【映画】PSYCO-PASS PROVIDENCE
PSYCHO-PASSって1期が始まったのは2012年なので、もう10年以上前なんですよね。で、こういうシリーズ物の傾向として「1期が最高、2期がその勢いをキープ、あとは衰退の一途」というイメージがあったのですが、この作品は違いました。10年も経過したのに、こんなに最高でハイパーな作品をここで出すのか…!という嬉しい誤算。
シリーズの作品に触れたことがある人、好きだった人は是非是非観てほしいです。色んな事が繋がるうえに、物語の根幹の部分である「シビュラシステム」に関する重要な展開があります。
世界観
サイバーパンクな舞台、ディストピアな物語、スタイリッシュな映像、暴走する犯罪者、そして群像劇。1期を手掛けているのは、アニメ畑ではなくドラマ畑の本広克行(代表作「踊る大捜査線」)でした。脚本は虚淵玄…。ああ、これだけで「やばい作品だな、誰かマミられるんだろうな」と。
現在の社会は「既に起きた犯罪」に対して警察が動きます。対症療法的な動きですけど、実際「何も起こしていない人」を捕らえる事は出来ないですよね。が、この作品の世界では「犯罪予知システム」で「将来犯罪を起こすであろう人」を判定できるシステムが構築されています。トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」みたいですね。
サイバーパンクというとウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」を想起する方も多いと思いますが、どちらかというとフィリップ・K・ディックのディストピア感に近いんじゃないかな。実際、ディックには「シビュラの目」という作品がありますし。パノプティコンな世界、現実になっていますしね。
用語基礎知識
まあ、作品を観たら自然と覚えますが、念のため頻出ワードを。
作品の時系列
これ、公開順に観るのもいいかもですが、作中の時系列で観るのもいいかもですね。今藍のPROVIDENCEは3期の直前です。ああ、3期の常守朱ちゃんのあのシーンは、この流れがあったからなのか!ってのがわかります。
物語(ネタバレ少々)
1期と2期で主人公だった常守朱が3期では「囚人として囚われている」という「なんでそうなってんの?」のミッシングリンクが描かれています。
テーマはAIと法、罪を裁くのはいったい誰なのか?ってなところかなと。人々はAIを信じ切っている。常守朱は「そのシステムの裏側」を知っている。法そのものの在り方が揺らいでいる時に、システムに全面的に世界を委ねてはならないとする常守朱は「シビュラシステムは完璧ではない」を世界に提示するべく、とある行動をとるのです。
以下、公式から引用。
感想
サイバーパンクな世界観、魅力的なキャラ、群像劇スタイル、伏線の散りばめ方、スタイリッシュな銃火器、散りばめられた名作の引用とニヤニヤしちゃう要素が多い作品なんですが、実はシリーズ通して一貫して描かれているのは「罪を裁くのは誰なのか?人の心の在り方とは?」という、昔から普遍的に描かれていたテーマなんですよね。
心の中の善悪度を色相や犯罪係数という形でビジュアライズ / 定量化・数値化という描き方はSF作品でないと出来ないでしょうけど。
そして、この終わり方は間違いなく「次がある」です。今から楽しみで仕方ない。期待してますよ、Production I.G.さん!