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【映画】ALIEN ROMULUS

大ヒット映画の続編って「ヒットした一作目の面白さをを超えられない」パターンが多いと思うのですが、私の中でエイリアンシリーズはちょっと違います。毎回毎回、趣向が凝らされてて「こう来るのか!」「今回は今までとちゃうな!」が毎回あるんですよね。監督もリドリー・スコット、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、ジャン・ピエール=ジュネと、独自性の強いくせ者揃いですから、カラーが作品ごとに違う。根底にあるエイリアンワールドはしっかりキープしつつも、それぞれの監督が暴れまわっているようなイメージです。

そんなエイリアンの新作が「やたら怖い」という評判を目にしましたので、さっそく劇場に足を運びました。いやぁ、怖かった。これは凄い。



時系列


漫画家の木下いたる氏が実にわかりやすいポストをしてくださっていました。


物語

行き場のない6人の若者が主軸。というか、ほぼこの6人以外登場人物がいないです。キャラが多くなると「あれ?こいつ誰だっけ?」となる人でも大丈夫。

主人公は劣悪な環境で働く女性レイン。弟分のアンディ(彼女を守るようにプログラミングされた黒人男性型アンドロイド)と行動を共にしています。彼女を雇用する会社は彼らの命を何とも思っちゃいない。彼女はいつかアンドロイドの弟と憧れの惑星ユヴァーガを目指すことだけを夢見ています。

そんな矢先に仲間から、頭上に浮かぶ廃墟化した宇宙ステーション(ロムルスとレムスという2つのブロックから成る)で装置や船を奪取して、一緒にユヴァーガへ旅立とうと提案されます。主人公たち6人は、この逆境から逃げ出すべく宇宙に旅立つのですが、そこで廃墟となったはずの宇宙ステーションにいる訳ですよ、奴らが。

人間を襲い、酸性の血液であらゆる物質を溶かすエイリアン。宇宙船の中なので「大きめの密室」です。また、このロムルスは時間が来たら小惑星と衝突する状況。エイリアンは数も多いし、強いし、下手したら皮膚が溶ける。彼らの必死の逃走劇が始まる訳でございます。


感想(ネタバレなしVer.)

フェデ・アルバレス監督は「ドント・ブリーズ」が出世作で、これは盲目の男性から主人公グループが追い詰められていく物語でした。なかなか緊迫感たっぷりの面白い物語でした。あの監督が抜擢されたのはなんかわかる気がする。そして、期待通りの作品にきっちり仕上げてきたなぁと。

これは時系列的には「エイリアン1」と「エイリアン2」の間の時期だそうです。したがって、初代リドリー・スコット監督の「エイリアン1」の雰囲気に限りなく近づけている点がとても良い。ちゃんと「正当なシリーズ」という印象。できれば1作目をおさらいしてから鑑賞すると良いかもです。まあ、全くエイリアンシリーズに触れてこなかった人でも「独立した作品として楽しめる」でもあるので、ご安心ください。

なので、2024年に公開されている作品にもかかわらず、宇宙船の中の計器類がやたらと「レトロフューチャー」なのですよね。どっかアナログっぽいというか。スマホやタブレット的なテクノロジーではなく「ボタンをガチャガチャ押すタイプのテクノロジー」で、これは初代エイリアンへのリスペクト的に「世界観を守る」感じで好印象。

序盤はゆるやかーに始まるのですが、中盤からノンストップの「密室サバイバル・モンスター・タイムトライアル」です。超絶過酷な物語な訳ですが、ホラー的に急にばばーんと何かが登場して驚かせる「お化け屋敷要素」も定石通りあったりします。

めちゃくちゃ怖い敵と「終始同じ建造物の中」ですし、逃げ場はどんどん無くなっていく。仲間も途中で徐々に減っていき、心細さと恐怖と絶望が延々と襲い掛かってくる。終盤まで勢いが衰えることなく、ひたすら恐怖の波状攻撃でした。


感想(ネタバレありVer.)

未見の方はここはすっ飛ばして頂いても構いません。

主人公グループの一人が序盤から妊娠しているのですが、エイリアンは彼女に「産みつける」のです。その結果、世にもおぞましいクリーチャーが誕生します。「進撃の巨人」を初めて読んだ時に感じたのは「ヒトの形」なのに「ヒトじゃない」ってめっちゃ気味が悪いなぁ、って事。あれを思い出しました。恐竜やキングコングやゴジラって「感情なさそう」だから、割とリアルとの接点がないから「完全にフィクションとして怖がることが出来る」のですが「ヒトの形」ってのは、少し上記とは違ったおぞましさがあるのよね。多分、一番の恐怖ポイントはあのクリーチャー登場かな。

アンドロイドと人間の対比も面白いです。アンドロイドは機械なので、感情を排除して「こうやったら生存確率があがる」という判断ができる。でも、人間はそうはいかないです。仲間が窮地に陥ったら「助けなきゃ」という意思が働く。合理的な判断と感情に基づく判断では「機械の方が生存確率的には正しい」なんですが、そこは私も人間なので「助けに行ってくれ!」と思っちゃう訳でして、それはつまり物語的には「過酷な局面を増やしちゃう」形です。私ならあきらめるな、うん。生き残れる気がしないw


H.R.ギーガー

エイリアンの魅力って「SFなのにゴシックホラー味ある」ところだと思うのですよね。ギーガーの生み出したエイリアンの造形がとても秀逸。地球上の何物とも似てない(ワラスボはちょい似てるけど)

生物なのに、どこかメカニカルというかインダストリアルな雰囲気。口の中にまた口がある機能性。強酸を体液にしてぬめぬめと艶やかな点は、生物感あるし、実に絶妙の「モンスターとしての完成形」です。これ、1作目は45年前なんですよね…。あの時代によくぞこんなデザインのクリーチャーを創出できたものだと思います。

ギーガーはロックバンドのジャケットなども手掛けておられるので、興味がある人はちょいと漁ってみるといいかもですよ。


予告編

雰囲気だけでもつかめるかな。


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