【読書】盛山和夫「協力の条件」

盛山和夫氏の「協力の条件」という本を拝読した。名著だと思う。社会的ジレンマ関連の丁寧な解説から始まり、TFT、進化ゲーム、信頼などの幅広いポイントを扱っておりながら、1冊を通じて首尾一貫しているのが素晴らしいと思った。こういった本は各章によって全然違うトピックが扱われることがよくある印象だが、この本はそうした本とは一線を画していた。なお、個人的に興味深かったのは、やられたらやり返す型の戦略(やられない限り協力)で安定している集団にはやられてもやり返さない型の戦略が侵入することが可能であるから、その侵入がきっかけとなり別の戦略(例えば、絶対に先制攻撃する戦略)が入ってくるということが可能となるという議論である。いつでも協力という戦略が侵入可能というのが盲点で面白かった。

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