融資の返済金が62億ドルにも上る事だ。JICAの実施した2国間の政府融資総額121億ドルの原資は政府の財政投融資やJICAの自己資金などで、当然この中には返済金も還流している。

読売新聞

また、これは2014年なので9年前の記事ですがX上でも散見されたので。

首相は今年に入り、アフリカ向けの円借款の上限額を20億ドル(約2080億円)に倍増すると表明。トルコともインフラ整備に追加供与することで合意し、円借款を軸にした経済外交を進めている。首相の外交姿勢も反映し、14年度の円借款の規模は直近で最も少なかった05年度(当初計画ベース)に比べ4割増える見込みだ。
主な財源は、日本が過去に実施した円借款の返済金だ。援助した国から返済される元利金は14年度に6360億円と10年前より約6割も増える。円借款の実施機関である独立行政法人、国際協力機構(JICA)はこのうち4000億円程度を円借款の財源に使う。

日経新聞

還流って事は「過去に貸したお金の返済分をまた貸し付けに回す」ですね。


04. デメリット(債務免除)

負の側面も当然あります。2003年以降、33ヶ国に対して総額で1兆1,290億円の返済の免除をしております。貸し付け条件が甘いのではないかと批判もされて、時々見直しが入り、現在は円滑にいっているようではありますが…

日本は、円借款の供与にあたって、被援助国の協力体制、債務返済能力および運営能力、ならびに債権保全策などを十分検討して判断を行っており、ほとんどの場合、被援助国から返済が行われていますが、例外的に、円借款を供与する時点では予想し得なかった事情によって、返済が著しく困難となる場合もあります。そのような場合、日本は、前述の拡大HIPCイニシアティブやパリクラブにおける合意等の国際的な合意に基づいて、必要最小限に限って、債務の繰延注12、免除、削減といった債務救済措置を講じています。2020年末時点で、日本は2003年度以降、33か国に対して、総額で約1兆1,290億円の円借款債務を免除しています。なお、2020年に引き続き、2021年も円借款債務の免除実績はありませんでした。
日本は、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」の重要な要素である債務持続可能性の確保の観点からも、JICAによる研修や専門家派遣、国際機関への拠出等を通じ、途上国の財務省幹部職員の公的債務・リスク管理に係る能力の向上に取り組んでいます。たとえば、ガーナ、ザンビア等21か国41名の行政官に対する偶発債務リスク管理に係る世界銀行との連携による研修、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の各信託基金への新たな資金拠出など、債務国の能力構築に向けた支援を実施しています。

外務省



05. これも要チェック

話題が派生してあちこちに飛ぶのがSNS空間なので、周辺知識もあった方がいいかなと思いまして、いくつかピックアップ。

05-01. 過去の政権時はどうだった?

この論調、安倍政権時からあったよなぁと思って、少し検索したら「日刊ゲンダイ」ばかりがヒットしました。X(twitter)でも、騒がれてたのはこれらのソースだったのかなと。さすがゲンダイクオリティ(褒めてません)

岸田政権の外交を「バラマキ」と言っている人は、このレベルだと思ってください。


05-02. 一帯一路の阻止

中国も今や超大国で「海外支援を行う側」の立場になっています。援助を行うと、当然被援助国は中国に返済を行う必要があります。

日本の円借款は「相手国の自立を促す」という目的があります。動物の親が子供に「えさを与える」よりは「えさの取り方を教える」方が、子供にとって有意義なのと同じ考え方ですね。日本の場合、ほとんどが長期かつ超低利(1% 28年以上)の円借款。中国は高利貸(4.2% 10年以下)です。相手国に債務を持たせて、払いきれない場合は債務免除と引き換えに中国がインフラ権益などを奪う問題(スリランカ)が起きている。

これより先に二国間援助で日本が動く意味は、説明不要かと思います。


05-03. 外貨準備高はODAに使われてる?

外貨準備高については誤解がありますね。以前は私も派手に勘違いしておりました。これは「円の価格が著しく変動する際に、円を買い支えたりしてレートを維持するためのもの」です。為替介入および為替の安定のためのものであり、そもそも外貨なので国内では使えません。

ここで「わかりそうでわかりにくい」のが一般会計と特別会計。一般会計は国の一般的な活動(福祉・防災・民生など)に使用されます。ここは基本的に税金から賄われていますね。一方、特別会計は文字通り特別な目的のために拠出される予算で、その目的以外には使用不可。今現在どのくらいの外貨準備高があるかというと2023年11月データで1兆2,697億ドルです。

ただ、特別会計は一定条件で一般会計へ繰り入れることが可能です。外国為替資金特別会計は運用収益があります。

財務省 特別会計ガイドブック

「外貨準備高の運用収益は、特別会計から一般会計に繰り入れされてる。税収で賄われる一般会計の一部となっている」という事かなと。「まるまるODAに使われている」とは言い難いですけど、厳密に言うと「一部使われている」とも言えるのではないでしょうか?


05-04. 中国向け円借款

かつては技術も経済もあまり振るわなかった中国が、どんどん経済大国になっていき(その分、脅威を増していき)日本から援助する必要はなくなったとの判断ですね。

1979年以降、日本は長年にわたり、中国沿海部のインフラのボトルネック解消、環境対策、保健・医療などの基礎生活分野の改善、人材育成等の分野でODAを実施してきました。こうした支援は、日本企業の中国における投資環境の改善や日中の民間経済関係の進展にも大きく寄与しました。中国側も様々な機会に日本の対中国ODAに対して評価と感謝の意を表明してきています。対中ODAは既に一定の役割を果たしたため、2018年度をもって新規採択を終了し、2021年度末をもって継続案件を含めた全ての事業が終了しました。

外務省 中国円借款

貸し付けは終わりましたが、返済はまだ続いています。中国に対しては、ODAのうち「無償資金協力」は約1600億円、「円借款」は約3兆3千億円、「技術支援」の約1900億円で、計3兆6千億円余りを支援してきました。

これを終わらせたのは他でもない安倍政権です。というか、安倍政権時はびっくりするくらい援助していませんw

【安倍元首相の決断で歴史に幕】
2018年10月、公式訪中した安倍氏は、日中平和友好条約発効40周年行事で「中国は世界第2位の経済大国に発展し(ODAは)その歴史的使命を終えた」と述べ、18年度から始まる技術協力の新規案件を最後に終了する意向を伝えた。この18年度の案件が22年3月で終わり、対中ODAは完全に終了した。

nippn.com

なお、返済は2047年まで続きます。今からの時代は「中国からの返済金を、中国包囲網を構築する上で必要な国への援助」に使えるのです。


05-05. 韓国向け円借款

時折「韓国に日本が捨てた税金一覧」というデマがX上に流れます。日本が韓国に対して援助したトピックを集めたものなのですが、これは間違いです。無償援助分はともかく、この多くは有償資金援助。簡単に言うと「貸し付けた分」だけ記載して「返済された分」の記載がないのです。「私がAさんに10,000円貸した」けど、Aさんはその後利息を付けて私に返したとします。でも「貸した事実」だけ喧伝しているような感じですね。

韓国への円借款 ・無償資金協力は1990年度、技術協力は2001年度で終了しています。じゃあ、返ってきたのかというと、ちゃんと返ってきていまして、円借款返済は2015年に完了しています。


06. まとめ

ここは私見も入ります。
・日本も援助を受けていた側だった
・多くの国を援助した事で、東日本大震災後には助けてもらった
・無償援助より貸付が多い
・無償援助、個人負担では他国より多い訳ではない
・円借款は利益を生んでいるし還流されてまた貸付されている
・貸付の全てが返済されてはいない面もある
・中国向け円借款は滞りなく返済されている(2047年まで続く)
・韓国向け円借款は既に返済完了済
・中国の一帯一路の拡大防止にもつながる
・外貨準備高は基本使われていないが、一部一般会計に繰り入れ
・結論、単なるバラマキではなく「国益に繋がっている」




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